2023年12月1日、SBCメーカーのXunlong Softwareは、中国語ページ限定で「Orange PI AIpro」を発表、JD.comにて発売しました。
スペック
■ Orange PI AIpro | |
CPU | Huawei Ascend |
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メモリ | 8/16GB LPDDR4X-3200 |
ストレージ | なし |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 USB 3.0×2 HDMI2.0×2 1GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ac+BT4.2 |
サイズ | 107×68mm |
特徴
SoC
「Orange PI AIpro」のSoCは4コアのHuawei Ascendプロセッサ(型番不明)です。
このSoCについて分かっているのはNPU性能が8TOPS(FP16)または20TOPS(INT8)ということくらいで、Ascend 310(8/16TOPS、2018年発表)のバリエーションであるAscend 310Bではないかと推測されています。
バリエーションといってもAscend 310は8コアのCortex-A55、Ascend 310Bは4コアのCortex-A76と、全くの別物になるようですが。
Ascend 310ではNPU(AI アクセラレーションチップ)として、Da Vinci MaxAIを2コア搭載しており、おそらく「Orange PI AIpro」のSoCにも似たようなNPUが搭載されていると思われます。
というか、根本的に情報が少なすぎるんですよね。
2020年の米国による制裁措置以降、公開情報が極端に減っていて、ほとんどわからないというのが実情です。せめてブロックダイアグラム図くらいは欲しいんだけどなぁ…
メモリ
「Orange PI AIpro」のメモリは8GBまたは16GBのLPDDR4X-3200。
ストレージは非搭載で、eMMCスロット、M.2 SATA/NVME SSD(2280)スロット、およびmicroSDスロットを備えています。
M.2 SSDの速度については不明です。
その他
無線LANはWi-fi 5(802.11ac)対応、Bluetoothはv4.2。
有線LANは1GbEです。
電源はType-Cで最大20V・65Wまで対応。
…65W食うってどんな時だろう…?
対応OSはUbuntuおよびopenEuler。
openEulerは2019年にHuaweiが公開したCentOS派生のディストリビューションです。名前の通りオープンソースではありますが、米国githubではなく、中国版githubのgiteeで公開されています。
参考 openEuler公式サイト:gitee
参考 openEuler:gitee
外観
インターフェースです。
外観自体は一般的なSBCと変わりありません。107×68mmと大柄な分、MIPI端子などを詰め込めるだけ詰め込んでいるなぁと。
映像出力はHDMI2.0(4K/60Hz対応)が2ポートと、MIPI DSI(2レーン)が1ポート。カメラ入力はMIPI CSI-2(2レーン)が2ポートです。
MIPIについては下記サイトが分かりやすくまとめられています。
参考 新人がゼロから学ぶMIPI規格 ~ 基礎編:macnica
ちょっと変わっているのが、右側にある2pinの電源入力。
ここにはリチウム電池を接続することができます。
端子面。
左端は電源ですが、SBCでType-C含めてUSB3.0が3ポートあるのは結構リッチです。
ケースもあって、こんな感じです。
まとめ
「Orange PI AIpro」の価格は8GBモデルが899元(約1.8万円)、16GBモデルが1,149元(約2.3万円)です。
RK3588でも6TOPS(INT8)ということを考えると、20TOPS(INT8)という2.5倍の性能を持つAI特化ボードとしては価格に見合っていそうです。
HuaweiはMindSporeというAIフレームワークや、 Ascend MindStudioという開発ツールなど独自のAI向けエコシステムを構築しています。
Huawei製SoCを搭載する「Orange PI AIpro」は、そのエコシステムに触れるためのツールとしてもいけそうです。
とはいえ現状グローバルでHuawei製品を使うことはリスクですし、Huawei製品の使用を前提とした開発ボードの需要もありません。
中国国内のみでの販売も必然と言え、個人輸入しない限り日本で手にすることはなさそうです。
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