がじぇっとりっぷでは一通りのCPUを触ってみることを目標にしていますが、いまだに触れていないのがCeleron N4100とCore m3-8100Yだったりします。
どちらも旧世代品で、新製品が出てくることがなくなっているので、なかなかレビューの意欲がわかないんですよね。
とはいえ、新世代品との比較のためにもデータは必要なので、中古ながら購入したのがCeleron N4100を搭載したCHUWI「UBook Pro」です。
2019年後半の製品で、がじぇっとりっぷでも記事にしたことのある機種ですね。

なお、現在は後継機種でディスプレイ解像度が2160×1440となった「UBook X」が販売されています。
CHUWI UBook Pro

CPU | Celeron N4100 |
---|---|
メモリ | 8GB DDR4-2133 |
ストレージ | 256GB SSD |
画面 | 12.3インチ IPS WUXGA+(1920×1280) |
インターフェース | USB Type-C(Gen1)×1 USB 3.0×2 microSDXC オーディオジャック |
カメラ | 前面:200万画素 背面:500万画素 |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
サイズ | 290.4×179.3×9.0mm |
バッテリー | 26.6Wh (7.6V@3500mAh) |
重さ | 0.76kg |
GoodPoint
✔ 4コアで軽作業ならこなせる
✔ スタンド付きで自立する
✔ Type-C給電対応
✔ ディスプレイが見やすい
BadPoint
✖ 両手縦持ち時に右手の位置が熱くなる
✖ 音量ボタンの反応がシビア
✖ スピーカーの音がスカスカ
「UBook Pro」のインターフェース
・USB Type-C
・USB 3.0
・microHDMI
・電源ジャック
・オーディオジャック
・USB 3.0
ボロボロなのは中古ゆえではなく、USBメモリを外す際に爪でひっかいてしまったらあっさり剥がれてしまいました。側面の塗装は剥がれやすいです。
Celeron N4100はGemini Lake世代(2017年登場)なので最新規格には対応しておらず、インターフェースはUSB3.0となっています。
逆に、USB2.0がない点はいいんじゃないかと。
「UBook Pro」のディスプレイ
Windowsタブレットなので、ベゼルは太目になっています。
ディスプレイパネルは「BOE075C」でした。残念ながら詳細情報は見つからず。というか、これ、11.6インチパネルのモデル名っぽいんですよね…
実際のところは「TV123WAM-ND0」か「TV123WAM-ND1」じゃないかなぁと。12.3インチパネルなんてそんなに種類ないですし。
参考 BOE TV123WAM-ND0
参考 BOE TV123WAM-ND1
グレアパネルなので発色はよく、コントラストも高めになっています。
その割にあまりぎらついた感じはなく、DELLノートのような柔らかな表示の印象を受けます。
3:2というアスペクト比も相まって、何かを表示しておくにはすごくいい感じのディスプレイです。
「UBook Pro」の内部
今回は分解まではしていないため、公式画像より内部を見てみます。
メモリはオンボードの8GBで、ストレージはM.2 SATA SSDが使われています。
「UBook Pro」のパフォーマンス
「UBook Pro」の搭載CPUはCeleron N4100で4コア4スレッドです。
とはいえ、ファンレスなためか全体的には低めです。
総合(PassMark)
PassMarkではシングルスレッドが803、マルチスレッドが1970となりました。PassMark公式平均は2460なので、2割くらい低いですね。
これは前述の通りファンレスであることが原因と思われます。
参考 PassMark – Intel Celeron N4100
CPU

見ての通り、CPU性能は高くありません。
2コア2スレッドなCeleron N4000比では1.9倍で、同じGeminiLake世代の最エントリー機よりは格段によくなっているものの、絶対性能の面では足りているとは言い難いです。
GPU


