2021年8月14日、ARM系SBC(シングルボードコンピューター)メーカーのFriendlyELEC(FriendlyARM)はRockchip RK3328を搭載したデュアルGbE SBC「NanoPi R2C」を発売いたしました。
スペック
モデル名 | NanoPi R2C |
---|---|
メーカー | FriendlyElec |
発売日 | 2021/08 |
価格 | 39ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3328(4コア) (A53 x4) |
GPU | Mali-450 MP2 |
NPU | – |
メモリー | 1~2GB DDR4 |
サポートOS | FriendryWrt Ubuntu-Core Armbian |
有線LAN | 1GbE x 2 |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | Motorcomm YT8521S RTL8153B RK805 |
ストレージ | microSD(〜128GB) |
USB | 2.0 x 1 2.0 x 1(Type-C) |
GPIO | 10pin x 1 |
映像 | × |
カメラ | × |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | × |
消費電力 | |
電源 | DC 5V/2A(Type-C) |
幅 | 55.6mm |
奥行き | 52mm |
高さ | 27.5mm |
その他 | 重量:115g(ケース込) |
特徴
「NanoPi R2C」は2020年3月に発売した「NanoPi R2S」のアップデートバージョンという位置づけですが、どちらかというと世界的な半導体不足のあおりを受けて、一部チップを代替品に置き換えたというところが正確なところでしょう。
具体的には、LANチップ(PHYチップ)がRealtek RTL8211EからMotorcomm YT8521Sに変更されています。
RTL8211Eはもともとは1~2ドルだったようですが正規の代理店の在庫が枯渇、リードタイム(納期)は52週となっていました。現在は在庫のある販売店が10~12ドルで取り扱っているようです。
Motorcommとは
Motorcomm(裕太微电子)は2017年に設立した、上海は張江ハイテクパークに拠点を置く、中国国内で唯一PHYチップを量産しているベンチャーメーカーです。
2020年6月に社名変更するまでは裕太车通电(裕太車通電)という名前で、車載チップの設計・製造を中心としていましたが、2019年11月にファーウェイ傘下の投資会社より投資を受け、イーサネットチップも設計・生産するようになったことを受けての社名変更と思われます。
仕様について
SoCは「NanoPi R2S」から変わらず、Rockchip RK3328を搭載しています。
アーキテクチャはクアッドコアのCortex-A53で、USB3.0を1ポート持っています。
メモリは1GB DDR4。オプションで2GBモデルがあるようですが選択肢にはありません(おそらく問い合わせが必要)。
ストレージはmicroSDのみ、容量は128GBまで対応しています。
OSはFriendryWrt(OpenWrtのカスタム)、UbuntuCore、Armbianが利用できます。
外観・インターフェース
インターフェースは「NanoPi R2S」とほぼ同じで、LANチップ以外の変更点としては唯一、充電端子がmicroUSBからType-Cに変更されました。
変更されたのですが、「NanoPi R2S」の製品ページを見るといつの間にかType-Cになっているんですよね…なので変更と言えるのかどうかは微妙なところです。
Type-Cになった利点として、大電力を扱えるようになったことが挙げられます。
microUSBでは規格上、5V/1.5Aまでが扱えます(USB Battery Charging 1.2)。現在の5V/2.4Aとか5V/3AってのはUSB-IFではなくAppleやQualcommなどの独自規格(QCなど)がベースとなっています。
で、話をType-Cに戻すと、Type-CではUSB Type-C CurrentおよびUSB PDで最大5V/3Aまでが正式に規格として定められ、より大電力が扱えるようになったわけです。
なので「NanoPi R2C」のオプションにある5V/4AアダプタはUSB規格製品ではなく、ただの端子がType-C形状な電源アダプタとみなす必要があります。
デュアルLANの片方はUSB3.0 to 1GbE変換ですが、ここは代替品がなかったのか、変わらずRealtek RTL8153Bが使われています。
GPIOはピンホールのみなのも「NanoPi R2S」と一緒ですね。
LANの転送速度は両ポートとも941Mbps。これは「NanoPi R2S」と同じ数字で、チップが変更になっても性能には変更がないことをアピールしています。
「NanoPi R2C」はメタルケースが付属します。
GPIOを引き出す隙間はありません。
内部は凸凹があり、出っ張った部分はRK3328に接触するように作られています。
この構造のため、ケース全体がヒートシンクになるわけですが、メモリやLANチップは空気の移動すら内部に置かれるので、性能低下が発生するとしたらこちらが原因となるでしょう。
「NanoPi R2C」で追加されたオプションに、「USB port 1602 LCD」があります。
FriendryWrtでは特に設定不要でUSBにつなぐだけで温度とIPが表示されるようです。
まとめ
「NanoPi R2C」の価格はメタルケース込みで39ドル(約4,280円)です。ボード単体の販売はありません。
姉妹機とでもいうべき「NanoPi R2S」もボード単体の販売はなくなり、ケース込みで46ドルとなっています。
「NanoPi R2S」の発売当初はボード単体で22ドル、ケース込みで32ドルだったので、このクラスとしては結構厳しい価格になりました。
ついでに言うと、公式で買うとChinaPostで10ドル、SF-Expressで42ドルの送料がかかります。
スペック上は同等とはいえ、実績の少ないチップに以前よりも高い値段となる「NanoPi R2C」は、厳しい逆風にさらされそうです。
関連リンク
NanoPi R2C:friendlyarm
NanoPi R2C:AliExpress
コメント