2019年6月10日、UPがクラウドファンディングのKickstarterにて、WhislyLakeを搭載した、AIエッジデバイス向けボード「UP Xtreme」のファンディングを開始しました。
スペック
model | UP Xtreme |
メーカー | UP board |
発売日 | 2019/06 |
価格 | €249(Celeron) €419(i3) €469(i5) €679(i7) |
価格(日本円) | |
CPU | Intel Celeron 4305UE Intel Core i3-8145UE Intel Core i5-8365UE Intel Core i7-8665UE |
GPU | Intel UHD 620 |
メモリー | 4GB(Celeron) 8GB(i3/i5) 16GB(i7) |
サポートOS | Windows 10 Ubuntu Yockt Android |
有線LAN | 1GbE x 2 (Intel i219LM / i210) |
Wi-fi | M.2 KeyE |
Bluetooth | – |
チップ | Intel i219LM / i210 ACL887 LT8845S Fintek F81801 |
ストレージ | M.2(2280) x 1 SATA x 1 |
USB | 3.1 x 4 2.0 x 1(pin) |
GPIO | 40pin x 1 100pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0 4K/30Hz) DP(4K/60Hz) eDP(4K/60Hz) |
カメラ | – |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | STM32 SIMスロット mini-PCIe RS232/422/485(pin) x 2 |
消費電力 | |
電源 | DC 12-60V |
幅 | 120mm |
奥行き | 122mm |
高さ | |
その他 |
特徴
「UP Xtreme」はCPUに”Whiskey Lake U”を搭載しています。CPUとメモリで4モデルに分かれています。
Celeron 4305UE(2C/2T 2.0GHz) / mem 4GB
Core i3-8145UE(2C/4T 2.2GHz-3.9GHz) / mem 8GB
Core i5-8365UE(4C/8T 1.6GHz-4.1GHz) / mem 8GB
Core i7-8665UE(4C/8T 1.7GHz-4.4GHz) / mem 16GB
CPU型番の”E”はEmbeddedを表しているものと思われます。
実際、Intelのサイトで確認すると、「システムの種類」が”Embedded”となり、「組込み機器向けオプションの提供」がyesとなっています。
比較としてノートPCに搭載されることの多いCore i5-8265Uを見ると、「システムの種類」は”Mobile”、「組込み機器向けオプションの提供」はnoになっていました。
インターフェースは表面だけ見るとCPUとメモリがオンボードなマザーボードのようにも見えます。
LANは2ポート、USB3.0が4ポート、HDMIにDisplayPortと並んでいる端子はPCと変わりありません。
しかし裏にはPCっぽいインターフェースに加え、SBCらしいコネクタが山盛りです。
M.2はWi-fi向けのKey E(2230)と、SSD向けのKey B/M(2280)が2段になっています。
その横にはSATA端子、反対側にはmini-PCIe、さらに上にはSIMスロットまであります。
ここからSBCっぽいものですが、mini-PCIeの上には40pinのGPIO、下には高速な100pinコネクタ(PCIeを5レーンとUSB3.0を2ポート分使っています)、左には、SATAコネクタを挟むように2つのマイコンpinが並んでおり、反対側には10pinのシリアルポートが2つ並んでいます。
CPUが持つ16レーンのPCIe3.0が盛大に活用されていますね。
これをブロックダイアグラム図で見ると以下のようになります。
M.2 Key B/MはPCIeの割当てが2レーンなので、あまり高速なSSDを繋いでも速度が頭打ちになる点に注意です。
「UP Xtreme」には純正ケースが用意されており、ファンレスのエッジ端末にすることができます。
拡張
「UP Xtreme」はAIの活用を念頭に設計されており、OpenVINO(インテルのインテルによるインテルのためのAI推論SDK)をフルサポートしています。
OpenVINOは機械学習の2つのプロセス(学習と推論)のうち、推論に特化しており、特に画像系の推論に強みを持っています。
