2019年8月8日、小型PC&グラフィックボードメーカーのZOTACが、GeForce RTXを搭載した世界最小クラスのゲーミングデスクトップ「MAGNUS EN72070V(ZBOX-EN72070V)」と「MAGNUS EN52060V(ZBOX-EN52060V)」を発表しました。
スペック
メーカー | ZOTAC | |
型番 | MAGUNUS EN72070V | MAGUNUS EN52060V |
価格 | ||
発売日 | ||
幅 | 210mm | |
奥行き | 203mm | |
高さ | 62.2mm | |
容量 | 2.65L | |
CPU | Intel Core i7-9750H | Intel Core i5-9300H |
CPU世代 | CoffeeLake | |
ベース周波数 | 2.6 GHz | 2.4 GHz |
バースト周波数 | 4.5 GHz | 4.1 GHz |
グラフィックチップ | NVIDIA GeForce RTX 2070 8GB GDDR6 | NVIDIA GeForce RTX 2060 6GB GDDR6 |
コア/スレッド数 | 6C/12T | 4C/8T |
TDP | 45W | |
チップセット | ||
メモリインターフェイス | SO-DIMM DDR4-2666 | |
メモリスロット | 2 | |
メモリ最大 | 32GB | |
ECC対応 | × | |
ストレージ | × | |
SATAポート数 | 1 | |
M.2 | 2280 x 1(NVMe/SATA) 2280 x 1(Optane) | |
mSATA | × | |
USB2.0(内部) | × | |
USB2.0(外部) | × | |
USB3.0(内部) | × | |
USB3.0(外部) | Front x 1(3.0) Rear x 4(3.0) | |
USB type-C | Front x 1(3.1) Rear x 1(3.1) | |
SDカード | Front x 1(SDXC) | |
LAN | 1Gb x 1 2.5Gb x 1 Killer E3000 | |
Wi-fi | 802.11ax Killer AX1650 | |
Bluetooth | 5.0 | |
D-Sub | × | |
DVI | × | |
HDMI | Rear x 2(2.0b) | |
4K対応 | 4K/60Hz | |
DisplayPort | Rear x 1(1.4) | |
シリアルポート | × | |
S/PDIF | × | |
オーディオジャック | Front x 2(in/out) | |
サウンドチップ | × | |
光学ドライブ | × | |
PCI-Eスロット | × | |
eSATA | × | |
赤外線 | × | |
Optaneメモリ対応 | ○ | |
最大消費電力 | ||
電源 | 330W / 19.5V | |
ノイズレベル | ||
VESA | ||
付属品 | ドライバーUSB ドライバーCD アンテナ | |
その他 |
特徴
ZOTACはミニPCをサイズ別にシリーズ化しており、現在は6シリーズとバックパック型のVR GO、産業向けっぽいZBOX PROがラインナップにあります。最近ではこれとは別に大型のゲーミングデスクトップ(MEKシリーズ)も発売しています。
表を見れば分かりますが、このうちグラフィックボードを搭載しているのはQシリーズ、Eシリーズ、VR GOとなっています。
Qシリーズについては以前に紹介しています。
今回紹介する「MAGNUS EN72070V/EN52060V」はEシリーズに属しています。
Eシリーズはさらに、PCIeスロットを備えてフル規格のグラフィックボードを搭載する高さ128mmの”Powerful”モデルと、MXMカードを搭載した高さ62.2mmの”Compact”モデルに分かれています(奥行きも15mmほど違っています)。
「MAGNUS EN72070V/EN52060V」はMXMタイプです。
「EN72070V」にはGeForce RTX 2070が、「EN52060V」にはGeForce RTX 2060が搭載されます。
MXMカードはPCIeボードに比べて動作周波数が抑えられており、本来より性能が抑えられています。
また、薄型ゲーミングノート向けの「MAX-Q Design」があるのもMXMカードとなっています。
RTX2070 | RTX 2070 MXM | RTX 2060 | RTX 2060 MXM | |
GPU | TU106 | TU106 | TU106 | TU106 |
アーキテクチャ | ||||
メモリー | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 6GB GDDR6 | 6GB GDDR6 |
メモリー動作周波数 | 1750MHz | 1750MHz | 1750MHz | 1750MHz |
メモリーインターフェース | 256bit | 256bit | 192bit | 192bit |
メモリー帯域幅 | 448 GB/s | 448 GB/s | 336 GB/s | 336 GB/s |
CUDAコア数 | 2304 | 2304 | 1920 | 1920 |
