2020年10月8日、3Dカメラ/センサーメーカーのORBBECがAmlogic A311Dを搭載したSBC「Zora P1」を発表しました。現在は発売中です。
同機はCES2021(期間:2021年1月11~14日)内でも発表されました(というかそこで知りました)。
元がSBCメーカーではなく、自社の3Dカメラ/センサーと合わせて使用する開発キットという位置づけのようですが、ざっと見た限りでは中身は特殊な仕様もない、普通のSBCです。
スペック
モデル名 | Zora P1 |
---|---|
メーカー | ORBBEC |
発売日 | 2019/10 |
価格 | 142.5ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Amlogic A311D(6コア) (A73 x4 + A53 x2) |
GPU | Mali G52 MP4 |
NPU | |
メモリー | 4GB DDR4 |
サポートOS | Android Ubuntu 18.04 |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11 ac(2×2) |
Bluetooth | 5 |
チップ | AP6256 Q2405AG RTL8211F? |
ストレージ | eMMC microSD |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 2.0 x 1(Type-C) |
GPIO | 42pin x 1 |
映像 | HDMI(2.1 4K/60Hz) DSI x 1 |
カメラ | CSI x1 |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | UART |
消費電力 | |
電源 | DC12V |
幅 | 116mm |
奥行き | 100mm |
高さ | |
その他 |
特徴
Amlogic A311DはAmlogic社が2018年8月に発表した新しめのSoC(System on Chip)です。動作周波数の記載はありませんが、参考までに同SoCを搭載するKhadas「VIM3」では2.2GHz駆動の4コアCortex A73と1.8GHz駆動の2コアCortex A53となっています。

性能的には以下のような位置づけです。
長らく上位SBCで採用し続けられているRockchip RK3399より3割ほどスコアが高くなっています。
特筆すべきは、A311DはCPUとは別にTensorFlowとCaffeに対応したNPU(ニューラルプロセッシングユニット)を内蔵しており、その性能は5.0TOPSに達します。
なお、S922XとはNPUの有無くらいの差なので、スコアは誤差程度の差になっています。
「Zora P1」は3Dカメラ/センサーとセットでの使用が想定されているので、画像解析に強いA311Dが選ばれたのだと思います。
メモリは4GB DDR4、ストレージはeMMCとmicroSDですが、eMMCは別ボードで提供されます。
Wi-fiはオンボードで、最大867Mbpsの802.11ac(Wi-fi 5)に対応しています。
▲インターフェースです。
分かりにくいですが、USB2.0とUSB3.0は2ポートずつとなっています。
しかしA311DはUSB2.0とUSB3.0は1ポートずつしかないので、ハブチップかPCIe to USBチップのどちらかを使っていると思われます。
PCIeはGPIOの方に使われているのかもしれませんが、ドキュメントがないので詳細は不明です。
▲表側のもうちょっと大きな画像です。
回路の引き方が独特ですね。
また、サイズも116x100mmとやや大柄です。
▲画像が少し小さいですが、裏面です。
裏側には特に端子の類はありません。
本業の3Dカメラについて
ORBBECの本業は3Dカメラ/センサーなわけで、CES2021でも3Dカメラの新製品(3種類)がメインで、「Zora P1」は最後にちょろっと言及される程度です。
今回発表されたカメラ/センサーは以下でした。
・赤外線による距離測定機能を兼ね備えた「ToF sensors」
・リアルタイムで3D化する「Real-Time Industrial 3D Camera」
・従来のVGA画質から1080pに解像度を引き上げた、「Astra」シリーズの新製品「Astra+」
まとめ
「Zora P1」はすでに公式ショップで販売中で、149.99ドルから5%オフの142.50ドル(約14,800円)となっています。パッケージには電源アダプタとクリアケースが含まれています。
eMMCは別売りで、以下の価格となっています。
16GB:15ドル
32GB:25ドル
64GB:45ドル
「VIM3」が4GB RAM/32GB eMMCで139.9ドル(電源は12ドルで別売)ということを考えるとほぼ同価格帯と言ってよさそうです。
でも個人的には、「Zora P1」はドキュメントの類が見当たらないこと、基板上の配置の緻密さ、周辺機器の充実度など含めて考えると、「VIM3」の方が洗練されているなぁと思ったり。
ただ、他ジャンルメインのメーカーが自社製品との連携のために母艦となるボードを作るというコンセプトは面白いので、是非とも続けてほしいと思います。
関連リンク
Zora P1 Development Board:ORBBEC
ニュースリリース:ORBBEC
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