2022年3月29日、SBCメーカーのHardkernelはRK3568を搭載したSBC「ODROID-M1」を発表しました。
リリースノート New Single Board Computer:ODROID Forum
スペック
■ ODROID-M1 | |
CPU | Rockchip RK3568 |
---|---|
メモリ | 4~8GB LPDDR4-3200 |
ストレージ | eMMC microSD SATA M.2 NVMe |
インターフェース | USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI 2.0 1GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | 非対応 |
サイズ | 90×122×16mm 100×123×19mm(ヒートシンク込) |
重さ | 253g(ヒートシンク込) |
モデル名 | Odroid-M1 |
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メーカー | Hardkernel |
発売日 | 2022/03 |
価格 | 70ドル(4GB) 90ドル(8GB) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3568 (4コア) (2.0GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G52 MP2 |
NPU | 0.8TOPS |
メモリー | 4〜8GB LPDDR4-3200 |
サポートOS | Ubuntu 20.04/22.04 Android 11 |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | RTL8211F RK809 FSUSB42MUX |
ストレージ | eMMC microSD SATA M.2 Key-M(Gen3 x2) |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 2.0 x 2(micro) |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0) MIPI-DSI |
カメラ | MIPI-CSI × 1 |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | IR Receiver モノラルスピーカー(2pin) RTCバッテリー UART(4pin) |
消費電力 | 4.5W |
電源 | DC 12V(5.5/2.1mm) |
幅 | 90mm |
奥行き | 122mm |
高さ | 16mm |
その他 | 100mm x 123mm x 19mm(ヒートシンク込) 重さ:253g(ヒートシンク込) |
特徴
HardkernelはGPIOのあるゲームエミュレータ「ODROID-GO」やHDDスタンド型の「ODROID-HC4」など個性的な製品が続いていましたが、普通のボードタイプのSBCは2020年7月の「ODROID-N2+」以来となります。
なお、「M1」というモデル名はApple M1とは無関係で、メモリ(Memory)とか機械学習(Machine-Learning)とか頭文字がMな項目が多いねってことで付けられたとのこと。
…どのSBCも項目は同じだと思うんですけど…
SoC
「ODROID-M1」のSoC(System on Chip)はRockchip RK3568、正確には15年間の供給保証のされたRK3568B2です。
構成としては4コアのCortex-A55に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
RK3568はがじぇっとりっぷでもよく取り上げるようになったRK3566の兄貴分で、インターフェース周りが充実しています。
違いは以下。CPU部分は一緒で、分かりやすい違いはUSB3.0が2ポートなのとPCIe Gen3への対応でしょうか。
Rockchip RK3566 | Rockchip RK3568 | |
---|---|---|
CPU | Quad-core Cortex-A55 | |
GPU | Mali-G52 2EE | |
NPU | 0.8 TOPS | |
メモリ | DDR3/DDR3L/DDR4 LPDDR3/LPDDR4/LPDDR4X | |
ECC対応 | × | ○(DDR3/DDR3L/DDR4) |
ストレージ | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 8K OTP | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 x3(Serdes) 8K OTP |
映像出力 | デュアルディスプレイ | トリプルディスプレイ |
ネットワーク | Gigabit Ethernet (GMAC) x1 | Gigabit Ethernet (GMAC) x2 QSGMII(Serdes) |
USB | USB 2.0 host x2 USB 2.0 OTG x1 USB 3.0 host | USB 2.0 host x2 USB 3.0/2.0 OTG(Serdes) USB 3.0 host(Serdes) |
PCIe | PCIe 2.1 1×1 | PCIe 2.1 1×1(Serdes) PCIe 3.0 1×2 or 2×1 |
