2020年1月2日、SBCメーカーのKobolがNano-ITX(120×120mm)サイズのSBC「Helios64」と、5ベイのエンクロージャケースを発表しました。
1月上旬に予約開始で、発想は2020年3月末となっています。
2020年1月8日追記:新たに画像が公開されていたので追加しました。
スペック
model | Helios64 |
---|---|
メーカー | kobol |
発売日 | 2020 |
価格 | 189ドル 295ドル(ケース込) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3399(6コア) (1.8GHz A72 x2 + 1.4GHz A53 x4) |
GPU | Mali T864 |
NPU | |
メモリー | 4GB LPDDR4 |
サポートOS | |
有線LAN | 2.5GbE x 1 1GbE x 1 |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | |
ストレージ | 16GB eMMC M.2(SATA) x 1 SATA x 5 microSD |
USB | 3.0(Type-C) x 1 3.0 x 3 |
GPIO | 24pin x 1 |
映像 | × |
カメラ | × |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | |
消費電力 | |
電源 | DC 12V / 10A |
幅 | 120mm |
奥行き | 120mm |
高さ | |
その他 | ケースサイズ:222 mm x 134 mm x 1250 mm 80mmファン x 2 |
特徴
「Helios64」を一言で言うと、RK3399を搭載したNAS特化SBCとなります。
Kobolは以前にもNAS向けSBC「Helios 4」を発売していますが、「Helios64」はより特化した形となります。
「Helios 4」ではアクリル板を組み立てる、いかにもDIYなNASケースでしたが、「Helios64」はアルミケースとなります。
「Helios 4」とのギャップが激しすぎますね。
見た目はもう、デザイン性の高い本格的なNASです。
ケースの特徴は以下となっています。
・5ベイ3.5インチ
・ホットプラグ対応(トレー式)
・組み込みコントロールパネル
・フロントUSB 3.0 Port
・80mm PWMファン×2
・簡単組立
・必要なケーブル込み
・サイズ : 222mm x 134mm x 250mm
ホットプラグ対応で前面がふさがっていることから、背面から入れ替える(メッシュから見えるピンクの基板が多分SATAコネクタ)ものと思われます。
トレー式と書かれていますが背面には80mmファンが2つ並んでいるはずなので、実際の入れ替えは分解する必要がありそうです。
予想ですが、アルミの枠がズボッと抜ける構造なんじゃないかと思います。
2020年1月8日追記:前面からのホットスワップ構造でした(詳細は後述)
ボードについてはこれまでのSBCとはまったく異なったものとなっています。
見た目はオンボードマザボっぽくなっています。
SATAポートが5つ並んでいるあたりがSBCっぽさが薄い要因でしょうか。
CPU(SoC)は前述の通りRockchip RK3399です。
SBC用としてはハイエンド、ARM系全体で見ればミドルロークラスですが、PC向けと比較した場合は近いのはPentium G4560だったりします(Geekbenchスコアでの比較)。
Celeronよりスコアが高いので、x86でないこと、メモリ上限が4GBであることを除けば動作は快適ですし、dockerを使えば大抵のアプリはなんとかなります。
ストレージは先述のSATA×5のほか、16GB eMMCにM.2(SATA)スロット(見た感じでは2280対応)、microSDと揃っています。
M.2は”shared with one SATA 3.0″とあるので、SATAポートのうちの一つと排他利用になりそうです。
eMMCにOSを入れてM.2をキャッシュに使えば、(4ベイに制限されますが)そこそこの速度を確保できそうです。
地味に凄いのがLANポートで、2.5GbE搭載です。
多分SBCで2.5GbEは初めてじゃないでしょうか。これだけでも安価なエントリー向けNASより上位とみなすことができそうです。
USBは計4ポートです。
RK3399の持つインターフェースでは足りないので、多分ハブチップを噛ませているんだと思います。
画像の右側は電源部分となっており、HDD動作分を含む120W(12V@10A)の大電力を支えます。
ビルトインUPS(Uninterruptible Power Supply、無停電電源装置)とありますが、上に並ぶ電源コネクタのうち、4ピンか6ピンあたりがバッテリーに繋がるのでしょう(バッテリーはオプションとなっています)。
バッテリーはPanasonicの18650リチウムイオン電池(NCR18650BD)の2本組となっています。
18650電池は直径18mm、長さ65mmの、乾電池を大きくしたような見た目で、大型のモバイルバッテリーなどで使われています。最近ではLED懐中電灯などに使われることも多いです。
懐中電灯の場合は単4電池3本用のカートリッジで代用できるようになっていることも多いです。
一般的なニッケル水素充電池は単4充電池3本で2.7WHr(1.2V@750mAh×3=2.7WHr)なのに対し、18650は一本で12.58WHr(3.7V@3400mAh=12.58WHr)と、4倍以上の容量となります。
4本もあればちょっとしたノートPC並のバッテリー容量になりますね。
個人的に惜しいのが、Wi-fi非対応とHDMI端子がないことでしょうか。
ディスプレイ出力をしようと思うと、Type-C→DisplayPort変換しか方法がありません。
Wi-fiは使いたいときはUSBでやるしかないですね。
ちなみにヒートシンクを取り付けるとこんなかんじになります。
追加画像(2020年1月8日追記)
公式サイトにて画像が追加公開されていましたので、追加いたします。
ストレージは前面のメッシュを外して交換する形となります。
ピンク色は普通にトレーでした。
背面はこんな感じで、80mmファンが2台固定され、左側にボードのインターフェースが並びます。
こうしてみると普通のNASにしか見えませんね。
内部の透視図です。
ピンク色のものがオプションのバッテリーですね。
容量から考えて、停電時に正規手順でシャットダウンさせる猶予をもたせる、程度にとどまると思います。
しかし、データセンター勤務だとかサーバールームメンテとか経験すれば分かりますが、正規シャットダウンをしなかった場合の停電死というのは割とよくあるので(3.11でどれだけ死んだことか…)、あるとないとでは信頼性というか耐久性は大きく差が出ることでしょう。
あとはバッテリーに切り替わっ経った場合の自動シャットダウンがあれば言うことはないですね。
まとめ
NAS特化SBCとして完成された感のある「Helios64」の価格は、SBCとしては高価な部類となる189ドル(約20,400円)です。
アルミの5ベイケースは95ドル(約10,200円)、120W電源アダプタは14ドル(約1,500円)、UPSバッテリーは12ドル(約1,300円)です。
本体、ケース、電源アダプタ、バッテリーのセットだと295ドル(約31,800円)です。予約期間(〜2020年3月)は10ドルオフの285ドルになります。
「Helios 4」が195ドル(クラウドファンディング価格)だったことを考えると、100ドルアップ程度の内容じゃないですね。
価格的にはQNAPやSynologyのエントリー向けと同じか少し安いくらいになりますが、2.5GbEの分「Helios64」の方が優勢といったところでしょうか。
3万円台だと映像出力のある機種は少ないので、その点も優位かもしれません。
とにかく、今年注目のSBCの一つになることは間違いなさそうです。
関連リンク
Helios64 Open Source NAS:Kobol
リリースノート:Kobol Blog
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