2019年5月13日、SBC(シングルボードコンピューター)メーカーのKhadasは、Amlogic S922Xを搭載した「VIM3」を発表しました。
※2019年5月26日追記:Khadasより情報提供いただき、画像の追加、およびスペック表の補完を行いました。
2019年6月6日追記:価格と発売日が公開されていました。6月24日発売で、発売記念価格としてBASICが69.99ドル、PROが99.99ドルとなっています(7月22日まで)。
スペック
比較のために同社の別シリーズとなる「Edge-V」と、前世代にあたる「VIM2」を併記します。
model | VIM3 | VIM2 v1.4 | Edge-V |
メーカー | Khadas | ||
発売日 | 2019/03 | 2018/10 | |
価格 | 99.9ドル(Basic) 119.9ドル(Pro) 139.9ドル(Max) | 109ドル(2GB/16GB) 149ドル(4GB/32GB) 229ドル(4GB/128GB) | |
価格(日本円) | |||
CPU | Amlogic S922X(6コア) (A73 x4 + A53 x2) | Amlogic S912(8コア) (1.5GHz A53 x8) | Rockchip RK3399(6コア) (1.8GHz A72 x2 + 1.4GHz A53 x4) |
GPU | Mali G52 MP4 | Mali T820 MP3 | Mali T864 |
メモリー | 2GB LPDDR4(Basic) 4GB LPDDR4(Pro) | 2GB DDR4(Basic) 3GB DDR4(Pro,Max) | 2GB LPDDR4(Basic) 4GB LPDDR4(Pro,Max) |
サポートOS | Android 9 Ubuntu XFCE 18.04 LibreELEC (Kodi GBM + Linux 5.1) | Android 7.1 Google Fuchsia OS Ubuntu 16.04 LibreELEC 8.9 | Android 8.1 Ubuntu 18.04 Debian 9.0 |
有線LAN | 1GbE x 1 | × | |
Wi-fi | 802.11 ac(2×2) アンテナ付属 | ||
Bluetooth | 5.0 | 4.1(Basic) 5.0(Pro,Max) | 4.1(Basic) 5.0(Pro,Max) |
チップ | AP6398S KXTJ3-1057 STM8S003 H5120NL RTL8211FD | AS6356S(Basic) AS6398S(Pro,Max) STM8S003 | AS6356S(Basic) AS6398S(Pro,Max) RTL8211FD |
ストレージ | 16GB eMMC(Basic) 32GB eMMC(Pro) microSD | 16GB eMMC(Basic) 32GB eMMC(Pro) 64GB eMMC(Max) microSD(〜128GB) | 16GB eMMC(Basic) 32GB eMMC(Pro) 128GB eMMC(Max) microSD |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1 2.0 x 1(Type-C) | 2.0 x 2 2.0 x 1(Type-C) | 3.0 x 1 2.0 x 1 Type-C x 2 |
GPIO | 40pin x 1 | 40pin x 1 20pin x 1(Pogo Pads) 7pin x 1(Pogo Pads) | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.1 4K/60Hz) DSI x 1(FHD) | HDMI(2.0a 4K/60Hz) | HDMI(2.0a 4K/60Hz) DP(1.2 TYPE-C) eDP x 1 DSI x 1 |
カメラ | MIPI CSI x 1 | × | MIPI CSI x 2 |
オーディオジャック | × | × | × |
その他インターフェース | IR receiver M.2 (PCIe 2.0) | IR receiver RTC battery | M.2 M-key |
消費電力 | |||
電源 | DC 5〜20V(Type-C) | DC 5〜9V/3A(Type-C) | DC 5〜20V(Type-C) |
幅 | 82.0mm | 82.0mm | 82.0mm |
奥行き | 58mm | 57.5mm | 57.5mm |
高さ | 11.5mm | 11.5mm | |
その他 | 3軸加速度計 NPU(2.5TOPS) |
