2024年3月24日、SBCメーカーのRadxaはRockchip RK3588S2を搭載した「ROCK 5C」およびRockchip RK3582を搭載した「ROCK 5C Lite」を発売しました。
スペック
■ ROCK 5C/5C Lite | |
CPU | Rockchip RK3588S2 Rockchip RK3582 |
---|---|
メモリ | 1~32GB LPDDR4x |
ストレージ | eMMC microSD |
インターフェース | USB Type-C(電源)×1 USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6+BT5.4 |
サイズ | 85×56mm |
特徴
「ROCK 5C」は、「ROCK 5」シリーズの新モデルです。
「ROCK 5A」が「Raspberry Pi 4」風のインターフェースだったのに対し、「Rock 5C」は「Raspberry Pi 5」的な要素を取り入れたものとなっています。
また、「ROCK 5」シリーズでは初めて、下位モデルとなる「Rock 5C Lite」も同時に発売されました。
「ROCK 5C Lite」の目的は35ドル以下SBCの市場にハイパフォーマンス&高機能を持ち込むことだそう。
SoC
「ROCK 5C」のSoCはRockchip RK3588S2。RK3588Sとの違いはMIPI-CSIの数が増えた程度です。
ブロックダイアグラムもそっくりです。
「ROCK 5C Lite」のSoCはRockchip RK3582。
これはRK3588SからCortex-A76コアを4コア→2コアにし、iGPUのMali-G610を削除、NPUを6TOPS→5TOPS、エンコーダを8K→4Kにしたものです。
RK3582の正体は歩留まり改善のため、(コアの一つが不良とかではじかれた)RK3588Sの一部のコアをロックして再利用したものではないかという見方が強いようです。
なのでRadxaの中の人も「ラッキーなら4コアにできる、ラッキーならGPUも動く」という趣旨のコメントを残しています(現在は修正され、4コア化についてはなかったことに)。
かつてのPhenom II X3の4コア化ブームの時のように、不良品の再利用だけでは賄えなくなって、健常品をロックして混ぜるという形になるのでしょう。そう考えると、不良品の再生品が中心となっていそうな初期ロットは避けたほうがいいのかも?
ちなみにコメント画像にもあるように、性能は「RK3399よりも高いよ!」とのこと。
メモリとストレージ
「ROCK 5C」のメモリは2GB~32GB LPDDR4x。記事執筆時点で販売されているのは4GB~32GBです。
「ROCK 5C Lite」のメモリは1GB~16GB LPDDR4x。記事執筆時点で販売されているのは8GBおよび16GBです。
ストレージはeMMCまたはmicroSD。
拡張ボード(PCIe to M.2 HAT)を使えばM.2 SSDにも対応しますが、肝心の拡張ボードが未発売です。
また将来的にはSATA×5な「Penta SATA HAT」(現行品のケーブルを「Rock 5C」用に変更したもの)を発売する予定。
その他
無線LANはWi-fi 6(802.11ax)対応。チップはRadxaオリジナルで、Bluetoothはv5.4に対応します。
有線LANは1GbE。PoE HATを使えばPoEにも対応します。
電源はType-C(5V)。コスト優先なのでUSB PDは非対応です。
NVMe HATを使わなければ5V/3Aでいいとのこと。
外観
インターフェースです。
「ROCK 5C」と「ROCK 5C Lite」はSoCが違うだけで、他は同じです。
HDMIがフルサイズとなり、PCIeがFPCは(Flexible Printed Circuits、フレキシブル基板)コネクタとなっています。
ところで、GPUのない「ROCK 5C Lite」だとHDMI出力はどうなるんでしょうね?CUIかな?
あと地味にmicroSDスロットが深いタイプ。最近は浅いタイプが多かったので、ちょっと新鮮です。
まとめ
価格の前にうれしい情報が。2024年3月にRadxaはAliExpressに公式ストアをオープンしました。
なのでALLNET ChinaやAraceといった公式ストアに個人情報を預けることをためらっていた人も買いやすくなっています。
「ROCK 5C」と「ROCK 5C Lite」の価格は以下の通り。日本円表示はAraceを基本とし、Araceで売り切れているモデルはAliExpressの価格を表示しています。日本円表記のないものは在庫切れ、もしくは未発売です。
5C Lite (1GB):29.9ドル
5C Lite (2GB):34.9ドル
5C Lite (4GB):44.9ドル (7,914円)
5C Lite (8GB):64.9ドル (10,300円)
5C Lite (16GB):104.9ドル (16,600円)
5C (2GB):49.9ドル (8,772円)
5C (4GB):59.9ドル (9,500円)
5C (8GB):79.9ドル (12,700円)
5C (16GB):119.9ドル (19,000円)
5C (32GB):199.9ドル (31,600円)
宣言通り、「5C Lite」の1GBと2GBモデルが35ドルを切っています。まぁ売ってないんですけど。
ちなみにUSB PDとM.2 Key Eで国内での使い勝手がいい「ROCK 5A」(Wi-fiモジュールなし)は8GBモデルが13,500円、32GBモデルが32,400円なので、極端に価格が安いというわけではありません。
とはいえ、PCIeをFFCソケットにすることで「Raspberry Pi 5」向けHATを使えるようにしたこと、(売ってないけど)下位モデルで35ドル以下SBCに切り込んだことは結構意義があるかなぁと。
なお、コミュニティフォーラムではさらっと「ROCK 5B+」(「ROCK 5B」のアップデートモデル)の予告があったり、RK3528搭載の2種のSBC(ROCK 2AとRadxa E20C)を開発中で、ROCK 2Aは1GBモデルを15ドルにする計画などをさらっと話していたりと、Product Managerがかなりはっちゃけたコメントを残しまくっています。
関連リンク
製品ページ:Radxa
販売ページ:AliExpress
ニュースリリース:Radxa
リリースノート:Radxa Community
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