2023年10月17日、TerraMasterはARM SoCを搭載した2ベイNAS「F2-212」を発売しました。
スペック
■ F2-212 | |
CPU | Realtek RTD1619B |
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メモリ | 1GB DDR4 |
ストレージ | 3.5/2.5インチ×2 |
インターフェース | USB3.0×1 USB2.0×1 1GbE 有線LAN オーディオジャック |
サイズ | 222×119×154mm |
重さ | 1.3kg |
特徴
TerraMasterのNASの型番は分かりにくくて、おおよそ”ターゲット+CPU+世代”の3桁で構成されています。
ターゲットは、SOHO/個人向けが2、中小企業(SMB)向けが4。CPUはARM SoCが1、Intel CPUが2となっています。世代は0からスタート。ラック型はまた違う命名規則のようです。
というわけで、「F2-212」は”SOHO/個人向けのARM SoC搭載NASの3代目”と読み取れます。クラスとしては最エントリーモデルになります。
なお、2代目の「F2-211」は中国語の製品ページはあるものの日本語ページはなく、国内販売もありませんでした。
CPU
「F2-212」のCPU(SoC)はRealtek RTD1619B。
Synology「DS223」や「DS223j」での採用実績があるSoCです。
RTD1619Bは4コアのCortex-A55 (ARM V8.2)で、動作周波数は1.7GHzです。GPUにMali-G51を搭載していますが、「F2-212」には映像出力はありません。
ブロックダイアグラムはこんな感じです。ネイティブでPCIeと排他なSATAを2ポート持っています。
性能についてはRTD1619Bのベンチマークデータが全く見当たらず。
“B”のないRTD1619(6コア、1.3GHz)がGeekBench5でマルチ360なので、4コア(3分の2)にして動作周波数差(1.3GHz→1.7GHz)をかけると、推定313という数字になります。
Atom x5-Z8350が370なので、それより一回り低い程度ですね。
基本はストレージ機能に専念させて、アプリを一つ二つ動かせる程度の性能と考えれば良さそうです。
メモリとストレージ
メモリはオンボードの1GB DDR4。増設は非対応です。
ストレージは2.5/3.5インチが2ベイ。
昨今のミドル~ハイエンドNASのような内部M.2スロットはありません。
その他
無線LANは非対応。
有線LANは1GbEが1ポート。
2023年のトレンド的に2.5GbE化されてもおかしくないとは思うのですが、SoCが2.5GbEに対応できないっぽい感じです。
まぁ、最エントリークラスなのでこの仕様は仕方ないですね。
電源アダプタは40W。消費電力は20.1W(4TB HDD×2稼働時)とされています。
OSは独自(と言ってもLinuxベース)のTOS 5。
ファイルシステムはEXT4の他にBtrfsにも対応、独自機能としてTFSS(Btrfsベースのスナップショット機能)というものを実装しています。
また、プレスリリース内ではTOS 6の登場も示唆されています。
外観
正面とサイドです。
これまでのアルミ色から一転、シックなブラックとなりました。白物ならぬ黒物家電感があります。
正面にはUSBインターフェースはなし。ここはTerraMasterの伝統にのっとっています。
代わりにサイドロゴはスリットが入り、吸気口を兼ねるようになりました。
背面です。
USB3.0とUSB2.0が1ポートずつにシングル1GbE。ファンは80mmです。
HDDベイはプッシュロック式に。これで正面の見た目がシンプルになっています。
HDDトレーの構造はこれまでとあまり変わらず。
まとめ
「F2-212」の価格は25,990円。記事執筆時点では発売記念で15%オフの22,091円となっています。
旧世代の「F2-210」は公式ストアでは22,990円で販売されているものの、Amazonでは販売終了(マーケットプレイス商品のみ)。
昨今の情勢(円安や半導体不足)を考えると、新製品で2.2万円というのは悪くないと思います。
まぁちょっと古いのまで入れるとASUSTOR「AS1102T」が2.5GbEで2.3万円なんですけど。
2.5GbEでなかったのは残念ですが、「F2-212」は個人向けなので、スマホやドキュメントのバックアップとか写真整理、他にはマルチメディアサーバーとか、あくまで一般家庭での使い方を想定したNASです。
これらの使い方であれば1GbEでも事足りるんですよね。
PCにマウントして直接やり取りするとかであれば足りないでしょうが、ヘビーな使い方をしたければ上位の「F2-223」などを使えって話になるわけですし。
何にせよ、最小限の値上げで最エントリーモデルが更新されたというのは歓迎すべきことと言えそうです。
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