排熱の関係か(「UBook Pro」はファンレス)、グラフィック性能はCeleron N4000にも及ばず、かなり低い数値となっています。
普通にブラウザでwebを見るとか、Youtubeを見るくらいなら問題ありませんが、ゲームに関しては軽量タイトルでも無理と思った方がいいでしょう。
ストレージ
「UBook Pro」はタブレット形状ですが、前述のようにeMMCではなくM.2 SATA SSDを搭載しています。
中古購入でしたが使用時間も少なく、”当たり”だったようです。
速度はSATAの限界(約550MB/s)には及ばず260~280MB/sといったところ。
eMMCやHDDに比べれば早いですが、SSDとしてみたら遅めです。
アプリの起動はワンテンポ遅いですが、そもそもCPUが早くないので高速化を試みようという気も起こらず、まぁこんなもんかなぁという感想しか出ません。
SDカード
期待していなかったのですが、SDカードの転送速度が思った以上に速く、実用的と言えるものでした。
外観
パッケージ
▲中古購入なので箱はなく、本体と電源アダプタのみでした。
付属品
▲電源アダプタは2A@12V出力
USB PDにも対応しているので必須というわけではありませんが、電源アダプタを使うことでUSBが1ポート空くというメリットがあります。
筐体
▲左右です。
下半分はスタンドがあるため、インターフェースは上部に集まっています。
▲上部には電源ボタンと音量ボタン、microSDカードスロット
下部にはキーボード接続ピンがあります。
▲斜めに見るとこんな感じ
矢印部分にマイクが付いています。
マイクは左右にあって、ステレオマイクとなっています。
▲カメラはタブレットらしく、前面が200万画素、背面が500万画素
この頃はまだ、”出っ張らないカメラ”が主流ですね。
▲背面全体
オーディオジャックと間違えやすい電源ジャック(左上)だけマークがついています。
▲ロゴの下には技適番号もしっかり書かれていました。
書かれてはいますが、CWI535が対象に見当たらないのですが…どういうこと?
調べたら、208-160181で登録されていました。
詰めが甘いというか、いい加減というか…
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(208-160180):総務省
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(208-160181):総務省
▲スタンドを最大に開いたところ。
スタンドは約145度くらいまで開きます。このとき、ディスプレイ面の角度は17~8度とタッチしやすい角度になります。
▲スタンドを開いた下にねじが隠されています。
▲スタンドの下にスピーカーが設置されています。
▲アップにすると、ちゃんとメッシュが入っています。
▲スタンドは一部を削ってスピーカーをふさがないようになっています。
スピーカーは通常のノートPC以上に小型のため、とにかく音がスカスカです。
低音は全くなく、最大音量でようやく多少まともな音量といった程度で音楽鑑賞できるまでにも至りません。
スピーカー位置がディスプレイ裏側になるため音もこもり気味でノビもなく、人の声もぼそぼそして聞き取りづらいです。
Youtubeで1080pの動画再生はできているのに、音が付いてこないため、動画鑑賞にも耐えられないですね。
総じて、エラー音を鳴らすためのスピーカーと言ったところでしょう。
ディスプレイ
▲ベゼル幅は16.0mm
タブレットは無理にベゼルを細くする必要がないので、こんなものでしょう。
▲タッチ対応なのでグレアパネルです。
▲MPP(Microsoft Pen Protcol)対応ペンが使えます。
視差の少ないフルラミネーションディスプレイですが、ペンを傾けるとそれなりにずれます。
がじぇっとりっぷが使っているのは、充電式の安いペンですが、CHUWI公式のペン(充電式)も販売されています。
重量
▲重量は本体のみで772g、電源アダプタ込みで979gでした。
仕様では780gとされているので、ほぼ仕様通りですね。
システム
起動前
▲UEFIは旧BIOSスタイル
▲恒例のバックアップです。
使用したのは「Macrium Refrect Free」で、バックアップサイズは20.96GBでした。
システム情報
▲デスクトップはカスタマイズなしの素のWindowsのようです。
1920×1280の解像度なので、縦が広めです。
▲システム情報
▲HWiNFO
理由は不明ですが(オンボードだから?)、メモリ情報が取れていません。
▲マザーボード情報
▲再起動直後のメモリ使用量は1.4GBとかなり少なめ
▲スタートアップ
▲デバイスマネージャ
▲バッテリー
ゲームベンチマーク
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
CPU | Celeron N4100 |
---|---|
グラフィック | Intel UHD |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 256GB |
[軽量級] DQベンチマーク

設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 最高品質 | 954 | 動作困難 |
1280×720 標準品質 | 1587 | 重い |
Celeron N4100では軽量級のDQ Xですら、プレイ不可でした。
[中量級] FF XIV 漆黒のヴィランズ

設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 最高品質 | 333 | 動作困難 |
1920×1080 高品質(ノート) | 481 | 動作困難 |
1920×1080 標準(ノート) | 734 | 動作困難 |
1280×720 高品質(ノート) | 837 | 動作困難 |
当然ながら中量級タイトルも「動作困難」
まぁ見ての通り、中量級をプレイするにはCore i3/Ryzen 3でも力不足で、最低でもTigerLake世代のCore i5以上が必要となります。
[重量級] FF XV Windowsエディション

