3ベイ流行ってるの? QNAP「TS-332X」はM.2 SSD×3に10GbE(SFP+)付き

2018年9月3日、NASメーカーのQNAPが3ベイNAS「TS-332X」を発表しました。

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スペック

※比較のために同じ外装でミドルレンジのホーム/SOHO向けNAS「TS-328」を併記します。

型番 TS-332X TS-328
メーカー QNAP QNAP
価格 29,800円
発売日 2018/9 2018/04
150 150mm
高さ 142 142mm
奥行き 260.1 260.1mm
CPU Annapurna Labs Alpine AL-324 1.7GHz Quad-Core Realtek RTD 1296(Cortex A53、4コア、1.4GHz)
内部フラッシュメモリ 512MB 4GB
メモリ 2GB/4GB DDR4-2400 2GB DDR4
最大メモリ 16GB ×
ホットスワップ
SSD対応
NIC
(1GbE)
2 2
NIC
(10GbE)
1(SFP+) ×
LA/PT
USB2.0 1
USB3.0 3 2
USB type-c ×
eSATA ×
PCIe ×
SDカード ×
HDMI ×
4K対応 ×
DisplayPort ×
S/PDIF ×
ライン出力
スピーカー
赤外線
レシーバー
×
ハードウェア
暗号化
ハードウェア
アクセラレーション
H.264/H.265
IPカメラ
(無償)
8 4
IPカメラ
(最大)
16 16
仮想化
(VMWare)
× ×
仮想化
(Windows)
× ×
仮想化
(Citrix)
× ×
仮想化
(OpenStack)
仮想マシン
(VirtualBox)
× ×
仮想マシン
(Docker)
対応RAID 0/1/5 2000/1/5
ファイルシステム EXT4 EXT4
システム
ファン
140mm x 1 90mm x 1
ノイズレベル 20.4dB 16.5dB
Wi-fi USBアダプタ
消費電力 26.22W 18.35W
重さ 1.64kg 1.64kg
DTCP+
DTCP-IP
DLNA
iSCSIターゲット 256
iSCSI LUN
ユーザー数 4096 600
グループ数 512 128
並列接続数 700 128
共有フォルダ 512 256
スナップショット 64 64
read性能 1085 225
write性能 526 155
read性能
(暗号化)
914 222
write性能
(暗号化)
407 146
備考 M.2スロット x3

特徴

「TS-332X」はSMB(Small & Middle Business、中小企業)向けのエントリーレベルに属するNASとなります。
外装は以前に紹介した同じ3ベイNASの「TS-328」を流用しており、サイズは共通となっています。

「TS-332X」の特徴のひとつ目は、10GbE LANポートを備えていることです。
このポートは普段私達が使っているRJ45ではなく、エンタープライズで使われるSFP+という規格になっています。
大雑把な比較は以下の表の通り。

10GBASE-T 10GBASE-SFP+
ポート RJ45 SFP+
ケーブル 銅(Cat.6A以上) 銅/光ファイバー
最大長 100m 10m(銅)
300m(光ファイバー)
10kmの規格もあり
消費電力
(1ポートあたり)
3.5〜5W 1W
ケーブル価格(1m)
cat.6Aで500円〜

2000円〜

SFP+は2009〜2010年ころから使われ始め、データセンター内でのサーバー間通信などによく使われています。
コネクタ部と光ファイバーケーブル部に別れており、長さの調節がしやすかったこと、コネクタと銅ケーブルが一体化した安価なケーブルが登場したことなどから、10GbEの主流となりました。

上記の理由からSFP+は10GbEの標準的トランシーバーとして使われていること、RJ45は見慣れている反面、10GbEではケーブルを選ぶ(Cat.6A以上)ことからユーザーが混乱しやすいことなどから、あえてSFP+にしているんじゃないかと思います。

ただ、民生ルーターでSFP+を搭載しているものは少ないため、高確率で10GbEスイッチを購入する必要があるのが難点です。
また、ここ数年で10GBASE-Tが一気に伸びてきているので、数年のうちにスタンダードの地位が入れ替わるかもしれません。