動作周波数 | 1410MHz | 1215MHz 885MHz(Max-Q) | 1365MHz | 960MHz |
最大周波数 | 1620MHz | 1440MHz 1185MHz(Max-Q) | 1680MHz | 1200MHz |
単精度小数点演算 | 7.465 TFLOPS | 6.636 TFLOPS | 6.451 TFLOPS | 4.608 TFLOPS |
倍精度小数点演算 | 233.3 GFLOPS | 207.4 GFLOPS | 201.6 GFLOPS | 144.0 GFLOPS |
ピクセルレート | 103.7 GPixel/s | 92.16 GPixel/s | 80.64 GPixel/s | 57.60 GPixel/s |
テクスチャレート | 233.3 Gtexel/s | 207.4 Gtexel/s | 201.6 Gtexel/s | 144.0 Gtexel/s |
消費電力 | 175W | 115W | 160W | 80W |
こうして仕様を比較すると、メモリやCUDAコアは同じで、動作周波数だけで性能に差が出ていることが分かります。
性能差の割にTDPがかなり違っているので、ワットパフォーマンスという点では上になるでしょうか。
「MAGNUS EN72070V/EN52060V」はCPUに第9世代の Core i7-9750H/Core i5-9300Hを採用しています。
Core i7-9750Hは6コア12スレッドですが、Core i5-9300Hは4コア8スレッドなので、CPUの性能には随分差が出ます。
CPUとGPU以外の仕様は同じとなっており、筐体も同じものとなっています。
インターフェースです。
目立っているのは2.5GbEですね。マルチギガビット(2.5/5/10GbE)は同じRJ45のはずなのにコネクタの形状が違っていて分かりやすいです。
最近ではマザーボードに2.5GbEが搭載されたり、ゲーミングノートにも搭載されるようになっています。
個人的にはとっとと10GbEを搭載して欲しいと思うのですが…
通信については無線LANが802.11ax(Wi-fi 6)に対応しており、最大2.4Gbpsでの通信が可能となっています。
こんな感じでアンテナが2本立ちます。
GPUを搭載しているため、ディスプレイ出力はHDMI(2.0b)x2+DisplayPort(1.4)とトリプルディスプレイ可能になっています。
特にDisplayPortはバージョンが1.4なので、8K表示にも対応しています(ディスプレイのほうがありませんが)。
USBはType-A(3.0)が4ポート、Type-C(3.1Gen2)が2ポートとなっています。
Core i7-9750H/Core i5-9300HはPCIeレーンを16レーンしか持たず、その全てをGPUに割り振っているのか、Thunderbolt3は搭載されていません。
この辺りは他のゲーミングノートと同じですね。
ストレージは2.5インチ+M.2で、それとは別にOptane Memory用のスロットが用意されています。
小さいシロッコファンが見えますが、排気の方向を見る限り、M.2 SSDの冷却用にみえます。
Optane MemoryとはHDDのキャッシュとして働き、アクセスの高速化を図るものです。
M.2スロットに挿入できるため、通常はM.2 SSDと排他的な関係にあることが多いのですが、「MAGNUS EN72070V/EN52060V」では専用スロットが用意されました。
このOptane Memory用スロットで通常のM.2 SSDが使えるのかは不明ですが、使えたら嬉しいですね。
底面には四方に吸気スリットが開いています。このくらいで十分な吸気ができるのかと心配になります。壁に寄せて使うのは避けたほうが良さそうです。
パッケージです。330W電源アダプタが大きいです。
VESAマウンタが付属していないので、ディスプレイの後ろにくっつけるのはちょっと厳しいということなんでしょう。
まとめ
ついにこのサイズにもGeForce RTXがきたなぁというのが最初の印象でした。
フットプリントの210mm×203mmはだいたい13.3インチノートの幅を2/3にしたくらいの大きさになります。
身近なもので表すと、ティッシュ箱を横に2つ並べて、ひと回り小さくしたくらいです。
MXMカードなのでフル規格に比べてちょっと性能は劣りますが、それでも大抵のゲームは快適にプレイできると思います。
「MAGNUS EN72070V/EN52060V」は発表されただけで海外でも未発売で、価格については不明です。
GeForce RTX 2070のMXMカード単体で1000ドル近いので、最低でも2000ドル(約21.2万円)くらいにはなるんじゃないでしょうか。ここにメモリとストレージ代が追加されます。
ちなみにCore i7 7700HQ+GeForce GTX 1070な「MAGNUS EK71070」にメモリ8GB/1TB HDD/120GB SSD/Windows 10を組み込んだ完成品で約23.5万円でした。
決して安くない上にそもそもZOTACのPCはあまり国内に流通しません。これらも国内発売されるかも怪しいところですが、もしも発売されたら注目を集めそうです。
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