2019年12月1日、Intelは「Intel Compute Card」の後継っぽい位置づけのモジュール式コンピューター「Intel NUC Elements」の公式ページを公開しました。
「Intel NUC Elements」の存在自体は2018年12月のリーク記事で明らかになっており、公式にもCOMPUTEX TAIPEI 2019の二日目(現地時間5月28日)に行われた「Intel Open House」にて公表しています。
しかしながら「Intel Open House」では第10世代プロセッサ(Ice Lake)がメインで、「Intel NUC Elements」はおまけ程度というか詳細については語られていませんでした。
Intel NUC Elements
「Intel NUC Elements」はCPUの乗ったメインボード「Intel NUC 8 Compute Elements」と、インターフェースを提供するドーターボード「Intel NUC Board」、そしてケースの「Intel NUC Chassis Elements」の3つで構成されています。
このうち「Intel NUC Board」と「Intel NUC Chassis Elements」はほぼセットのようなもので、ボードの形状で「Intel NUC Rugged Board」と「Intel NUC Pro Board」に分かれています。
「Intel Open House」の発表では、ノートPCのシステムボードの規格化でBTOを用意にすることが謳われ、レジ、スマートTVなどへの展開も想定と語られていましたが、今回公開されたものはどう見ても組み込み向けというか工業向けなんですよね…
Intel NUC 8 Compute Elements
「Intel NUC 8 Compute Elements」はCPU・メモリ・Wi-fiといった、PCに必要な要素を搭載したモジュールです。名称から分かるように、第8世代CPUを搭載します。
開発コード名は Chandler Bay です。
面白いのはPCIeが3系統(x4/SATA、x4、x1)用意されているところでしょうか。
これによって、PCIe x4を必要とするM.2 SSDが2台使えるようになっています。
CPU | Celeron〜Core i7 |
---|---|
メモリ | 4GB / 8GB LPDDR3-1866 |
ストレージ | 64GB eMMC (Celeron / Pentiumのみ) |
ネットワーク | 802.11ac / BT5.0 (Intel AC-9560) |
映像出力 | 3系統(DP / HDMI) |
インターフェース | USB3.1 x 4 USB2.0 x 3 1GbE x 1 PCIe x4/SATA x 1 PCIe x4 x 1 PCIe x1 x 1 HD Audio x 1 eSPI x 1 |
サイズ | 95×65×6mm |
搭載されるCPUは7種類で、メモリはCPUごとに4GBもしくは8GB、ストレージはCeleron/Pentiumモデルのみ64GB eMMCを搭載します。
CPU | vPro | メモリ | ストレージ |
---|---|---|---|
Core i7-8665U | ○ | 8GB | × |
Core i7-8565U | × | ||
Core i5-8365U | ○ | ||
Core i5-8265U | × | ||
Core i3-8145U | 4GB | ||
Pentium Gold 5405U | 64GB eMMC | ||
Celeron 4305U |
表側は金属板(ヒートスプレッダ)に覆われています。
裏側はWi-fiチップくらいしか付いていません。
Intel NUC Rugged Board
「Intel NUC Rugged Board」は、薄型ファンレスですが底面積は通常の4インチ角NUCより大きく、254×152mmもあります。
ケースはリーク時よりも横に長くなっていますね。
開発コード名は Austin Beach です。
画像があるのは「CMCR1ABA」と「CMCR1ABB」で、拡張インターフェースのないものとなっています。
モデル名 | CMCR1ABA | CMCR1ABB | CMCR1ABC |
---|---|---|---|
ストレージ | M.2 Key-E(2280) x 2 Optane Memory H10 ready | ||
ネットワーク | 1GbE x 1 (Intel i219-AT) | 1GbE x 2 (Intel i219-AT、i211-AT) | 1GbE x 1 (Intel i219-AT) |
映像出力 | HDMI(2.0a) x 2 | HDMI(2.0a) x 2 eDP | HDMI(2.0a) x 2 |
音声出力 | 7.1ch(HDMI経由) | ||
インターフェース | USB3.1(Gen2) x 3 USB3.0(ヘッダ) x 1 USB2.0(ヘッダ) x 2 | USB3.1(Gen2) x 3 USB3.0(ヘッダ) x 1 USB2.0 x 2 | USB3.1(Gen2) x 3 USB3.0(ヘッダ) x 1 USB2.0(ヘッダ) x 2 |
拡張インターフェース | USB3.0 x 1 USB2.0 x 2 RS232 x 2 HDMI x 2 | USB3.0 x 1 USB2.0 x 2 RS232 x 2 HDMI x 6 | |
基板サイズ | 170×136mm | 200×136mm | |
サイズ | 254×152×36mm | ||
電源 | 90W / 19V |
フロントは共通で、電源ボタンとUSB3.0+USB2.0となっています。
リアは左半分は共通ですが、拡張部分に何もない「CMCR1ABA」に対し、「CMCR1ABB」はUSB2.0&1GbEが拡張されています。
端子は全てカバープラグで塞ぐことができます。
これ、どう見ても工業用ですよね?
内部基板は上が「CMCR1ABA」で、下が「CMCR1ABB」です。
この画像だとeDPがあるのは「CMCR1ABA」なんですが、仕様表では「CMCR1ABB」になっています。多分間違ってますね。
ケース内部はこんな感じで、右上に「Compute Element」が挿さっています。
「NUC 8 Compute Element」の裏側にヒートパイプの起点があり、ヒートシンクを兼ねる天板部をぐるっと回って効率よく熱を分散させています。
左側のスペースが気になりますが、画像のない「CMCR1ABC」の内部基板が横に30mm長いので、その分のゆとりとなります。
Intel NUC Pro Board
「Intel NUC Pro Board」はファン付きになりますが「Intel NUC Rugged Board」より小型で、組み込み向けっぽい雰囲気です。
シャーシの方は「Intel NUC Pro Assembly」と呼ばれています。
開発コードは Butler Beach となっていました。
モデル名 | CMA1BB |
---|---|
ストレージ | M.2 Key-M(2280) x 1 Optane Memory H10 ready |
ネットワーク | 1GbE x 1 (Intel i219-LM) |
映像出力 | HDMI(2.0a) x 2 eDP x 1 |
音声出力 | 7.1ch(HDMI経由) |
インターフェース | USB3.1 x 4 USB2.0(ヘッダ) x 2 |
拡張インターフェース | USB2.0 x 2 HDMI x 2 |
基板サイズ | 110×80mm |
サイズ | 117×147×25mm |
電源 | 12-24V |
「Intel NUC Pro Board」のドーターボード自体は110×80mmと小さいのですが、メインボードは重ねるタイプではなく並べるタイプです。
そのため、全体では奥行きが147mmとなります。
それでもファン込みで25mmの厚さはかなり薄いと思います。
また、幅が限られるため、HDMIのひとつは側面に来ています。
真上から見るとファンが分かりやすいですね。
まとめ
メインボード・ドーターボード方式という、SBC(シングルボードコンピューター)に近い発想の「Intel NUC Elements」ですが、記事執筆時点では価格も発売日も発表されていません。
intel arkでは2019 4Qとなっていますが、半月以内に発売されるとは思えませんし…
終息する「Intel Compute Card」から比べるとかなり使いやすくはなってそうですが、それも今後の展開次第でしょう。
個人的にはこれでタブレットを作れたら面白いかなぁとは思います(バッテリーをすぐに食い尽くしそうですが)。
関連リンク
Intel NUC Elements:intel
Chandler Bay:intel ark
Austin Beach:intel ark
Butler Beach:intel ark
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