もうひとつの大きな特徴は、「TS-328X」が自動階層化技術「Qtier」に対応していることです、

「Qtier」は頻繁にアクセスされるデータを高性能ストレージ(M.2 SSD)に、アクセスの少ないデータを安価な高容量ドライブ(HDD/SSD)に自動的に移動する自動階層化技術です。これまではミドルレンジ以上のNASで採用されていました。
この技術の実現のために、「TS-328X」は3つのM.2スロットを備えています。3つあるのはM.2 SSDでもRAID5を取ることで読み取り構造と耐久性を向上させるためです。

また、このM.2 SSDはSSDキャッシュとしても活用することができるようです。
「Qtier」はアクセス頻度に基づいて定期的にデータをM.2 SSDに移動しますが、SSDキャッシュは頻繁にアクセスされるデータを自動的に複製します。

これは「TS-332X」の正面画像ですが、M.2 SSD用のLEDが追加されているのがわかります。いかにも後付けっぽいですね。

同じく「TS-332X」で使えるようになったミドルレンジ以上の機能が、未使用のストレージ領域を他のNASから仮想ディスクとしてマウントする「VJBOD(仮想JBOD)」です。JBODは”Just a Bunch Of Disks(ただのディスクの束)”の略です。

簡単に言えば、他のQNAP NASを外付けストレージとして使えるということですね。10GbEの恩恵を受ける技術と言えるでしょう。
前述の「Qtier」と連携することも可能で、負荷分散したり、HDD NASとSSD NASで使い分けたりということができるようです。

面白いのがQNAP NASのOSにあたるQTSの4.3.5から導入されたSSD RAIDエキストラオーバープロビジョニング(OP)です。

そもそもSSDのNANDフラッシュには書き込み上限回数が決められています。
オーバープロビジョニングとはSSDの容量の一部を予備領域とすることで、書き込み上限に達した領域を予備領域と交換することで、SSD全体の寿命を伸ばす技術です。
メーカー側でも基本的に7%の予備領域を確保(物理容量128GBだと、利用可能容量は120GBとなる)しているものですが、QNAPではソフトウェア的にさらなる予備領域を確保することで、より長大なSSD寿命を確保します(その分利用可能容量は減ります)。

正直、普通に交換すればいいじゃんと思うわけですが、SMB向けだと家庭用より書き換え頻度が高いこと、交換にも手間がかかること、交換時の失敗でデータが失われることが許されないことなど、寿命を伸ばすメリットのほうが大きいんだと思います。

ストレージの交換は本体を横に向けて行うようです。
ホットプラグには対応しておらず、外装を開けて交換します。

CPUはCortex-A57ベースの1.7GHz クアッドコアCPU「AnnapurnaLabs Alpine AL-324」です。
同じくエントリークラスの10GbE搭載モデルである「TS-431X2」はCortex-A15ベースの1.4GHz クアッドコアCPU「AnnapurnaLabs Alpine AL-314」です。

両者を比べると、製造プロセスルールが変わり(28nm→20nm)、同一周波数での消費電力が下がった結果、同程度の消費電力でも動作周波数が大幅に高くなっています。
結果、周波数あたりの性能が向上(3.5 DMIPS/MHz→4.1 DMIPS/MHz)したことも相まって、1.5〜2倍程度の性能アップを果たしていると思われます。

また、メモリは最大16GBまでの対応(1スロット)となり、これまでオンボードで交換不可だったエントリモデルにもメモリ増設の波がきています。

こうしてCPUとメモリが揃ったことで、エントリモデルでありながら本格的にコンテナ仮想化環境を動かすための下地が整っています。

まとめ

「TS-332X」はミドルレンジ以上の機能をエントリーレベルに持ってきており、世代をひとつ進めたなという感じがします。
位置づけはエントリーレベルなのですが、性能も機能も1〜2年前のミドルレンジより上になっています。

価格についてはまだ出ていませんが、4万円前後ではないかと予想しています。

性能も機能も優秀な「TS-332X」ですが、がじぇっとりっぷ的不満点は、やっぱり3ベイであるということです。なんで4ベイじゃないんだろう…

4ベイNASについては今年に入ってから発売されたのが「TS-453Be」のみなので、そろそろ新しいのが出てくるんじゃないかと思っています。
特に「TS-431X2」の後継となる「TS-432X」が6万円前後で出るんじゃないかと期待しています。
まぁ、出たら出たで「TS-332X」の立場がなくなるんですが…

関連リンク


QNAP TS-328 (amazon)

TS-332X – QNAP