2019年12月4日、SBC(シングルボードコンピューター)の「ROCK Pi」シリーズを手掛けるradxaが、Rockchip社のNPU付きSoC”RK3399 Pro”を搭載した「ROCK Pi N10」を発売いたしました。
スペック
model | ROCK Pi N10 |
メーカー | radxa |
発売日 | 2019/12 |
価格 | 99ドル(4GB/16GB) 129ドル(6GB/32GB) 169ドル(8GB/64GB) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3399 Pro(6コア) (1.8GHz A72 x2 + 1.4GHz A53 x4) |
GPU | Mali-T860 MP4 |
NPU | 3.0TOPS |
メモリー | 3/4GB LPDDR3 1〜4GB for NPU |
サポートOS | Android 8.1 Debian |
有線LAN | 1GbE x 1 (PoE対応) |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | |
ストレージ | 16〜64GB eMMC microSD M.2 M-key |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 2 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.04K/60Hz) MIPI-DSI(2lane) eDP(1.3 4K/60Hz) |
カメラ | MIPI-CSI(2lane) x 1 |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | IR |
消費電力 | |
電源 | DC9〜20V(Type-C) |
幅 | 100mm |
奥行き | 100mm |
高さ | |
その他 | USB PD2.0対応 QC3.0/2.0対応 |
特徴
Rockchip RK3399を搭載するSBCは数あれど、RK3399 Proを搭載するSBCは少なく、「Toybrick RK3399Pro」とKhadas「Edge-1S」くらいしかありません。(しかも「Edge-1S」はファンディング失敗後、一般販売はされていないようです)
残る「Toybrick RK3399Pro」はRockchip社の自社ブランドによるリファレンスボードとも呼ぶべきものなので普通に販売されてはいますが、299ドルと高額です。
このままRK3399 Proはフェードアウトしていくのかなぁというところに登場したのが、「ROCK Pi N10」です。
しかも「ROCK Pi N10」では3モデル用意され、最上位はメモリが8GB(4GB for CPU+4GB for NPU)という、豪勢な構成になっています。
RK3399 Proは、RK3399と同じく、CPU部は2コアCortex-A72+4コアA53ですが、それに加えて機械学習用のNPU(ニューラルネットワークプロセッシングユニット)を搭載しています。
NPUの性能は3.0TOPSで、「Orange Pi 4B」で使われた、外付けNPUチップのSPR2801S(2.8TOPS@300mW)よりはちょっと性能が上です(SPR2801Sは最大性能が5.6TOPS@600mWなので、半分強と見ることもできますが)。
ブロックダイアグラム図です。RK3399と比べてUSB3.0が2系統から1系統に、Type-Cも2ポートから1ポートに削減されています(実質的に減ったのはUSB3.0が1ポートですが)。
RK3399 ProのNPUは積和ユニット(Multiply-Accumulate:MAC)アレイが1920となっています。SPR2801Sは約28,000(168×168の格子状)と10倍以上の差がありますが、SPR2801Sは100MHz(5.6TOPS時)での動作、RK3399 ProのNPUは800MHz動作と、クロック数で差を埋めています。
ちょっとぼやけていますが、アプリケーションブロックダイアグラム図です。
NPUは内部的にはUSBとGPIOで接続されていることが分かります。また、NPUから直接メモリバスが生えていて、独立したメモリを持つことができることも確認できます(1〜2GBとなっていますが、別の箇所では最大4GBと書かれています)。
インターフェースは、用意できるものは全部のせたといった感じになっています。
eDPはコネクタでなく30ピンで提供されているのでちょっと使いづらいかもしれません。
特に書かれていなかったのですが、「ROCK Pi N10」はメインボード/ドーターボード方式になっています。
「ROCK Pi N10」は3モデルあるので、ドーターボードを共通にすることでコスト削減を図っているのでしょうか。
メインボード/ドーターボード方式を取ったことで基板内にコネクタを収める必要があるため、「ROCK Pi N10」は100mm×100mmとやや大柄な基板サイズとなっています。
「ROCK Pi N10」はWi-fi非搭載ですが、背面にM.2スロットとWi-fiカードスロット(見た感じではM.2 Key-E)があります。
両方共に使用するとこんな感じになります。
幅が100mmあるので、2280サイズのM.2 SSDが使えるのは便利ですね。
電源はUSB Type-Cで、USB PD(9〜21V)およびQuick Charge2.0/3.0に対応しています。
こちらも対応電源アダプタは多いので、電源の心配はしなくてよさそうです。
まとめ
「ROCK Pi N10」の価格は以下のようになっています。
model A :4GB RAM(3GB+1GB for NPU)/16GB eMMC :99ドル
model B :6GB RAM(4GB+2GB for NPU)/32GB eMMC :129ドル
model C :8GB RAM(4GB+4GB for NPU)/64GB eMMC :169ドル
RK3399+NPUな「Orange Pi 4B」の70ドルよりは高いですが、NPUに専用メモリを割り当てられることや合計の最大メモリを考えると、悪くない価格です。
真面目にAI開発を考えるのであれば、ちょうどいいんじゃないでしょうか。
関連リンク
ROCK Pi N10:Radxa Wiki
ROCK PI N10:Seeedstudio(販売サイト)
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