ニッチすぎる… Lindenis Tech「Lindenis V5」は映像処理特化のSBC

シングルボード

(おそらく)2018年8月31日、新興企業のLindenis Techが映像処理特化SBC(シングルボードコンピューター)の「Lindenis V5」を発売しました。

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スペック

modelLindenis V5
メーカーLindenis Tech
発売日2018/08
価格499元
価格(日本円)
CPUAllwinner V5
(1.5GHz A7 x4)
GPU
メモリー1GB DDR3
サポートOSLinbian
有線LAN1GbE x 1
Wi-fiSDIOコネクタ
BluetoothSDIOコネクタ
チップAXP233
ストレージ microSD(max256GB)
eMMC
USB2.0 x 4
2.0 x 1(micro)
GPIO40pin x 1
6pin x 1(ADC)
14pin x 1(I2S)
映像 HDMI(1.4 4K/30Hz)
MIPI-DSI(4lane,1080p)
カメラ MIPI-CSI2(4lane) x 2
オーディオジャック○(in/out)
その他インターフェースマイク(ステレオ)
消費電力
電源 DC5V/2A(microUSB)
DC3.7V(VBAT)
130mm
奥行き85mm
高さ
その他

特徴

タイトルや冒頭にもあるとおり、「Lindenis V5」は映像処理に特化したSBCとなります。

公式wikiでは以下のような用途の製品の開発・確認をターゲットに挙げています。

・SDV(おそらくソフトウェア・デファインド・ビークルの略)
・スマートIPカメラ
・ドライブレコーダー
・スマートカメラ
・3D/VRカメラ
・パノラマカメラ
・ナンバープレート認識
・顔認識デバイス

どれも画像認識とか画像処理をベースにした付加機能をもたらすものばかりです。

SoCとなる”Allwinner V5″は、Allwinner自身が「designed for HD IP Camera」と謳っており、まさに映像入力に特化していることが伺えます。

ブロックダイアグラムを見ても、映像処理系が多いことがわかります。

CPU部分こそ1.5GHz駆動のCortex A7が4コアと、2011年に登場したアーキテクチャを使っており、今となっては下から数えたほうが早い程度の性能です。
Snapdragonでいえば200番台といえば性能の低さが伝わるでしょうか。

一方でこのSoCの中心とも言えるのが”AIE(Allwinner Intelligent Engine)”です。
映像・動画解析処理に特化した組み込みのエンジンで、動体検知、映像判定、顔検知などをサポートします。

AIEはCVE(Computer Vision Engine)とEVE(Embedded Vision Engine)から構成されています。

CVEは人・車・動物など動くものを対象にした高速・高精度な動体検知モジュールで、最小で8×8ピクセルの物体の検知が可能です(入力は最大720p@10fps)。
条件設定もできるようで、異常速度・徘徊・警戒ライン・違法駐車などの解析アプリをサポートしているとのこと。

EVEはより厳密な検知向けに設計されており、360p解像度なら30fps以上での検知が可能です。HAARにも対応。
また、積分グラフ計算による特徴点抽出などもできるようです。
で、これで何ができるのかというと、一言で言うと画像ベースの機械学習です。顔認識からの個人の特定とか、ナンバープレートの読み取り(数字や文字の特徴を学習)などですね。

入力では2つのISP(image signal processor、ようはカメラ)があり、13M@30fpsと8M@30fpsの入力が可能です。
ISE(Image Stitch Engine)モジュールを持っており、フィッシュアイレンズの補正や360°モード、3Dカメラなどがサポートされています。

ただし、リアルタイムエンコーディング(H.265/H.264)は4K/30fpsとなっています。
これを利用してアクションカメラなどに使われる例もあるようです。

もう一点注意するのが、なんか凄そうに書いていますけど所詮は安いSBCなので、性能上限はあまり高くありません。
まさに開発とか動作確認とかが中心で、4K映像をリアルタイムでバリバリ解析しまくる、みたいな期待はしないほうがいいでしょう。

長々とSoCの内容を書いてきましたが、ここからはボードについてです。

インターフェースは上の画像の通り。USBは2.0です。
HDMIは1.4なので最大で4K@30fpsとなっています。
ステレオマイクが搭載されているのは音声操作用でしょうか。

ストレージはmicroSDかeMMC(スロットのみ)です。

Wi-fiはソケットがあるもののデフォルトでは搭載されていません。

電源はmicroUSBからの5V/2A入力か、バッテリーコネクタからの3.7V(リチウムバッテリー)のデュアル電源となっています。

OSはLinbianというDebian 9ベースの独自ディストリビューションです。
上の画像がその構成なのですが、機械学習ライブラリのTensorFlowや”Allwinner V5″のドライバ、映像処理系のアプリなどが最初から入っています。

まとめ

Lindenisは組み込み向けの研究開発(R&D)に焦点を当てた企業で、中国広東省珠海市(マカオ都の国境にある市)にあり、2017年の設立です。
「Lindenis V5」が最初の製品であり、この先のサポートなどは正直いって未知数です。

「Lindenis V5」自体はすでに中国のショッピングサイトtaobaoで販売されており、価格は499元(約8100円)です。
オプションとしてはSony製のセンサー(IMX317)を搭載した800万画素カメラ(199元=約3200円)やeMMCモジュールがあります。

がじぇっとりっぷは機械学習も映像認識もさわりと呼ぶのもおこがましい程度にしかやっていないので、今回の記事はかなり難産でした。
特に”Allwinner V5″の仕様がわかりづらいというか、LindenisがAllwinnerから渡されたと思しきドキュメントが軽く900ページを超えていたりと、必要な情報を探すだけでひと手間でした。

関連リンク


Interface 2018年 07月号 (amazon)

The most cost-effective intelligent video processing SBC – Lindenis ※英語
Lindenis V5 – wiki ※英語
Lindenis Tech – taobao ※taobao内のLindenisのショップページ

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