特徴
「VIM3」はSoCとして、以前紹介したHardkernel社の「ODROID-N2」と同じAmlogic S922Xを搭載しています。
S922Xはハイエンド家電向けとして開発された経緯からTV Boxでの採用が進んでおり、Ugoos「AM6」やBeelink「GT-King」など搭載製品も出てきています。
性能としてはシングルスレッド・マルチスレッドともにRockchip RK3399よりちょっと上くらいですが、GPUはちょっと下になるようです。
ベンチマークによって逆転している場合もありますし、サンプル数が少ないので、はっきり上だと断言するには微妙なところですが。
前世代となるAmlogic S905Xとの比較だと、4割から5割程度の性能アップとなるようです。
性能はいいのですが、それ以外の点ではRK3399に劣る面も多いのがS922Xです。
RK3399との差に、以下のような点が挙げられます
・eDPがない
・USB Type-CはUSB2.0止まり(RK3399はUSB 3.0 with DP)
・MIPI-DSIが1チャンネルのみな上、フルHDまで(RK3399はデュアルチャンネル)
・PCIeが1レーンしかないので8Gbpsとまり(RK3399は4レーン)
S922Xについて詳細を知りたい場合はデータシート(※pdf)を見るのが一番です。(というか、Confidentialと書かれたデータが公開されてていいんでしょうか…)
また、「VIM3」にはNPUも組み込まれていて、性能は2.5TOPSとのこと。
TOPSは”Tera Operations Per Second”とか”Trillion Operations Per Second”とか書かれますが、要は1TOPS=1兆回の整数演算ということになります(よく使われるFLOPSは浮動小数点演算)。
「VIM3」を真上から見たところです。
チップやら抵抗やらが整然と並んでいます。
左側にはWi-fiチップ、その横に逆さまとなったRealtekの蟹さんチップ(RTL8211FD)が有線LANのチップです。
蟹さんチップの上がシグナルトランスです。
S922X右がSumsungのメモリ、下がSumsungのeMMCチップですね。
メモリは2チップじゃないと思うので、裏面にもあるものと思われますが(※)、裏面の画像はありません。
右側の縁に3つ並んでいるのはPower/Func/Resetボタンです。
※2019年5月26日追記:背面画像を追加しましたが、メモリは2チップでした
こちらは「VIM2」のものになりますが、チップの配置も含めそっくりです。抵抗などの並びは「VIM3」の方が整然としています。
ちなみに奥行き(画像の縦の長さ)が「VIM2」は57.5mm、「VIM3」は58mmとなっていましたが、本当に0.5mmの差があるんでしょうか…?
「VIM3」を斜めから見た図です。
端子の並びは「VIM2」と同じように見えます。
「VIM3」ではUSB3.0がありますが、M.2(PCIe)との排他利用になるようです。
背面画像です(※2019年5月26日追加)。
CSIおよびDSIコネクタとM.2スロットがあります。
M.2スロットはいわゆる”飛び出す”やつですね。
KhadasのSBCはLANポートが基板に埋め込まれるような形となって高さが抑えられているのが特徴なのですが、「VIM3」にも受け継がれていることが分かります。
まとめ
「VIM3」は「VIM2」の正統進化版と言えます。
裏面の画像がないのが残念ですが、裏にはM.2スロットがあります。
NVMe対応ということで、PCIe接続のM.2 SSDが使えるのですが、1レーンしかなく8Gbps(=1GB/s)のため、速度を十分には発揮できない点に注意です。
気になる価格は未公表です。
「ODROID-N2」が64.95ドル(2GB)、81.95ドル(4GB)と脅威の安さを叩き出しているので、100ドルは切ってほしいなぁと願うところです。
まぁ、「VIM2」や「Edge」の例からすると、また2GBモデルで99ドル(約10,900円)になるんじゃないかなぁと。
※2019年6月6日追記:冒頭にも追記したように、BASIC(2GB/16GB)が69.99ドル、PRO(4GB/32GB)が99.99ドルとなります(発売記念価格、7月22日まで)。
また、ケースやファンなどの「VIM3」用アクセサリー(Add-on)も公開されています。
関連リンク
VIM3 – Khadas
VIM ADD-ONS – Khadas
Khadas VIM3 is launching soon! – Khadas forum
S922Xベンチマーク – Geekbench Browser
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