2024年4月9日、Orange PiはRockchip RK3588Sを搭載したSBC「Orange Pi 5 Pro」を発売しました。
話だけは2023年末ごろから出ていましたが、ようやくの正式リリースです。
スペック
■ Orange Pi 5 Pro | |
CPU | Rockchip RK3588S |
---|---|
メモリ | 4~16GB LPDDR5 |
ストレージ | eMMCソケット M.2 Key-M(2280) |
インターフェース | USB Type-C(充電)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×3 HDMI 2.1 HDMI 2.0 1GbE 有線LAN microSD オーディオジャック |
Wi-fi | Wi-fi 5+BT5.0 |
サイズ | 89×56mm |
特徴
「Orange Pi 5 Pro」は「Orange Pi 5」、「Orange Pi 5B」、「Orange Pi 5 Plus」に続く、「Orange Pi 5」シリーズの最新モデルです。
SoC
「Orange Pi 5 Pro」の搭載SoCはRockchip RK3588S。
Rockchip RK3588Sは、Sの付かないRK3588の弟分的な立ち位置です。違いは以下の通り。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。
CPUは4コア2.4GHz Cortex-A76+4コア1.8GHz Cortex-A55、GPUはMali-G610 MP4、NPUは6.0TOPSとされています。
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
性能はSBC向けSoCの中では群を抜いて高く、Celeron N5095の2倍、Intel N100の9割程度のスコアを叩き出しています。
Snapdragon比だとSnapdragon 865とSnapdragon 888の間くらい。
AnTuTu(v9)スコアは無印のRK3588が53~54万点で、グラフィック等も含めたトータルだとSnapdragon 865(64~66万点)より一段低い程度になります。
メモリとストレージ
「Orange Pi 5 Pro」のメモリは4GBから16GBのLPDDR5。
ストレージはeMMC、microSD、M.2 SSD(2280サイズ)に対応。M.2 SSDはPCIeGen2 x1接続(片方向あたり500MB/s)です。
記事執筆時点ではeMMC搭載モデルは販売されておらず、eMMC自体はAliExpressの公式ストアで販売されています。
その他
無線LANはWi-fi 5(802.11ac)対応で、Wi-fiチップはAMPAK AP6256(中身はBCM43435)なので、最大433Mbpsです。Bluetooth 5.0に対応。
有線LANは1GbE対応。
電源はType-C入力で5V/5A。
電流値がUSBの規格範囲外のため、専用アダプタがAliExpressの公式ストアで販売されています。
外観
表側のインターフェースです。
映像出力はフルサイズのHDMIが2ポートにMIPI DSI。HDMI2.1(8K/60Hz)+HDMI2.0(4K/60Hz)、DSIは4レーン(4K/60Hz)の組み合わせです。
裏側。
M.2 SSDをギリギリ納めるため、ラズパイサイズ(85×56mm)よりちょっとだけ大きい89×56mmとなっています。
そのうち完全なるラズパイサイズに納めるため、スロットが斜めを向いたSBCとか出る気がする…
USB側。
USB2.0が3ポート(裏側のUSB2.0ハブチップで分岐)にUSB3.0が1ポートです。
側面。
電源(Type-C)がLANポート裏にあるなど、ラズパイとは配置が異なっています。
GPIOのピンレイアウトはこんな感じ。
まとめ
📢#OrangePi 5 series added new members today!#OrangePi5Pro
🆕 Upgrade LPDDR5 Memory Standard
💰$60 with 4GB RAM
💰$80 with 8GB RAM
💰$109 with 16GB RAM
🛒:https://t.co/9ScRz5x5Xk pic.twitter.com/09peAsi4XD— OrangePi (@orangepixunlong) April 9, 2024
上記ポストの通り、「Orange Pi 5 Pro」の価格は4GBが60ドル、8GBが80ドル、16GBが109ドル。
AliExpressの公式ストアだと16GBモデルのみが取り扱われていて、記事執筆時点では17,134円(157.19円/ドル換算)となっています。円安えげつない…
ドルベースだと「Orange Pi 5」(66ドル~)より少し安く、高コスパなRK3588S搭載SBCと言えます。
また、4月17日に公開されたYouTube動画内にて「Orange Pi 5 Max」なるSBCを発表、2024年内のリリース予定が公表されています。
RK3588SではなくRK3588を搭載することでM.2 SSDがPCIe Gen3 x4接続(最大約3,500MB/s)となります。さらに2.5GbEに対応、Wi-fiもWi-fi 6E+BT5.3に引き上げられた上位モデルとなります。
まぁその分価格も相応になると思われるので、高コスパ機としての「Orange Pi 5 Pro」の地位は揺るがなさそう。
関連リンク
Orange Pi 5 Pro 製品ページ:Orange Pi
Orange Pi 5 Pro 販売ページ:AliExpress
コメント