「UP Xtreme」の面白いところは、増設というか増築と言っていいレベルで拡張ボードを追加していくことで、機能を追加したり、処理性能を上乗せしたりできる点です。
AIの処理性能向上にはIntel「Movidius Myriad X」が使われます。
MovidiusはIntelが2016年に買収した企業で、映像認識・解析に特化したVPU(Vision Processing Unit)を手がけていました。
「Myriad X」は2017年8月に発表されたVPUで、4TOPSの性能を持っています。
100pinコネクタには「UP Core Plus」用の拡張ボードを流用することができます。
ただし、「UP Core Plus」は2つの100pinコネクタを使用するため、声くたがひとつしかない「UP Xtreme」では一部に制限がかかります。
NET Plus | 79ドル | 1GbE x 4 USB3.0 x 1 mini-PCIe x 1(使用不可) SATA x 1(使用不可) |
AI Plus | 229ドル | Intel® Cyclone™ 10GX F672 1GB DDR3 DP-IN LVDS-IN 1GbE x 1(使用不可) USB3.0 x 2(使用不可) mini-PCIe x 1(使用不可) |
Vision Plus X | 239ドル | Myriad X x 3 |
mini-PCIeには「Myriad X」を一つ搭載した、「UP AI Core X」(79ドル)を挿すことができます。
M.2 Key B/MにはSSDの代わりに「Myriad X」を2つ搭載した、「UP AI Core XM 2280」(149ドル)を挿すことができます。
「UP AI Core X」、「UP AI Core XM 2280」、「Vision Plus X」をすべて装着すれば、最大6個の「Myriad X」を増設することができます。
産業向け
「UP Xtreme」は産業用途にも使えるように設計されています。
・電源入力は12〜60Vと幅広く(内部で11Vに降圧)
・稼働温度は0℃〜50℃と広め
・TSN(Time-Sensitive Networking、標準イーサネットをベースに時間の同期性を保証し、リアルタイム性を担保できるネットワーク規格)をサポートし
・機器制御用に32bit汎用マイコンの「STM32」を搭載しています。
「STM32」はマイコンのデファクトスタンダードになりつつあり、かつ開発環境が無料、安価なボード、活発なフォーラムと、マイコン入門にも適しています。
まとめ
UPはASUSグループで産業向け組み込みプラットフォームを扱うAAEONの、プロフェッショナルな”makers”&”innovators”向けのブランドとして2015年に設立されました。
最初の頃はIntel CPUを搭載したラズパイスタイルのSBCを発売していましたが、最近では”AI”をキーワードにした製品に傾倒しています。
AI製品としてはちょうど1年前に「UP AI Edge」をKickstarterでファンディングしていましたが、「UP Xtreme」はよりAIに特化したSBCとなっています(とはいえ、普通のPCとして使うこともできます)。
「UP Xtreme」の価格(ドル建て)を並べると、以下のようになります。
281ドル :Celeron(単体)
473ドル :i3(単体)
530ドル :i5(単体)
767ドル :i7(単体)
単体には本体に加え、19V電源アダプタが同梱されます。
CPU部にはTOP画像のようにファン付きヒートシンクが装着された状態でのお届けとなります。
428ドル :Celeron(キット)
620ドル :i3(キット)
676ドル :i5(キット)
914ドル :i7(キット)
キットには128GB SSD(多分SATA接続)とWi-fiカード(802.11ac(2×2)対応)、ケース(VESAマウントキット付)が追加されます。
586ドル :Celeron(AIキット)
778ドル :i3(AIキット)
846ドル :i5(AIキット)
1072ドル :i7(AIキット)
AIキットには上記キットに加え、「UP AI Core XM 2280」とヒートシンクが追加されます。
ファンディング終了は2019年7月10日となっています。
関連リンク
UP Board Z8350/4GB RAM/32GB eMMC
UP Xtreme–the latest UP board with Intel® 8th gen Core CPU – Kickstarter ※英語
公式ページ – UP Board ※英語
ニュースリリース ※英語
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