2018年10月19日、SBC(シングルボードコンピューター)のODROIDシリーズを手掛けるHardkernel社が、公式フォーラム上で「ODROID-H2」を発表しました。
2018年12月19日追記:2018年11月20日に販売開始しました。詳細は後述。
スペック
model | Odroid-H2 |
メーカー | Hardkernel |
発売日 | 2018/11 |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Intel Celeron J4105 (2.3GHz x 4) |
GPU | UHD 600 |
メモリー | DDR4-2400(最大32GB) |
サポートOS | Windows Ubuntu |
有線LAN | 1GbE x 2 |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | RTL8111G x 2 IT8763E ALC662 |
ストレージ | SATA3 x 2 eMMC5.1 M.2 M-key(2280) |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 |
GPIO | 20pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0 4K/60Hz) DP(1.2 4K/60Hz) |
カメラ | × |
オーディオジャック | ○ SPDI/F x 1 |
その他インターフェース | |
消費電力 | 22W |
電源 | |
幅 | 110mm |
奥行き | 110mm |
高さ | 43mm |
その他 |
特徴
「ODROID-H2」はARM系ではなく、Intel CPUを搭載したSBCとなります。
Intel CPUを搭載したSBCはこれまでも「Latte Panda」や「UP Core」などがありますが、Gemini Lake世代はおそらく初めてとなります。
とはいえ、「ODROID-H2」は110mm×110mmとかなり大型で、NUC規格(101.6mm×101.6mm)より大きかったりします。
もうこれただの小型PCマザーボードじゃ?とも思ってしまうわけですが、eMMCソケットがあったり、I2C+UARTの20pinヘッダがあったりと、通常のPCマザーボードにはないインターフェースが搭載されています。
ここでATmegaのチップを追加してGPIO搭載となっていればよりSBCっぽくなったのですが、流石にそこまではしなかったようです。
2018年12月19日追記:Windowsをインストールした場合、I2Cの20pin以外は問題なく動くとのこと。
表面です。
真ん中にCPUが鎮座しています。CPUの右側にあるのがeMMCソケットです。
SATAが2ポートあるのがNUCに対する優位点ですね。
インターフェース面の画像はないのですが、TOP画像で少しわかります。
左から電源、LANポート+USB2.0×2、LANポート+USB3.0×2、DisplayPort+HDMI、ヘッドホン・マイク・S/PDIF、となっています。
がじぇっとりっぷ的にはSATAが2ポートあり、LANポートも2ポートというのは、NAS(もしくは自宅サーバー)を作れと言っているようにしか見えないわけですが、どうでしょう?
Wi-fiはなく、Wi-fiカード用スロットも用意されていません。
Celeron J4105には転送速度最大1,733MbpsのWi-Fi機能「Intel CNVi」が実装されているため、対応するモジュールを組み込めたらギガビットWi-fiも可能だったのですが…
HDMIとDPは同時出力が可能なため、2画面表示もできます。
どちらも4Kには対応しており、4K+4Kは表示はできますが、スペック的に実用は厳しいんじゃないかと思います。
裏面にはメモリスロットとM.2スロットがあります。
メモリはIntelの仕様上では最大8GBなのですが、ODROID側のテストでは32GB(16GB×2)も認識し、memtestも完走したとのこと。
メモリとSSDを外したらこんな感じです。
ブロックダイアグラム図です。
基本はCeleron J4105が持つインターフェースを活用していることがわかります。
Celeron J4105はPCIe2.0が6レーンしかないので、4レーンをSSDに、残り2レーンをLANポートに割り振っています。
また、ケースについても4タイプ設計し、フォーラム内で意見を募集しています。
SATAが2ポートあるので、どう組み込むかに悩みますね。
まとめ
Hardkernel社はかなり前からIntel CPUを使ったSBCを計画していたようです。
2015年から2016年にかけてはAtom x5-Z8500を使ったSBCを計画していたものの、価格の高いLPDDR3しかサポートしないこと(x5-Z8300はノーマルのDDR3もサポート)から断念。
2016年には「ODROID-H1」と名付けたCeleron N3160とオンボード8GBメモリなSBCを計画し、エンジニアサンプルも作成し経過も順調だったものの、採用していたメモリチップが生産終了して頓挫。
2017年にはRyzen 5 2500Uを考えていたところにGemini Lakeの発表があり、計画変更。
2018年3月からGemini Lakeで設計開始、7月にエンジニアサンプル作成、9月に修正エンジニアサンプル作成、そして10月19日の発表にこぎつけました。
普段は表に出ることのない計画と失敗・頓挫の歴史を垣間見ることができて、製品化にこぎつけるまでは大変なことがよく伝わってきます。
「ODROID-H2」これから数週間以内に量産を開始し、11月下旬に発送開始となるとのことです。
なお、現時点で価格は不明です。
2018年12月19日追記:2018年11月20日に販売開始し、販売価格は111ドルでした。現在は完売となっており、IntelのCPU不足の関係から販売再開は2019年2月か3月とのことです。
「ODROID-H2」を紹介する海外のブログでは価格予想合戦の様相を呈していて、ちょっと面白いです。
ちなみにCeleron J4105はIntelが公表している1000個ロット時価格が107ドルなので100ドル切りは無理なように見えますが、実際にはASRockが発売する「J4105-ITX」が10,850円(amazon、2018年10月21日価格)なので、100ドル前後で発売される可能性もないとは言い切れません。
まぁ多分、150ドルは超えると思いますが。
フォーラム上では新モデルの登場を歓迎しつつも、「メモリ代が…」とか「できれば100ドル以内で」とコストを気にするコメントや「Ryzenもやろうぜ!」なんてコメントが出ています。
最後に、RK3399搭載の「ODROID-N1」は頓挫したけど、Cortex-A73搭載の「ODROID-N2」の計画は進んでいるとのことなので、こちらも首を長くして待ちたいと思います。
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