AIに強くなったよ! Khadas「VIM3」のSoCがS922XからA311Dに変更され、拡張ボードも追加される

2019年6月21日、SBCメーカーのKhadasは、2019年6月24日に発売予定だった「VIM3」のSoCをAmlogic S922XからNPU(Neural Processing Unit)付きのAmlogic A311Dに変更することを発表し、型番も「VIM3 v11」となりました。
これに伴い、予約販売は予定通り2019年6月24日から行うものの、発送は2019年8月10日となっています。

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スペック

※変更前のスペックを併記します

model VIM3 v11 VIM3
メーカー Khadas
発売日 2019/06
価格
価格(日本円)
CPU Amlogic A311D(6コア)
(A73 x4 + A53 x2)
Amlogic S922X(6コア)
(A73 x4 + A53 x2)
GPU Mali G52 MP4 800MHz Mali G52 MP4
NPU 5.0TOPS 2.5TOPS?
メモリー 2GB LPDDR4(Basic)
4GB LPDDR4(Pro)
サポートOS Android 9
Armbian
Ubuntu XFCE 18.04
LibreELEC (Kodi GBM + Linux 5.1)
Android 9
Ubuntu XFCE 18.04
LibreELEC (Kodi GBM + Linux 5.1)
有線LAN 1GbE x 1
Wi-fi 802.11 ac(2×2)
アンテナ付属
Bluetooth 5.0
チップ AP6398S
KXTJ3-1057
STM8S003
H5120NL
RTL8211FD
ストレージ 16GB eMMC(Basic)
32GB eMMC(Pro)
microSD
USB 3.0 x 1
2.0 x 1
2.0 x 1(Type-C)
GPIO 40pin x 1
映像 HDMI(2.1 4K/60Hz)
DSI x 1(FHD)
カメラ CSI x 1
オーディオジャック
その他インターフェース IR receiver x 2
M.2 (PCIe 2.0 x1)
消費電力
電源 DC 5〜20V(Type-C)
82.0mm
奥行き 58mm
高さ 11.5mm
その他 3軸加速度計
重さ 28.5g
3軸加速度計

特徴

「VIM3」はもともとAmlogic S922Xを搭載するということで発表され、がじぇっとりっぷもその形で記事にしています。

2019年5月13日、SBC(シングルボードコンピューター)メーカーのKhadasは、Amlogic S922Xを搭載した「VIM3」を発表...

ところが6月19日に突然「S922Xは使わないことになった」と発表され、6月21日に「NPUを搭載するA311Dに決まった」と報告されました(正確には6月19日時点ですでにA311Dに決まっており、A311Dの名前を出せるようになったのが6月21日)。

ちなみにこのときはNPUが2.5TOPSと書かれていますが、後に5.0TOPSだったと訂正されています。

この変更についてKhadasは、量産体制に入る前だったこと(この時点で発送はだいぶ先になりますね)、VIM3ではAIに力を入れたいこと(前作の「Edge-1S」でもNPUを搭載するRK3399Proを採用しています)、S922XとA311Dは同じ12nmプロセスで製造され、かつピンレイアウトが同じなので変更が最小限で済むこと、などを理由にあげています。

A311Dは2018年8月に発表されたSoCです。発表時点ではまだ開発段階にあるとされ、市場に出回るのは2019年と推測されていました。
そのため「VIM3」も当初はS922Xを採用し、急遽変更することになったのだと思われます(参考までに、A311Dのデータシートの初稿は2019年5月5日となっています)。

A311Dは2.2GHz駆動の4コアCortex A73と1.8GHz駆動の2コアCortex A53で構成されています。
これはS922X rev.Bと同じ構成です。rev.AはCortex A73コアが1.7GHz駆動で、「ODROID-N2」が採用しています。

A311DとS922Xの違いは、NPUを搭載するかどうかだけです。
A311Dに搭載されるNPUは、TensorFlowやCaffeなど、メジャーなディープラーニングのフレームワークにだいたい対応しており、機械学習の2つのプロセス(学習と推論)のどちらもこなせるようです。

NPUは800MHzで動作する4つのNPE(Neural Processing Engine)などで構成されています。
NPUの性能は5TOPS(Tera Operations Per Second)ですが、以下のような式で求められています。

