2020年12月8日、ASUSはRockchip RK3399を搭載したSBC「Tinker Board 2」および「Tinker Board 2S」を発表いたしました。
なかなか発売しないのでネタを寝かせていたのですが、2021年2月25日にひっそりと国内発売していました。
また、3月22日からはAmazonでも販売されています。
スペック
モデル名 | Tinker Board 2 | Tinker Board 2S |
---|---|---|
メーカー | ASUS | |
発売日 | ||
価格 | 10,850円 | 13,950円 |
価格(日本円) | ||
CPU | Rockchip RK3399(6コア) (2.0GHz A72 x2 + 1.5GHz A53 x4) | |
GPU | Mali-T860 MP4(800MHz) | |
NPU | ||
メモリー | 2 / 4GB LPDDR4 | |
サポートOS | Debian 9 Android 10 | |
有線LAN | 1GBE x 1 | |
Wi-fi | 802.11ac (M.2 Key E) | |
Bluetooth | 5 | |
チップ | RTL8211F-CG AW-CB375NF | |
ストレージ | microSD | 16GB eMMC microSD |
USB | 3.2(Gen1) x 3 3.2(Gen1) x 1(TypeC) | |
GPIO | 40pin x 1 | |
映像 | HDMI x 1 MIPI DSI x 1 | |
カメラ | MIPI-CSI x 1 | |
オーディオジャック | ||
その他インターフェース | ||
消費電力 | ||
電源 | DC 12V〜19V(5.5/2.5mm) | |
幅 | 85mm | |
奥行き | 56mm | |
高さ | ||
その他 |
特徴
「Tinker Board 2/2S」はASUS SBCの5/6機種目となります。「2」と「2S」の違いは16GB eMMCの有無だけです。
名前的には「Tinker Board」「Tinker Board S」(便宜上、1/1Sと記載)の後継機種で、ざっくりとした違いは以下のようになります。
モデル | Tinker Board 2/2S | Tinker Board 1/1S |
---|---|---|
SoC | RK3399 | RK3288 |
GPU | Mali-T760 MP4(600MHz) | Mali-T860 MP4(800MHz) |
メモリ | 2 / 4GB LPDDR4 | 2GB DDR3 |
ストレージ | microSD 16GB eMMC(2Sのみ) | microSD 16GB eMMC(1Sのみ) |
USB | USB3.2 Gen1 × 1(Type-C) USB3.2 Gen1 × 3 | USB2.0 × 4 |
Wi-fi | 802.11ac+BT5.0 | 802.11b/g/n+BT4.0 |
サウンド | S/PDIF(GPIO) | オーディオジャック S/PDIF(pin) |
電源 | 12~19V | microUSB |
電源がmicroUSBから電源ジャックになったのは残念ですが、その分あれこれとスペックアップしています。
「Tinker Board 2/2S」と「Tinker Board 1/1S」の性能差についてはASUSが公式サイトでベンチマーク比較をしています。
RK3288は4コアCortex-A17、RK3399は2コアのCortex-A72+4コアCortex-A53です。
Cortex-A17はARMv7世代の32bitプロセッサ、Cortex-A53/A72はARMv8-A世代の64bitプロセッサなので、もろもろ性能が向上しています。
※2021年8月1日追記:RK3288はCortex-A17なのに、Cortex-A53と記載していたのを修正いたしました。
グラフィック性能についてもベンチマークを行っており、最大28%高速化したとのこと。
インターフェースの分かりやすい画像は少なく、これが一番わかりやすいでしょう。
基本はRaspberry Pi 3に近いスタイルで、Type-C端子はType-A端子と同じ並びに配置されています。
SoCに書かれたOP1とはChromebook向けにカスタマイズされたRK3399のことで、Android向けに最適化されたSoCですが、中身に大きな違いはありません(というか、違いについて詳細に書かれているのを見たことがない)。
1.RTCバッテリーヘッダー
2.microSDスロット(背面)
3.ファンコネクタ
個人的に盛り上がっているのは、Wi-fiがM.2カード(Azurewave AW-CB375NF)で提供されている点です。
がじぇっとりっぷが知る範囲では、クレカサイズでM.2 KeyEを搭載してきたのは初です。Key M搭載SBCはいくつかあるので、Key M→Key E変換すればできなくもないですが、ネイティブでKey Mは初です。
これってもしかしなくとも、802.11ax(Wi-fi 6)なIntel AX200に換装して遊べってことですよね?
公式にはOSはDebian 9とAndroid 10の対応ですが、Intel AX200ドライバを持つArmbianがすぐに対応してくるでしょう。
ドキュメントが公開されていないので断言はできませんが、おそらくRK3399のPCIeスロットがWi-fiに割り当てられているものと思われるので、802.11axでもフルスピードが出せるでしょうし、できる可能性は高いです。
無線なので安定はしませんが、ある程度条件さえ整えればWi-fiなのに有線LANのGbEを軽く超えるので、例えば無線NASを構築することも夢ではありません。
▲USBの使用イメージです。
USBはType-CはDisplayPort出力が可能で、HDMIと合わせてデュアルディスプレイが可能です。
残る3ポート(Type-A)もすべてUSB3.2 Gen1で、こちらはハブチップで1ポートを3ポートに増やしていると思われます。
このイメージだと、WEBカメラ2台で撮影した画像をCoralのAIスティックで解析し、モバイルディスプレイに結果を表示する、といったところでしょうか。
「Tinker Board 2/2S」に限らず、ASUS SBCの優れている点は、大手が手掛けるだけあって、管理ソフトやプロ向けツールまで公式が用意していることでしょう。
上記画像のセットアップ&モニタリングツールの他、管理プラットフォームのASUS IoT Cloud Console(AICC)、無線経由でのファームウェアアップデートツールのASUS Industrial Android FOTAなどが用意され、複数のSBCを一元管理できます。
なお、FOTAは有償サブスクになるようです。
▲パッケージは「Tinker Board 1/1S」に引き続きポップな雰囲気になるようです。
まとめ
「Tinker Board 2/2S」は記事公開時点で(なかなか検索に出てきませんが)AmazonおよびPhysical Computing Labで販売されています。価格はAmazonで「Tinker Board 2」が11,850円、「Tinker Board 2S」が13,950円です。
個人的には先述した無線NASにできそうな点がとても気になっています。
NASでなくてもテレビにつないでメディアサーバー兼メディアプレイヤーにしてもいいですし、ASUSの想定用途のように、IoTエッジ端末として使うのもいいでしょう。
MIPI-DSIとMIPI-CSIがあるので、組み込みのカメラ付きディスプレイ(ショッピングモールなんかにある着せ替えディスプレイなどですね)なんかもできますし、割と遊べる一台じゃないでしょうか。
関連リンク
Tinker Board 2:ASUS
Tinker Board 2S:ASUS
ASUS Tinker Board 2の国内出荷開始のお知らせ:Physical Computing Lab
Tinker Board 2:Physical Computing Lab
Tinker Board 2S:Physical Computing Lab
コメント
> RK3288は4コアCortex-A53、RK3399は2コアのCortex-A72+4コアCortex-A53です。
間違えてますね
RK3288は4コアCortex-A12、です。
RK3328と名称が似通ってるんで、間違える人が多いのも しょうがないかも
コメントありがとうございます。
正しくはCortex-A17、でした。修正いたしました。