【レビュー】Marshall Motif II A.N.C.:音も機能もデザインも最高なワイヤレスイヤホン

レビュー

Marshall(マーシャル)は1962年に設立された、世界を代表するイギリスのギターアンプメーカーです。ほとんどの人はライブや音楽番組などで一度はそのロゴを目にしているはずです。
そのMarshallは2009年からヘッドホンとスピーカーの開発をスタート、現在ではスピーカー・イヤホンの分野でも一定の存在感を見せています。

そのMarshallの手掛けるワイヤレスイヤホンの最新モデルが「Motif II A.N.C.」です。
がじぇっとりっぷでは多数のイヤホンをレビューしている縁から、この製品をレビューする機会をいただいたので、どんなものか見ていきます。

当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。機材を提供いただいたMarshall様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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Marshall Motif II A.N.C.

GoodPoint
デザインがかっこいい
生声のような再現力
LC3対応(予定)

BadPoint
LDAC・aptX非対応
音声アナウンスなし
防水は低め

スペック

モデルMOTIF II A.N.C.
Bluetoothバージョンv5.3
対応コーデックSBC、AAC、(LC3対応予定)
ドライバー径6mm
インピーダンス16Ω
周波数20Hz-20kHz
感度108dB
バッテリー駆動時間約9時間
約6時間(ANCオン)
バッテリー駆動時間
(ケース込)
約30時間
約43時間(ANCオン)
充電時間約1.5時間(本体)
約1.5時間(ケース)
急速充電15分充電で1時間再生
充電端子USB Type-C
防水&防塵規格IPX5(本体)
IPX4(ケース)
重量本体:約4.31g
ケース:約47.1g
Bluetooth Audioは、従来の規格をBluetooth Classic Audio(SBCやAACなど)とし、新たにBT5.2以上で対応するBluetooth LE Audio(2020年発表)という規格を策定しました。
LC3は「Low Complexity Communications Codec」の略で、Bluetooth LE Audioにおける必須コーデック。要は次世代規格におけるSBCのような扱いです。
LC3は高品質・低消費電力が特徴で、160kbpsでもSBCの345kbpsより高音質とされています。

パッケージ

内容物
・イヤホン本体
・充電ケース
・イヤーチップ(S/M/L)
・充電ケーブル(約20cm)
・クイックスタートガイド
・安全に関する注意事項

操作について

設定
電源オン・オフ3秒長押し
ケースに入れる
ペアリング蓋を開け、ケースボタン3秒長押し
(LEDが青点滅)
リセット10秒長押し
出荷時設定蓋を開け、ケースボタン10秒長押し
(LEDが紫に)
ANC3秒長押しでANC/TRA切り替え
(オフにはできない)
Spotify Tapダブルタップ後長押し
音楽
再生/停止1回押し
次の曲2回押し
前の曲3回押し
通話
電話に出る2回押し
電話を切る2回押し

「Motif II A.N.C.」の操作系は複雑さを排除した、割とシンプルなものになっています。
細かな設定はアプリに任せるスタンスですね。

本体操作から音量操作を排除したのは、よくやったなぁと。
まぁそもそも頻繁に変更する項目ではないですし、スマホやPC側で最初に設定すれば終わりというのもあります。さらに言うと誤操作で音量が変わる不快感を排除することにもなり、実は結構合理的な発想と言えます。

Spotify Tapは、Spotifyアプリと連携しておすすめの曲を流す機能です。

なおローカライズはないらしく、ポンポンという効果音だけで音声案内はありません。この点だけは数少ない不満です。
英語でもいいから音声案内があった方が分かりやすいんですけど、長々としゃべり終わるのを待つのとどっちがいいかと言われれば難しいところです。

使ってみた

接続について

ちょっとびっくりしたのが接続画面。
左右イヤホンはともかく、ケースのバッテリー残量まで表示されました

「Motif II A.N.C.」の対応コーデックはSBC、AAC、LC3ですが、LC3は現状未対応なので、AACでの接続となります
ここはLDACかaptX Adaptiveにも対応していたらうれしかったですね。

また、「Motif II A.N.C.」はマルチコネクトに対応していて、同時に2デバイスに接続できます。接続先は8デバイスまで記憶でき、直近の接続を優先します。
流石に同時には鳴らせませんが、再生停止してすぐに別のデバイスから再生できる手軽さはちょっと面白かったり。

アプリについて

「Motif II A.N.C.」はMarshallアプリで管理できます。

個人的にうれしかったのがこれ。ユーザー登録をスキップして、非ログインで使えます
イヤホンのレビューのたびに書いていますが、アプリのユーザー登録必須の意味が分からないので、この仕様はすごくいいです。

前述したように「Motif II A.N.C.」は細かな設定をアプリに任せるスタンスなので、相当に作りこまれています。

イコライザーはプリセットが5種類。カスタムは手動設定です。
あまり細かな設定はできず、5つの周波数帯で設定します。

バッテリー保護機能まであるのはちょっと驚き。
まぁ、「Motif II A.N.C.」は気軽に買い換えしづらい高級機なので、バッテリー劣化を抑えて長く使えるようにという配慮はありがたいですね。