5TOPS = 4 (NPE) x 768 (INT8 MACs) x 2 (multiply + adder) x 800MHz

MAC(Multiply-Accumulate)は積和ユニットの略です。
INT8(8bit整数)ではなくINT16(16bit整数)で計算することもでき、その場合は単純に半分の2.5TOPSとなります。

SoCを除く「VIM3」の内容は、S922X版と変わりありません。
対応OSにArmbianが追加されたことくらいでしょうか。
メモリ2GBのBasic版と4GBのPro版が用意される点もそのままです。

インターフェースです。
USB3.0が1ポート、USB2.0が2ポート(TYpe-A/Type-C各1ポート)、HDMIにGbE LANポートなどがあります。

「VIM3」は珍しく公式ページでベンチマーク結果が公表されています。

GeekbenchはRK3399を搭載する「Edge-V」と、S922X(1.7GHz版)を搭載する「ODROID-N2」が比較対象となっています。
シングルスレッドでは動作周波数の高さでスコアを伸ばしていますが、マルチスレッドではS922Xと並ばれています。

ストレージ(eMMC)は、リード性能はそこそこですがライト性能を考えると32GB(Pro版)の方がいいですね。
有線LANが942Mbpsとほぼフルスピードが出ているのは素晴らしいです。

また、Antutuでは13万点近く(CPUファンありの場合)のスコアを出しています。
RK3399は実測で10万点を上回るくらいだったのですが、CPUで2.4万点、GPUで1.2万点の差を付けられています(UXはRK3399のほうが8千点勝っています)。

おもしろネタとしてはクラスター化した画像が公開されています。
表裏と交互に並べることで省スペース化しているようですが、排熱ってどうなっているんでしょう…?

拡張ボード

「VIM3」の予約開始に合わせ、新しい拡張ボード「M2X Extension Board」も登場しています。
「M2X」には以下のような特徴があります。

・M.2(M-Key) for 2280 NVMe SSDs
・M.2(B-Key) for 4G LTE Modules
・Nano-SIMスロット
・100MbE LANポート(PoE(802.3at)対応)
・電源出力: 24W (12V, 2A) via USB-C port
・10-Pin GPIO Header

「VIM3」とはフレキシブルケーブルで接続します。
抜け防止のストッパーがかっこいいです。

実際の使用時はこんな感じにケーブルを折り返して2段にします。M.2スロットが外向きだったことにも納得です。
公式の拡張ボードなだけあって、最初からこういうものだと言われても信じてしまいそうです。

ただ一つ注意点があって、A311D(とS922X)のPCIeは、Gen2 x1なので、片方向4Gbps(500MB/s)/双方向8Gbps(1GB/s)となっています。
この点は前述のベンチマークのI/Oパフォーマンスの”PCI-e”の項目に現れています。
M.2 SSDを接続できても、速度は期待できないものと思ってください。

なお、RK3399搭載の「Edge-V」にも接続でき、その場合はPCIe Gen2 x4(片方向16Gbps(2GB/s)/双方向32Gbps(4GB/s))となるのでほぼフルスペックの速度が期待できます。

まとめ

SoCが変更になった「VIM3」ですが、価格は据え置きで2GBの”Basic”が99.99ドル(約10,800円)、4GBの”Pro”が139.99ドル(約15,000円)です。

6月24日以前はプロモーション価格として”Basic”が69.99ドル、”Pro”が99.99ドルでしたが、キャンペーンは終了しています。
代わりに現在はソーシャルメディアキャンペーンが行われていて、TwitterもしくはFacebookへの投稿で20ドルオフクーポン(公式ショップのみ)がもらえるキャンペーンが行われています(2019年7月22日まで)。

拡張ボード「M2X Extension Board」は24.99ドル(約2,700円)です。
M.2スロットがあるなら使えるので、実は結構汎用性があるんじゃないかなぁと。

機械学習向けに強化された”新しい”「VIM3」は、エッジコンピューティングにはいいんじゃないかと思います。

関連リンク


Khadas VIM2 Pro

VIM3 – Khadas
VIM3 SERIES – Khadas Shop
A311D datasheet