新要素多いね! Intelの第11世代Core CPU「Tiger Lake」が登場。Ryzenを追い越した?

2020年9月2日、Intelは第11世代Core CPU、コードネーム「Tiger Lake」を発表いたしました。
合わせて新プラットフォーム「Intel Evo Platform」と新製品ロゴも公開いたしました。

第10世代Ice Lakeの時も第8/9世代からかなり進化したと感じましたが、Tiger Lakeではそれ以上です。

2019年8月1日、Intelは第10世代Coreプロセッサ「Ice Lake」の仕様を発表しました。 発表されたのはTDP15W/28Wの...

なお、Tiger LakeはComet Lakeではなく、Ice Lakeの後継となります。

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ラインナップ

Tiger LakeではIce Lakeで導入された新ネーミングが用いられています。

モジュールのサイズがUP3(46.5×25mm)とUP4(26.5×18.5mm)の2種類になり(上の画像の左がUP3、右がUP4です)、それぞれが以前でいうUシリーズ、Yシリーズに相当します。
が、CPUの型番では判別しづらくなったのが難点です。

UP3
プロセッサーナンバー コア数(スレッド数) 標準クロック 最大クロック(1コア) 最大クロック(全コア) L3キャッシュ 内蔵グラフィック EU数 GPU最大クロック cTDP
Core i7-1185G7 4 (8) 3.0 GHz 4.8 GHz 4.3 GHz 12MB Iris Xe 96 1350 MHz 12-28W
Core i7-1165G7 4 (8) 2.8 GHz 4.7 GHz 4.1 GHz 12MB Iris Xe 96 1300 MHz 12-28W
Core i5-1135G7 4 (8) 2.4 GHz 4.2 GHz 3.8 GHz 8MB Iris Xe 80 1300 MHz 12-28W
Core i5-1125G4 4 (8) 2.0 GHz 3.7 GHz 3.3 GHz 8MB UHD 48 1250 MHz 12-28W
Core i5-1115G4 2 (4) 3.0 GHz 4.1 GHz 4.1 GHz 6MB UHD 48 1250 MHz 12-28W
UP4
プロセッサーナンバー コア数(スレッド数) 標準クロック 最大クロック(1コア) 最大クロック(全コア) L3キャッシュ 内蔵グラフィック EU数 GPU最大クロック cTDP
Core i7-1160G7 4 (8) 1.2 GHz 4.4 GHz 3.6 GHz 12MB Iris Xe 96 1100 MHz 7-15W
Core i5-1130G7 4 (8) 1.1 GHz 4.0 GHz 3.4 GHz 8MB Iris Xe 80 1100 MHz 7-15W
Core i5-1120G4 4 (8) 1.1 GHz 3.5 GHz 3.0 GHz 8MB UHD 48 1100 MHz 7-15W
Core i5-1110G4 2 (4) 1.8 GHz 3.9 GHz 3.9 GHz 6MB UHD 48 1100 MHz 7-15W

新要素

第10世代(Ice Lake)とのざっくりとした比較が以下の表です。
この中から重要な部分をピックアップして解説します。

第11世代 第10世代
コードネーム Tiger Lake Ice Lake
製造プロセス 10nm SuperFin 10nm
CPU Willow Cove Sunny Cove
L2キャッシュ(コアあたり) 1.25MB 512KB
キャッシュ(全体) 12MB 8MB
Control Flow Enforcement 対応
GPU Xe-LP Iris Plus
EU数(最大) 96 64
最大解像度 7680×4320@60Hz 5120×3200@60Hz
ディスプレイ数 4 3
DirectX 12.1 12
OpenGL 4.6 4.5
メモリ DDR4-3200
LPDDR4-4267
DDR4-3200
LPDDR4-3733
GNA GNA 2.0 GNA 1.0
Thunderbolt/USB Thunderbolt 4.0
USB4
Thunderbolt 3.0
USB 3.2 Gen2
PCI Express Gen 4 Gen 3

Willow Cove(新設計コア)

Tiger LakeのCPUコアは前世代のSunny Coveをベースに改良された、Willow Coveというコアに変わっています。

キャッシュ・アーキテクチャを再設計し、L2キャッシュがSunny Coveではコア当たり512KBだったものを2.5倍の1.25MBに増やしています。

製造プロセスも「Super Fin」という技術を導入することで動作クロックの向上、消費電力の改善、抵抗値の低減による大電流の安定供給など性能向上につながる改良が加えられました。

これによってSunny Coveでは3.9GHzで動作するところを、同じ電圧で4.8GHzまで引き上げることに成功しています。

これらの効果によって、前世代(Ice Lake)に比べてCPU性能は20%向上しました。

またAI推論性能も向上しており、CPUとは独立して動作するGNA(Gaussian & neural Accelerator)がGNA 2.0となっています。性能としては1GOP/mWとなっています(最大値は不明)。

