HTPC向け。 Khadas「VIM3L」はS905D3搭載で「VIM3」の廉価版

シングルボード

2019年8月20日、SBCメーカーのKhadasがHTPC(ホームシアターPC)向けのSBC「VIM3L」を発表しました。
「VIM3L」は2019年6月に公開された「VIM3」の廉価版という位置づけになります。「VIM3L」の”L”は”Light”でしょうか。

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スペック

※比較のために無印の「VIM3」のスペックを併記します。

modelVIM3LVIM3 v11
メーカーKhadas
発売日2019/06
価格
価格(日本円)
CPUAmlogic S905D3(4コア)
(1.9GHz A55 x 4)
Amlogic A311D(6コア)
(A73 x4 + A53 x2)
GPUMali G31-MP2Mali G52 MP4 800MHz
NPU1.2TOPS5.0TOPS
メモリー2GB LPDDR4-16002GB LPDDR4(Basic)
4GB LPDDR4(Pro)
サポートOSUbuntu 18.04
Armbian
LibreELEC
CoreELEC
Android 9.0
Ubuntu18.04
Armbian
Android 9.0
LibreELEC
有線LAN1GbE x 1
Wi-fi802.11 ac(2×2)
アンテナ付属
Bluetooth5.0
チップAP6398S
KXTJ3-1057
STM8S003
AP6398S
KXTJ3-1057
STM8S003
H5120NL
RTL8211FD
ストレージ16GB eMMC
microSDXC
16GB eMMC(Basic)
32GB eMMC(Pro)
microSDXC
USB3.0 x 1
2.0 x 1
2.0 x 1(Type-C)
GPIO40pin x 1
映像HDMI(2.1 4K/60Hz)
DSI x 1(FHD)
カメラMIPI CSI(2lane)
オーディオジャック×
その他インターフェースIR receiver x 2
M.2 (PCIe 2.0 x1)
TouchPanel (10pin)
消費電力
電源DC 5〜20V(Type-C)
82.0mm
奥行き58mm
高さ11.5mm
その他3軸加速度計
重さ 28.5g

特徴

「VIM3L」はSoCにAmlogic社の「S905D3」を搭載しています。
「S905D3」は2019年4月に発表されたSoCで、構成はCortex-A53 1.9GHz x4 + Mali-G32 MP2 + 1.2TOPS NPUとなっています。
一方「VIM3」の「A311D」はアーキテクチャ的には1世代前で、Cortex-A73 2.2GHz x4 + Cortex-A53 1.8GHz x2 + Mali-G52 MP4 + 5.0TOPS NPUです。

Cortex-A55は2017年5月のCOMPUTEX TAIWAN 2017内でCortex-A75と同時に発表されました。
柔軟なコア構成を可能とする「DynamIQ」に対応し、Cortex-A75 x1コア+Cortex-A55 x7コアなんていう変則的な構成も可能になったのですが、「S905D3」ではCortex-A55 x4コアとなっています。

Cortex-A75が高性能にフォーカスした一方でCortex-A55は電力効率にフォーカスし、インオーダーの8段の整数パイプラインを使っています。
Cortex-A55はCortex-A53をベースとしていますが、L2キャッシュの追加と命令セットの更新、パイプラインにおけるロード/ストアの分離といった変更によって18%の性能向上、消費電力辺りの性能だと15%の向上(消費電力は3%増)となりました。
命令セットはディープラーニング向けNEON命令拡張を含むARM v8.2-Aとなっています。

GPUの「Mali-G31」は2018年3月に「Mali-G52」とともに発表されたものです。、「Mali-G51」の後継となり、コアサイズや電力を抑えることにフォーカスを置いています。
ダイ面積は20%削減され、単位面積あたりの性能が20%向上したので、消費電力を抑えながら同等の性能を持っています。

上位の「G52」はニューラルネットワークのGPU計算にフォーカスしており、「G51」比で機械学習は3.6倍なのに対し、性能面では30%の向上となっています(ダイ面積は11%増加)。
「G31」は「G51」の下位ではありますが、グラフィック性能に限ってはそこまで差がないものとなっています。
ただし、「A311D」はG52 MP4(4コア)、「S905D3」はG32 MP2(2コア)なので、実性能としては半分以下となります。

「G31/G51」はインターフェースも新しくなり、4K60HzのHDMI2.1に対応したり、HDR10+、HDR10、HLGといったHDR規格に対応しました。

SoCについてはこのくらいにして、「VIM3L」のインターフェースです。

ざっくり見た感じでは、「VIM3」のSoCを載せ替えて、SMD(表面実装部品)レジスタが一つないくらいです。
各インターフェースの説明は下の「VIM3」の画像を見たほうが早いですね。

大きさは82mm×58mmで、ラズパイサイズ(85.6mm×56.5mm)です。
ケースに入れても手の中に収まります。

拡張アイテム

「VIM3L」は、基本は「VIM3」と共通で、拡張アイテムも同じものが使えます。

M2X EXTENSION

M.2 PCIeを使った拡張カードです。
詳細は「VIM3」の記事に記載しています。

AIに強くなったよ! Khadas「VIM3」のSoCがS922XからA311Dに変更され、拡張ボードも追加される

MULTI-TOUCH LCD

「VIM3」の時は見落としていましたが、「VIM3/VIM3L」はタッチパネルに対応しています。
「MULTI-TOUCH LCD」は5インチフルHDで5点マルチタッチに対応したディスプレイとなっています。

・サイズ:68.3 (H) x 122.45 (W) x 2.71 (T) mm
・画面サイズ:5インチ
・マルチタッチ:5点
・解像度:1920 x 1080(RGB strip arrangement)
・輝度:350 cd/m2
・コネクタ:eDP&TP

TONE BOARD

いわゆるDAC(Digital to Analog Converter、デジタル-アナログ変換回路)です。
チップはESS ES9038Q2Mです。

このボードを使うときはヒートシンクを覆う形になるので、排熱に気をつける必要があります。

まとめ

「VIM3L」は「VIM3」と比べて性能としては下がりましたが、映像系の処理能力は比較的高く、KhadasではDIY HTPC(ホームシアターPC)向けと位置づけられています。
対応OSにメディアプレイヤーOSの「CoreELEC」が追加されていたり、特別価格のHTPCキットが用意される点も見逃せないですね。

「VIM3L」の価格は明らかになってはいませんが、同じ2GBの「VIM3」が99.99ドルなので、これより下がるのは確実でしょう。
本体のストレージ容量が16GBと少ないのがネックではありますが、NASを使うなり拡張ボードを使うなりすればいいですし、これでメディアプレイヤーを作るのはたしかに面白そうです。

関連リンク


Khadas トーンボード

VIM3L – Khadas
VIM3L – Opening Up New Possibilities for DIY-HTPC Enthusiasts – Khadas forum ※実質的なリリースノート

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