かけ心地

「Motif II A.N.C.」はインイヤータイプのワイヤレスイヤホンですが、耳の形に良くフィットします
形状的にもイヤーチップで支えることにはなっていないので、インイヤーながら耳が痛くなりにくいのもポイント。

がじぇっとりっぷはすぐ耳が痛くなるタイプですが、「Motif II A.N.C.」の場合はバッテリーが100%→40%になるまで(約4時間)装着していても耳が痛くならず、ちょっと驚きました。

音質について

「Motif II A.N.C.」のドライバー径は6mm
最近の主流が10mm以上なことを考えると、かなり小型です。

全体の音は透明感のある、抜け感のいい音です。

低音・重低音はさすがに力強さや重さはないもののスカスカ感はなく、アタック感がある(音の立ち上がりが強い)のでほどよく主張しています。

中音から高音は、今まで聞いてきた中でも最高レベル。
とにかく表現力と解像感がすさまじく、今ハイレゾで聞けないのが惜しいくらいです。

ボーカルがやや前に出ていて、生音に迫る勢い。再現力が高すぎて、YouTubeだと高周波成分がカットされて音が欠けているのが(曲によっては)はっきり分かるレベル。
音の輪郭がはっきりしていて、一音一音がしっかりと聞きとりやすく、ささやくような声や鼻にかかった声も情緒豊かに表現、そのうえで楽器の音も個別に存在感を出しています。

Marshallらしくギターの表現力が高く、和洋問わずバンド曲にとにかく強い。いや、バンド曲に限らず大体の曲に合いますが、バンド曲は頭半分抜けた感じ。
音量を上げても全然破綻しないので、かなり音量高めで聞くとすごく気分が盛り上がります。

音質はデバイス側のチップや再生ソフトなど、視聴環境によっても大きく変化します。また、聴き手の好みやジャンルによっても左右されます。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
また、長時間にわたる大音量での視聴は聴覚障害を引き起こす可能性があります。

ANC/TRAについて

「Motif II A.N.C.」は名称の通り、ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を内蔵しています。
どのくらいの強さかというのは記載がありません。

ANCはアプリから設定し、強度は3段階。”強”にするとホワイトノイズが結構出るので、”低”か”中”で使うのがおすすめ。

ANCをオンにすると騒音はある程度消えるものの、”強”にしても完全には消え去りません。
この辺りはメーカーの考え方もあるのでしょうが、Marshallの場合は無理に消し去るのではなくて、音楽の邪魔にならない程度に抑える方針なのかなと。
強すぎるANCは違和感を感じる人も多いので、あえて抑えているのかもしれません。

また、「Motif II A.N.C.」の音作りはANCオンを標準としているようで、ANCをオフにすると音が少しぼやけます。

TRA(トランスペアレンシー)は外音取り込みモードのこと。これも3段階に設定できます。

“強”にするとちょっと大げさ感があるというか、外音の方が強調され過ぎます。
ちょうどいいのは”低”ですね。

長押しでANCとTRAを切り替えられるので、話しかけられた時もスムーズに対応できますし、この辺りは考えられているなぁと。

外観

外箱です。

内箱は下にスライドします。

再掲ですがパッケージ全体。

同梱品

充電ケーブルは約20cmと短いものの、本体やケースに合わせた独自デザインのかっこいいやつが入っていました。
この辺りまで作りこむのが、コストを追求しがちな中華系とは根本的に違うなぁと。

イヤーチップは紙箱に納められています。

マニュアルはグローバル共通で、36か国語で記載されています。

新参企業とは違ってフォントも文法も完璧でした。

ケース

ケースはMarshallアンプのキャビネットカバーを思わせるシボ加工。メーカーとしての一体感を感じられるというか、つい人に見せたくなるデザインです。
ロゴの下にはリセットボタン。

充電端子は底部。ワイヤレス充電にも対応しています。

蓋を開けたところ。

認証情報は蓋の裏に掲載。

参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(217-230924):総務省

本体

本体のデザインも秀逸で、スティック部のローレット加工はホールド感がよく、先端のゴールド部分はアンプのつまみを思わせます。
小さな丸い部分は装着センサーで、イヤホンを耳から外すと再生が止まります。

スティック部先端の中心には通話用マイクの穴。

本体上部にはANC/TRAで使う環境音マイク。

メッシュの中に見えているのは多分フィードバックマイク。

重さは本体が9.0g(片方4.5g)、ケース込みで56.3g。
仕様(4.3g)より重いのはイヤーチップ分ですね。

まとめ

「Motif II A.N.C.」の価格は29,800円
がじぇっとりっぷがレビューしてきたインイヤータイプのワイヤレスイヤホンの中ではダントツの高級品です。

まぁ音質は最上と言ってもいいくらいですし、デザインもダントツ。ファッション性という点では飛び抜けています
というか音楽をかじった人や現役のバンドマンなら、これを見た後に中華系のイヤホンはなかなか選びづらいのでは?

アプリで設定できる内容も結構こまやかですし、がっつり音を楽しみたい人にはお勧めです。

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