2019年11月29日、SBC(シングルボードコンピューター)の「Orange Pi」シリーズを手掛けるXunlong Softwareは、Rockchip社のRK3399を搭載する格安の「Orange Pi 4/4B」を発売いたしました。
スペック
model | Orange Pi 4 | Orange Pi 4B |
メーカー | Xunlong | |
発売日 | 2019/11 | |
価格 | 49.9ドル(No eMMC) 59.9ドル(16GB eMMC) | 69.9ドル |
価格(日本円) | ||
CPU | Rockchip RK3399(6コア) (1.8GHz A72 x2 + 1.4GHz A53 x4) | |
GPU | Mali-T864 | |
NPU | – | SPR2801S (2.8TOPS) |
メモリー | 4GB LPDDR4 | |
サポートOS | Android 8.1 Ubuntu 16.04/18.04 Debian 9 | |
有線LAN | 1GbE x 1 | |
Wi-fi | 802.11ac | |
Bluetooth | 5.0 | |
チップ | RTL8211E AP6256 RK808 ALC5651 | RTL8211E AP6256 RK808 ALC5651 GL3224E |
ストレージ | microSD 16GB eMMC(オプション) | microSD 16GB eMMC |
USB | 3.0 x 1 3.0 x 1(Type-C) 2.0 x 2 | 3.0 x 1(Type-C) 2.0 x 2 |
GPIO | 40pin x 1 | |
映像 | HDMI(2.0 4K/60Hz) MIPI-DSI(4lane) x 2 | |
カメラ | MIPI-CSI x 2 | |
オーディオジャック | ○ mic x 1 | |
その他インターフェース | PCIe(24pin) x 1 UART | |
消費電力 | ||
電源 | DC 5V/3A Type-C 5V/3A | |
幅 | 91mm | |
奥行き | 55.7mm | |
高さ | ||
その他 |
特徴
Xunlong Softwareは2018年4月に「Orange Pi RK3399」という、そのものずばりの名前の製品を発売していますが、メモリは2GBでサイズも129mm×99mmと大柄、光センサー・ジャイロスコープ・重力センサー・コンパス・磁気センサーと多数のセンサーを備えた”開発用ボード”の位置づけでした。
方向性が違うとはいえ、「NanoPi M4」「Rock Pi 4」など安価かつコンパクトサイズのRK3399機を他社がどんどん出してくる中で、対抗するラインナップが「Orange Pi」シリーズにないのはおかしくて、いつかRK3399かAmlogic S922Xのどちらかを搭載したモデルを出してくるだろうなぁと思っていたのですが、ようやく登場しました。
「Orange Pi 4/4B」の基板サイズは91mm×55.7mmで、ラズパイサイズの85.6mm×56.5mmより幅広ですが、他社と同等サイズまでコンパクト化されています。「Orange Pi RK3399」の129mm×99mmから比べると面積比で半分以下になりました。
「Orange Pi 4/4B」は名称からWi-fiの有無のように見えますが、どちらもWi-fiは搭載しています。
何が違うのかというと、「Orange Pi 4B」はUSB3.0をひとつ削除して、NPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載しています。
NPUはGyrfalcon社のSPR2801Sで、USB AIスティックの「Orange Pi AI Stick Lite」に搭載されたものと同じです。
SPR2801Sの最高性能は5.6TOPSで消費電力は600mWですが、「Orange Pi 4B」では2.8TOPSとなっているので、デフォルトでは省電力モードのようです。600mWで動作できるかは不明です。
上記の違いにより、「Orange Pi 4」と「Orange Pi 4B」ではインターフェースやチップ位置も異なっています。
上が「Orange Pi 4」、下が「Orange Pi 4B」です。
「Orange Pi 4」はeMMC非搭載モデルと16GBモデルがあります。チップ直付けなので、よっぽど腕に自信がない限り、非搭載モデルは選ばないほうが賢明でしょう。
PCIeは24ピンで提供されていますが…これを使うためのオプションが無いですね…
左上にマイクがちょこんと付いているので、音声認識などに使えそうです。
ヒートシンク用の穴が見当たらないところはちょっと減点です。RK3399の発熱ならシリコン接着剤でなんとかなる程度のヒートシンクで済むとはいえ、やっぱり固定できたほうが安心できますし…。
「Orange Pi 4B」はWi-fiチップの位置が変わり、SPR2801Sと、USB3.0 to eMMC変換チップのGL3224Eが増設されています。
調べた限りではSPR2801SはeMMC規格での接続になるようなので、内部的にはGL3224E経由でRK3399のUSB3.0に接続されていることになります。
上記の事情により、「Orange Pi 4B」ではUSB3.0端子がひとつ減らされ、USB3.0 Type-C+USB2.0 x2となっています。
上が「Orange Pi 4」、下が「Orange Pi 4B」です。
斜めから見るとインターフェースの違いは分かりやすいですね。
「Orange Pi 4」の2段になったUSB端子はUSB3.0/2.0なのですが、部材の都合か上下どちらも青端子になっています。
電源はDC(バレルジャック)かと思いきや、Type-C端子からも給電可能なデュアル仕様になっています。これ、何気に初めてかもしれません。
DCはいつもの12Vではなく、5Vな点に注意が必要です。
給電は5V/3A(=15W)なので、通常の12V/2A(=24W)より余裕がなくなっています。大抵の状況は大丈夫だとは思いますが、消費電力の大きい物をUSBにつなぐのは避けたほうがいいでしょう。
まとめ
「Orange Pi 4/4B」の価格は4GBメモリなのに49.9ドルからと、RK3399機の安値をさらっと更新しています。
Orange Pi 4(No storage):49.9ドル
Orange Pi 4(16GB eMMC):59.9ドル
Orange Pi 4B(NPU、16GB):69.9ドル
この価格設定は「Raspberry Pi 4」の価格(4GBモデルで55ドル)を意識しているんじゃないかと思われます。
個人的には「Orange Pi 4B」が気になります。
「Orange Pi AI Stick Lite」は単品で20ドルでしたが、「Orange Pi 4B」では+10ドルで済んでいるのも魅力的です。
USB3.0がひとつ潰れていますが、その価値は十分にあると思います。
なお、現在はAliExpressで販売されています。
関連リンク
Orange Pi 4:orangepi.org
Orange Pi 4B:orangepi.org
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