GNAは省電力で動作するため、音声処理とかノイズ抑制とか、低負荷で長時間続けなければいけない仕事を想定しているようです。

命令セットでもIce Lakeの時からIntel DeepLearning BoostというAI向け命令セットが用意されていましたが、新命令「DP4a」が追加されました。
DP4aはFP32(32bit浮動小数点)をINT8(8bit整数)に置き換えて処理することで、推論性能を4倍早く行うというもののようです。

詳細は不明ですが、2016年にNVIDIAがディープラーニング向けに出した命令セット「dp4a」と同じ動きなので、原形はここでしょう。

GPUであるIntel XeでもAI推論が行えるため、性能は5倍に達します。

グラフィック

グラフィック面では前々よりチラ見せしてきたIntel Xeが上位モデルに搭載されます。

Ice Lakeと比較すると以下のようになります。

第11世代 Iris Xe 第10世代 Iris Plus
コードネーム TGL Xe-LP ICL Gen11
実効ユニット(EU) 96 64
周波数 1.35 GHz 1.1 GHz
FP32(TFLOP) 2.07 1.13
FP16(TFLOP) 4.15 2.25
INT8(TOP) 8.29
ピクセル数(Gpixel/s) 32.4 17.6
ジオメトリ(Gprimitive/s) 2.7 1.1
L3キャッシュ 3840KB 3072KB

性能面ではだいたい2倍近いと言ってもいいんじゃないでしょうか。

実行ユニット(EU)はIce Lakeの最大64基から96基に増加し、8Kの表示や4台のディスプレイ表示に対応した点も見逃せません。

IntelはAMD Ryzenに対しグラフィック面で後れを取ったのが悔しかったようで、Core i7-1185G7とRyzen 7 4800UのFPS比較を出したりしています。

さらにはモバイル向けdGPUであるGeForce MX350を含めた比較でもRyzen 4800Uはおろか、MX350をも上回るFPSをたたき出しています。

実際にベンチマークしてみなければ何とも言えませんが、中量級のFHD解像度でも設定次第で過不足なくプレイができる気がします。

ついでに、Intel XeはAI推論に使うこともでき(先述のDP4aですね)、こちらもRyzen比で4倍の性能を謳っています。

USB4/Thunderbolt4

Ice LakeでThunderbolt 3が組み込まれて喜んでいたのもつかの間、Tiger LakeではThunderbolt 4/USB4が内蔵されました。

Thundeerbolt 3と4の比較については以下の画像がまとまっています。

ざっくり並べると以下の点がポイントです。

・最大転送速度は40Gbpsのまま
・PCIeは16Gbpsから32Gbpsになるので、SSDの転送速度が3000MB/s以上にできる
・ドッキングステーションにつないだキーボード/マウスからスリープ解除
・2m以上のケーブルが使えるようになる
・デイジーチェーンだけでなくハブ(最大4ポート)もできるように

PCIe 4.0

PCIe 4.0は第3世代Ryzenが初めて搭載しましたが、デスクトップ向けだけでモバイル向けには来ていませんでした。
ようやくIntelも追いついたというか、モバイル向けではIntelの方が先になりましたね。

とはいえモバイル向けなので使われるのはSSDとの接続くらいでしょう。

新プラットフォーム

IntelではこれまでProject Athena(アテネ)というノートPC認証プログラムを実施していました。

「Intel Evo Platform」はその中のブランドという位置づけになるようです。

Project Athenaの要件は以下

・1秒以内のスリープ復帰
・電源非接続時でも高速動作する応答性
・ローカル動画再生で16時間以上
・無線接続状態でWebブラウジング9時間以上
・4時間分の容量を30分以内で充電

対してIntel Evo Platformの要件は以下

・電源を問わずレスポンスが良いこと
・9時間以上のバッテリー持ち(フルHDモデル)
・1秒以内のスリープ復帰
・30分以下の充電で4時間駆動(フルHDモデル)
・Wi-Fi 6(Gig+)とThunderbolt 4の実装

あまり内容は変わりはしませんが、Wi-fi 6(802.11ax)とThunderbolt 4が要件に追加されています。

新ロゴ

Intelは20006年以来14年ぶりにコーポレートロゴを刷新し、合わせて製品ロゴも刷新しました。

まとめ

第11世代 Tiger Lakeは7nmプロセスにはなりませんでしたが、大きなインパクトを持ったCPUです。

CPUも細かく性能向上はしていますが、グラフィックの性能向上が著しく、しばらくはベンチマーク合戦になることでしょう。

個人的には追いつかれたAMDがどう対応するのかが気になりますが、ここ最近のAMDはロードマップに沿って粛々と開発を進めている印象ですし、そもそもZen3を年内に発表すると公言しているので、特に過敏な反応はないかもしれません。

例年通りですと新年早々のCESでモバイル向けRyzenの新世代が公開されるので、4か月間の我慢ですね。