設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 軽量 | 193 | 動作困難 |
1280×720 標準 | 258 | 動作困難 |
重量級タイトルのFF XVは…よく完走できたなぁと。そのくらいしか感想が出ないですね。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力
アイドル時 | 7.4W |
---|---|
画面オフ時 | 3.8W |
スリープ時 | 1.5W |
充電(アイドル) | 25.2W |
充電(電源オフ) | 18.8W |
CINEBENCH(S) | 10.6W |
CINEBENCH(M) | 12.5W |
最大 | 13.5W |
最大(充電中) | 27.2W |
Celeron N4100はTDP6Wのため消費電力は低く、フルロード時でも13.5Wで、24Wの電源アダプタでも十分に賄えています。
騒音
「UBook Pro」はファンレスのため、騒音はありません。
温度
「UBook Pro」はファンレスのためか、仕様上限よりかなり手前で温度を抑えているようで、最高温度は77℃でした。
まとめ
「UBook Pro」は、エントリークラスなCPUをファンレスで動かすのでさらに性能が絞られていて、CPUは軽作業をこなせる程度、グラフィックはゲームプレイ不可という、まさにエントリークラスのタブレットだったわけで、さすがにこれをメインPCにするには無理がありました。
一方でディスプレイは縦に広く、見やすくので、メインPCの横に置いて情報端末とする分には割と使えます。
Androidではかゆいところに手が届かないという用途でもWindowsならどうにでもできますし(特にSSH接続系)、何よりUSBが多いのであれこれつなぎやすい点がいいですね。
ただやっぱり絶対性能が低いのでおすすめはできず…正直なところ、この系統のWindowsタブレットを購入するならHP「Elite x2」のG2以降を中古で探した方が幸せになれるでしょう。
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
メーカー | CHUWI | |
---|---|---|
モデル名 | UBook | |
CPU | Celeron N4100 | |
GPU | UHD 605 | |
メモリ | 8GB | |
ストレージ | 256GB | |
PassMark | Total | 1083.6 |
CPU Single | 803 | |
CPU Multi | 1970.9 | |
2D | 260.5 | |
3D | 319.3 | |
Memory | 906.1 | |
Disk | 2313 | |
CPU-Z | Single | 175.4 |
Multi | 585.6 | |
GeekBench4 | Single | 176262 |
Multi | 5176 | |
OpenCL | 6507 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
GeekBench5 | Single | 401 |
Multi | 1108 | |
OpenCL | 1255 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
CrystalMark | Mark | 118660 |
ALU | 35335 | |
FPU | 18115 | |
MEM | 21877 | |
HDD | 30845 | |
GDI | 6153 | |
D2D | 2090 | |
OGL | 4245 | |
CINEBENCH R15 | OpenGL | 11.48fps |
CPU(M) | 178cd | |
CPU(S) | 65cd | |
CINEBENCH R20 | CPU(M) | 386pts |
CPU(S) | 151pts | |
CINEBENCH R23 | CPU(M) | 990pts |
CPU(S) | 394pts | |
PCMark | ALL | 1553 |
Essensial | 4380 | |
Productivity | 2631 | |
DigitalContent | 883 | |
3DMark | TimeSpy | 101 |
Graphics | 88 | |
CPU | 706 | |
FireStrike | 306 | |
Graphics | 329 | |
Phisics | 2582 | |
Combined | 108 | |
NightRaid | 1292 | |
Grapihics | 1485 | |
CPU | 746 | |
SkyDiver | 1013 | |
Graphic | 946 | |
Phisics | 2139 | |
Combined | 811 | |
CloudGate | 2467 | |
Graphics | 2762 | |
Phisics | 1797 | |
IceStorm | 17820 | |
Graphics | 17581 | |
Phisics | 18714 | |
IceStormEX | 12128 | |
Graphics | 11046 | |
Phisics | 18456 | |
IceStormUnlimited | 20756 | |
Graphics | 20521 | |
Phisics | 21624 | |
VR Mark | 112 | |
DQ(DX9) | 1280・標準 | 1587 重い |
1920・最高 | 954 動作困難 | |
FF XIV(DX11) 紅蓮 | 1280・標準 | 761 動作困難 |
1920・最高 | 324 動作困難 | |
1920・標準 | 483 動作困難 | |
1920・低 | 735 動作困難 | |
FF XIV(DX11) 漆黒の反逆者 | 1280・標準 | 837 動作困難 |
1920・最高 | 333 動作困難 | |
1920・標準 | 481 動作困難 | |
1920・低 | 734 動作困難 | |
FF XV(DX11) | 1280・標準 | 258 動作困難 |
1920・最高 | – | |
1920・低 | – | |
MHF(DX10) 大討伐 | 1280 | 1157 |
1920 | 620 | |
ブラウザ | jetstream2 | 50.149 |
BaseMark | 255.25 | |
WebXPRT | 80 | |
MotionMark | 141.22 | |
SpeedMeter2.0 | 46.5 | |
octane | 15913 |
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