無線LANルーター特化SBC。 Sinovoip「Banana Pi BPI-R64」は802.11ac wave2対応で最大1733Mbps

2018年7月27日、Banana Piシリーズの開発・販売を手掛けるSinovoipが、5ポートのGbE LANポートと最大1733Mbpsの802.11ac(Wi-fi 5) wave2に対応する、ルーター特化SBC(シングルボードコンピューター)「Banana Pi BPI-R64」を発表しました。

5ヶ月ほど前の製品でチェックもしていたのですが、「Banana Pi BPI-P2 Zero」とほぼ同時の発表であったため、「Banana Pi BPI-P2 Zero」の記事を書いたあと忘れ去っていました。

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スペック

比較として、姉妹品となる「Banana Pi BPI-R2」のスペックを併記します。

model Banana Pi R64 Banana Pi R2
メーカー Sinovoip Sinovoip
発売日 2018/07 2017/03
価格 89.50ドル
価格(日本円) 10,699円
CPU MediaTek MT7622(2コア)
(1.36GHz A53 x2)
MediaTek MT7623N(4コア)
(1.3GHz A7 x4)
GPU × Mali 450 MP4
メモリー 1GB DDR3 2GB DDR3
サポートOS Debian
OpenWRT
Android
Ubuntu
Debian
Bananian
OpenWRT
有線LAN 1GbE x5 1GbE x5
Wi-fi 802.11ac(wave2 2×2) 802.11 a/b/g/n
Bluetooth 5.0 4.1
チップ MT7615
RTL8367
MT7530
MT6625L
ストレージ SATA x1
8GB eMMC
microSD
SATA x1
(オプションでSATA x 2)
8GB eMMC 4.5
microSD(64GBまで)
USB 3.0 x 1 3.0 x 2
2.0 x 1(micro)
GPIO 40pin x 1 40pin x 1
映像 × HDMI(1.4)
カメラ ×
オーディオジャック × ×
その他インターフェース miniPCIe x 1
4G SIM x 1
miniPCIe x 1
MIPI DSI
消費電力
電源 DC 12V/2A
(外径5.5mm 内径2.1mm)
148mm
奥行き 100.5mm
高さ
その他 オプションにPoEモジュール

特徴

「Banana Pi BPI-R64」は「Banana Pi BPI-R2」より1年以上あいて発表された、同じ5ポートLANの製品ですが、後継品というよりも姉妹品と言ったほうが良さそうです。

というのも、CPUの方向性も違いますし、機能も増えたり減ったりと必ずしもスペックアップしているわけではないからです。

「Banana Pi BPI-R64」に搭載されるMediatek MT7622と、「Banana Pi BPI-R2」に搭載されるMediatek MT7623Nのスペック比較です。

MT7622 MT7623N
CPU構成 Cortex-A53 x2 Cortex-A7 x4
アーキテクチャ 64bit 32bit
CPU周波数 1.36GHz 1.3GHz
GPU × MALI-450
内蔵Wi-fi 802.11b/g/n(4×4) 802.11 n(1×1)
PCIe 2.0 x2 2.0 x3
USB 3.0 x 1
2.0 x 1
3.0 x 2
2.0 x 1
Network
Accelerator
NAPT+HQoS 2Gbps IP4 routing
NAT
NAPT+HQoS
Packet Sampling
ストレージ SDXC
eMMC
SPI
SLC NAND
SDXC
eMMC
暗号化 NEON 500Mbps CryptSuite

MT7622はCortex-A53で単体の処理性能は高く、64bitプロセッサとなっています。
そのかわりGPUは搭載しておらず、映像出力は持ちません。

SoC自体が持つネットワーク機能も少ないです。
MT7623Nがハードウェア処理中心とすれば、MT7622はソフトウェア処理中心で何とかするスタイルであることが伺えます。

Wi-fiについてはSoC内蔵のものもありますが、どちらも外付けチップを使っています。
「Banana Pi BPI-R2」は802.11 b/g/n+Bluetooth4.1なMT6625L、「Banana Pi BPI-R64」は802.11ac wave2(2×2)+Bluetooth5.0なMT7615です。

802.11acについてはそれだけで記事ひとつ書けるくらいになりますが簡単に書くと、

・802.11ac(Wi-fi 5)は第1世代(wave1)はチャネル幅が20〜80MHzとなっており、最大1.3Gbps、SU-MIMO(Single User-Multi input Multi Output)のみ。

・第2世代となる802.11ac wave2はチャネル幅が最大160MHz(80+80MHzと連続した160MHzの2つの規格があります)、最大6.9Gbps(記事執筆現在は1733Mbpsが最速)、複数ユーザーでの同時通信に対応したMU-MIMO(Multi User-MIMO)に対応しています。

「Banana Pi BPI-R64」は第2世代の802.11ac wave2に対応しており、最大1733Mbpsとなります。
ここが一番の強みですね。

Wi-fiの実効速度は規格値のおよそ半分ですが、それでも800〜900Mbppsとなり、有線LANに引けを取らない速度となります。

外観・インターフェース

「Banana Pi BPI-R64」は基板上の配置も「Banana Pi BPI-R2」からかなり変わっています。

上が「Banana Pi BPI-R64」、下が「Banana Pi BPI-R2」です。全然違いますね。
アンテナが付いたのが一番大きな違いかも。

「Banana Pi BPI-R64」のインターフェースです。
1GBメモリと8GB eMMCはオンボードで、SATAは1ポートですが電源込みとなっています。「Banana Pi BPI-R2」は2pin電源だったのでこれは改善ですね。

miniPCIeはLTEカード用とされています。裏にはSIMスロットがあります。

ポート類です。
4連LANポートはRTL8367Sスイッチチップで分岐しています。端子の影に”蟹さんマーク”が見えますね。

40pin GPIOのピン配置です。
特に目新しいところはないですね。

まとめ

ルーター特化ボード自体それほど数がなく珍しい部類に入りますが、高性能な無線LANを搭載したものは更に希少になります。
SoCも処理性能よりネットワーク機能に特化したものを採用する例が多い中、「Banana Pi BPI-R64」は処理性能よりの選択をしています。

なんとなくですが、ゴリゴリのルータというより、もうちょっとライトユースな「NASルーター」に向いたボードなのかなぁと。

価格ですが、記事執筆時点で海外含めて販売しているサイトは見つかりませんでした。
とはいえ、Banana Piシリーズは比較的安価で、「Banana Pi BPI-R2」が90ドル前後なので、「Banana Pi BPI-R64」も100ドルを超えないくらいだと思います(メモリも1GBですし)。

「Banana Pi BPI-R2」の国内価格(amazon価格)は以前は18,000円くらいだったのがいつのまにか10,000円ちょっとになっていて、国際価格と変わらない水準になっていました。これはちょっと嬉しいですね。

現行の最新ハイエンドルーターには一歩劣りますが、ミドルクラスと張り合えるようなものが自作できるのは、結構面白そうです。
メモリが2GBないし4GBだったらもっと魅力的な製品になったんじゃないかなぁ…

関連リンク


Banana Pi BPI-R2 (amazon)

Banana Pi BPI-R64 – banana-pi.org
MT7622 – Mediatek