その他 I/Os | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x2 | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x8 CAN FD x3 |
パッケージ | FCCSP565L (15.5mm x 14.4mm) | FCBGA636L (19mm x 19mm) |
NPU(Neural network Processing Unit)を使っての機械学習にも対応していて、TensorFlow LiteやONNXといったフレームワークを使うことで画像認識・オブジェクト推定などができます。
HardkernelによるベンチマークではCPU+FPU+NEONでの計算より30~40倍早かったとのこと。
NPU周りのマニュアルは現在準備中だそうです。
「ODROID-M1」のブロックダイアグラムです。
RK3568はPCIe Gen2/USB3.0/SATAなどに使える汎用レーン(Serdes Lane)が3レーンあり、「ODROID-M1」ではUSB3.0×2+SATAで割り当てられています。
メモリとストレージ
「ODROID-M1」のメモリは4GBまたは8GBのLPDDR4です。
動作周波数が1,560MHz、転送データレートが3120 MT/sとあるので、LPDDR4-3200相当でしょう。中途半端な数字なのがちょっと謎。
ストレージはmicroSDのほかにeMMCソケット、SATAポート、M.2 Key-M(NVMe対応)と豊富です。
それぞれストレージの転送速度も耐久性も異なるので、用途に合わせて選べますね。
なお、M.2スロットはPCIe Gen3 x2接続で、シーケンシャルリードが1,600MB/sとなる実測データも公開されています。
その他
「ODROID」シリーズは基本的に無線LANはUSBドングルでの対応でオンボード非搭載が多く、「ODROID-M1」もその例にもれず無線LANは非搭載です。
また、同じく「ODROID」シリーズの常として、スタッキング(積み重ね)に使える左右に壁のあるヒートシンクが用意されています。
OSはUbuntu 20.04/22.04およびAndroid 11に対応。
外観
B.LPDDR4 RAM
C.Micro USB2.0 Device only
D.RJ45 Ethernet Port (10/100/1000)
E.HDMI 2.0
F.USB 2.0 ×2
G.USB 3.0 ×2
H.DC電源ジャック
J.GPIO(40ピン)
K.MIPI CSI 2Lane
L.MIPI DSI 4Lane
M.3.5mm オーディオジャック
N.スピーカーピン(モノラル、1.3W at 8Ω load)
O.SPI recovery Switch
P.SPI Flash 16MiB
Q.eMMCソケット
S.RTC Backup Battery Holder
T.リセット&電源ピン
U.MicroSD
V.SATA3
W.SATA電源 (5V)
X.UART for System Console
Y.System LED Indicators ×2
Z.M.2 LED Indicator
インターフェースは奇をてらった部分は少なく、割とシンプルです。
面積が広くとられ、パターンを見る限りかなり余裕を持った配置になっていますね。これも理由があって…
こんな感じで2.5インチストレージをマウントしたときに収まりのいいサイズになっているんですね。
ただ、2.5インチをマウントしたらスタッキングはしづらくなりそうです。
M.2 SSDとRTCバッテリー(ボタン電池)を入れるとこんな感じ。
Wikiでは動作確認済みのSSD一覧を公開しています。
専用メタルケースも用意されています。
底面は元々のヒートシンクをそのまま使います。
アクセサリとしてMIPI-DSIで接続する「ODROID-Vu8M」が用意されています。
5点マルチタッチ対応で、8インチ1280×800、可変ブラケットを備えているので「ODROID-M1」以外でも使えそうです。
まとめ
「ODROID-M1」の価格は4GBモデルが70ドル(約8,700円)、8GBモデルが90ドル(約11,000円)となっています。
4GBモデルは4月半ばに販売開始、先行販売されていた8GBモデルは売り切れていて、同じく4月半ばに販売再開の予定です。
そのほかケースは9ドル、2.5インチマウンタも9ドル、LCDパネル(Vu8M)は79ドルで販売。
変にひねったところもなく、ストレージ面重視というユーザーニーズの一番強い部分のど真ん中をついてきた点は見事です。
コンセプトが分かりやすく、使い勝手もよさそうなので、最低でも2036年までの供給を謳う(※)通り、ロングセラーとなりそうだなぁと。
※Hardkernelの書き方だと「SoCが予定通り供給されるなら2036年かそれ以降まで提供できそう」といったニュアンスです。
最後に、Hardkernelではハイエンドモデルを計画していて、2022年4Qか来年初頭に登場(ただし半導体市場の状況によっては数ヶ月ずれる)を予定しているとのこと。こっちも発表されたら記事にするつもりです。
関連リンク
ODROID-M1:ODROID wiki
リリースノート:ODROID forum
ODROID-M1 (8GB):ODROID Shop
ODROID-M1 (4GB):ODROID Shop
M1 Metal case Kit:ODROID Shop
M1 SATA mount and cable kit:ODROID Shop
ODROID-Vu8M:ODROID Shop
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