2020年10月5日、Ryzen 4000 APUシリーズ(開発コード:Renoir)に対応したASRockのミニPCベアボーン「DeskMini X300」の予約が、各ショップで開始されました。
発売は2020年10月9日です。
スペック
■DeskMini X300 | |
対応CPU | Ryzen 2000/3000/4000 APU |
---|---|
メモリ | SO-DIMM×2 ~DDR4-3200 |
ストレージ | M.2×2、2.5インチ×2 |
USB | Type-C(Gen1)×1 3.0×2、2.0×1 |
wi-fi | オプション |
サイズ | 155×155×80mm |
特徴
「DeskMini X300」は大ヒットとなった「DeskMini A300」の後継機種です。
2020年7月21日の「Ryzen 4000 APU」シリーズ発表から2週間後の2020年8月6日に発表されました。
「DeskMini A300」ではRyzen 3000 APUシリーズ(開発コード:Picasso)までしか対応できなかったものが、最新のRyzen APU 4000シリーズ対応になった点が一番大きな違いです。
ざっくりと違いを箇条書きにすると以下のようになります。
・チップセットがA300からX300に
・オーバークロックが可能に
・メモリがDDR4-3200まで対応(Renoirの場合)
・付属ヒートシンクが大型化(5mm高くなった)
・前面の通風口の削除
・インターフェースは変更なし
対応CPUはRenoir, Picasso, Raven Ridge。Bristle Ridgeは対応から外れました。購入できるCPUは以下となります。
プロセッサーナンバー | コア数(スレッド数) | GPUコア数 | 標準クロック | 最大クロック | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 PRO 4750G | 8 (16) | 8 | 3.6 GHz | 4.4 GHz | 44,000円前後 |
Ryzen 5 PRO 4650G | 6 (12) | 7 | 3.7 GHz | 4.2 GHz | 30,000円前後 |
Ryzen 3 PRO 4350G | 4 (8) | 6 | 3.8 GHz | 4.0 GHz | 22,000円前後 |
Ryzen 5 3400G | 4 (8) | 11 | 3.7 GHz | 4.2 GHz | 20,000円前後 |
Ryzen 3 3200G | 4 (4) | 8 | 3.6 GHz | 4.0GHz | 13,000円前後 |
Athlon 3000G | 2 (4) | 3 | 3.5 GHz | – | 7,000円前後 |
Ryzen 5 2400G | 4 (8) | 11 | 3.6 GHz | 3.9 GHz | 21,000円前後 |
Ryzen 3 2200G | 4 (4) | 8 | 3.5 GHz | 3.7 GHz | 14,000円前後 |
Athlon 240GE | 2 (4) | 3 | 3.5 GHz | – | 9,000円前後 |
Athlon 240GE | 2 (4) | 3 | 3.4 GHz | – | 8,500円前後 |
Athlon 200GE | 2 (4) | 3 | 3.2 GHz | – | 6,000円前後 |
Ryzen 4000シリーズのみ4コアの壁を超えており、最大8コア16スレッドという、ミニPCとは思えないスペックにすることができます。
そのため、Renoir(Ryzen 4000 APU)は現在品薄が続いており、単体での入手が困難な状況です。
セット販売も見かけますので、CPU(APU)が手元にない場合は同時購入することをおすすめします。
電源ボタン
マイク端子
USB Type-C(USB 3.2 Gen1)
USB Type-A(USB 3.2 Gen1)
DisplayPort
HDMI
VGA(D-Sub)
GbE LANポート
USB Type-A(3.2 Gen2×1、2.0×1)
インターフェースです。
前面は金属ではなく、ヘアライン風の加工が施されたプラスチックだそう。
▲参考までに「DeskMini A300」のインターフェースです。
見た目は変更されてますが、インターフェースの配置等はそのままであることが分かります。
背面のHDMI2.0、DisplayPort1.2、D-Subは同時出力が可能で、トリプルディスプレイに対応しています。
▲マザーボードはこんな感じ。型番は「ASRock X300M-STX」です。
…ちなみにこの画像、「DeskMini A300」と全く同じなので、使いまわしの可能性が高いです。
メモリがDDR4-2933となっていますが、CPU(APU)側の制限で「DeskMini X300」でもPicasso(Ryzen 3000 APU)の場合はDDR4-2933までの対応となります。
Renoir(Ryzen 4000 APU)であればDDR4-3200まで対応できます。
メモリの速度って結構重要で、内蔵GPUと共有していることもあって、これだけでも2割以上差が出たりします。
シングルチャンネル(1枚挿し)とデュアルチャンネル(2枚挿し)でもスコアががっつり変わるので、2枚挿しはほぼ必須条件と言ってもいいでしょう。
「DeskMini X300」はBIOSからオーバークロックが行えます。これは「DeskMini A300」にはなかった機能です。
オーバークロック対象はCPU(APU)に限らず、GPU、メモリも対象です。
画像はRyzen 5 3400Gの例ですが、オーバークロックを行うことでスコアを伸ばすことができます。
RenoirとOC耐性に定評があるメモリの組み合わせでは、3600MHz(DDR4-3600相当)での安定動作に成功したというレビュー報告もあります。
内部ストレージは、M.2×2、2.5インチ×2のクアッドストレージが可能です。
セカンドM.2 SSD(マザーボード背面)は、Athlon使用時はPCIe Gen3 x2接続となります(APUの制限)。
「DeskMini X300」はオプションも豊富に用意されています。公式に記載されているのは以下。
・DeskMini Addressable LED
・AMD APU Cooler
・Rear Audio Cable
・VESA Mount Kit
・M.2 Wi-Fi Kit
・USB 2.0 Cable
このうち下4つはPCパーツショップだと割と置いているので、容易に入手が可能です。
この中でも関心が高くなるのはWi-fiキットでしょう。
802.11ax(Wi-fi 6)対応のIntel AX200キットは年内に発売する予定とのこと。まぁ、単体で買っても問題ないとは思います。
DeskMini H470について
「DeskMini X300」に話題をさらわれていますが、ASRockからはIntel第10世代CPU用の「DeskMini H470」も同時に発売されます。
・TDP65Wまでの第10世代Intel CPUに対応
・メモリはDDR4-2933まで
・背面のUSB Type-CはUSB PD、USB Alt Mode対応
・最大3画面(仕様的には4K×3可能?)
・フロントのUSB Type-AはUSB 3.2 Gen2
・Optane Memory対応
このような感じで、実はRyzen 7 PRO 4750Gを超える、10コア20スレッドなCore i9-10900を搭載することができたります。でも話題にならないかわいそうな子。
噂では、消費電力の関係で最大パフォーマンスが発揮できないという話もあります。
さらに言うと、CPU性能はともかく、グラフィック面では雲泥の差となります。
▲インターフェースも「DeskMini X300」とは背面が異なっています。
まとめ
「DeskMini X300」の価格は税抜き19,880円、税込み21,868円です。
「DeskMini H470」は税抜き20,880円、税込み22,968円です。
「DeskMini X300/H470」はベアボーンのため、本体の他にCPU(APU)、メモリ、ストレージ、OSが必要となります。
構成次第ではありますが、最安だとOSにLinuxを使って3万円台、Ryzen 7 PRO 4750GやCore i9-10900を使った最上級構成だと10万円を超えるくらいにはなりそうです。
それでもAMDerが待ち望んだ、8コアミニPCを構築できるわけで、「DeskMini X300」もヒットを飛ばすことでしょう。
関連リンク
DeskMini X300 Series:ASRock
DeskMini H470 Series:ASRock
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