2019年8月20日、映像大手のKoninklijke Philips(フィリップス、オランダ)がクラウドファンディングサイトのIndiegogoで、明るさの割に格安なLEDプロジェクタ「PicoPix Max」の出資募集を開始しました。
スペック
メーカー | Philips |
モデル名 | PicoPix Max |
価格 | 419ユーロ |
投写方式 | DLP DMD |
ネイティブ解像度 | 1920×1080 |
最大入力解像度 | 4K |
明るさ | 800ルーメン |
コントラスト比 | 10000:1 |
光源 | LED |
光源寿命 | 30,000時間 |
画面サイズ | 30-120 インチ |
投写距離 | 75-305 cm |
投影ラグ | 30ms |
スローレシオ | 1.2:1 |
入力 | HDMI 1.4 x 1 USB Type-C x 2 (片方は電源用) microSD |
出力 | ヘッドホンジャック 4W+4Wスピーカー |
Bluetooth | 4.1 |
Wi-fi | 802.11ac AirPlay,Miracast対応 |
バッテリー | 16500mAh |
駆動時間 | 3Hr |
消費電力 | 45W前後 |
CPU | クアッドコア 1.5GHz |
OS | Android 9.0カスタム |
フラッシュメモリ | 16GB |
メモリ | 2GB |
本体質量 | 850g |
外形寸法 (WxHxD) | 136×134×47.5 mm |
付属品 | ユニバーサル電源アダプタ リモコン ユーザーガイド トラベルポーチ トライポッド |
保証期間 | 2年 |
特徴
「PicoPix Max」はネイティブでフルHDに対応しながら14cm四方に満たない、重さ850gの小型のプロジェクタです。
コメントに対するプロジェクトオーナーの返答を読む限りでは、固定されたプロジェクタとしてではなく、モバイルプロジェクターとしての使用を想定しているようです。
「PicoPix Max」の明るさは800ANSIルーメンと、LEDプロジェクタの中では明るい部類です。
同じ明るさだと、VIVITEK「QUMI Q8J」などがあります。
ANSIルーメンはプロジェクタの明るさを表す数字で、投影画面を9分割して測定した明るさの平均値です。プロジェクタは橋のほうが暗くなりやすいため、このような測定方法が生まれました。
LED光源は100〜1000ルーメンくらいで、水銀ランプ(2500ルーメン〜)と比べて暗く、モバイル用途が中心となっています。
その代わり、光源寿命が長く(水銀が4000時間、エコモードでも10000時間なのに対してLEDは30000時間)、消費電力も低く(水銀だと250W〜、LEDは50W前後)、消費電力が低い分排熱も少なくてファンが静かと、水銀光源に対するメリットも多く持っています。
ルーメン数については、学校の教室で使うものが3000〜3500ルーメンというのがイメージしやすいでしょう。
800ルーメンというのはLEDの中では明るいのですが、絶対値としてはお世辞にも明るいとは言いづらく、蛍光灯をつけた会議室などだと50インチくらいの投影が実用の限界になると思います。
コメントによると、スクリーンに直接光が当たらない(多分日光のような強い光と思われる)室内か、暗い屋外が想定使用環境のようです。
暗い屋外だと、下の画像くらいにはなります。
内部的にはカスタマイズしたAndroid 9.0が動いており、CPUは1.5GHzクアッドコア、メモリは2GB、ストレージは16GBとなっています。
CPU(SoC)の詳細は語られていませんが、Cortex-A7アーキテクチャで、MT6588あたりじゃないかなぁと推測しています。
内部がAndroidなので、ただ映すだけではなく、YouTubeやNetflixなどのアプリを使ってのスタンドアロン動作も可能です。
インターフェースです。
左から電源ボタン、IR(リモコン受信部)、microSD、HDMI 1.4、USB Type-A、ヘッドホンジャック、USB Type-C(Video用)、USB Type-C(給電用)となっています。
microSDは128GBまでは検証済み、256GBと512GBは検証中だそうです。
HDMIは1.4なので4K入力は可能ですが、表示はフルHDとなります。HDR10にも対応しているので、機器を繋げばUltra HD Blu-rayの再生も可能です。
ARC(Audio Return Channel)には非対応なので、HDMIで音声出力はできません。
電源はUSB Type-Cから取得するわけですが、最低45Wは必要とのこと。
MacBook Proチャージャーが使えるよとコメントされています。
また、上部はタッチパッドディスプレイとなっています。
Androidにはタッチ操作は必要ですね。
「PicoPix Max」はWi-fi(802.11ac)やBluetooth 4.1にも対応し、AirPlayやMiracastを使ってスマホやタブレットの画像を表示することも可能です。
パッケージにはリモコン、ポーチ、三脚、ユニバーサル電源アダプタがれています。
もう、持ち運びが前提のセットですね。
まとめ
LEDプロジェクタはベンチャー企業がクラウドファンディングで出資募集していることが多いのですが、小さいのにやたらと明るいなど胡散臭いスペックのものが混じっていたり、大手でも無理でしょって値段をつけていたりして、”本物”はあまり多くない印象です。
例えばがじぇっとりっぷが以前記事にした「N-Tech」なんかは、実現していれば格安の4Kプロジェクタだったのですが、2018年9月を最後にアップデートコメントが途絶え(そもそも発送予定が2018年7〜8月)、コメント欄が詐欺通報及び返金要求の嵐となっています。
それに対して「PicoPix Max」は無理のないスペックですし、なによりも創業120年という大手メーカーのフィリップスが手掛けるという安心感があります。
ちなみにフィリップスはオランダの企業ですが、プロジェクタ部門はスイスが拠点のようで、Indiegogoの登録もスイスになっています。
「PicoPix Max」の価格は419ユーロ(約49,600円)です。
フルHDで800ルーメンで3時間分のバッテリーも内蔵で5万円切りは安いと思います。
出資募集の締め切りは2019年9月25日ですが、すでに1億円以上を集めており、目標金額に対して1700%オーバーとなっています。
記事執筆時点でも募集2000台に対して1500台以上売れているので、気になる方は早めに見に行くことをおすすめします。
なお、前述の「QUMI Q8J」は終売で中古のみ、後継の「QUMI Q38」は5万円代前半ながら600ルーメンに輝度が落ちています。
関連リンク
Philips PicoPix Max – 1080p Full HD Pico Projector – Indiegogo
公式サイト
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