2022年5月1日、SBCメーカーのRadxaは「ROCK Pi 4」シリーズよりRK3399-Tを搭載した「ROCK Pi 4C Plus」を発売しました。
スペック
■ ROCK Pi 4C Plus | |
CPU | Rockchip RK3399-T |
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メモリ | 4GB LPDDR4-3200 |
ストレージ | M.2スロット(2230) |
画面 | 14.0インチ IPS FHD |
インターフェース | USB 3.0×2 USB 2.0×2 microHDMI×2 microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
サイズ | 85×56mm |
モデル名 | ROCK Pi 4C+ |
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メーカー | radxa |
発売日 | 2022/05 |
価格 | 59.99ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3399T(6コア) (1.5GHz A72 x2 + 1.4GHz A53 x4) |
GPU | Mali-T860 MP4 |
NPU | |
メモリー | 4GB LPDDR4-3200 |
サポートOS | |
有線LAN | 1GbE x 1 (PoE HAT対応) |
Wi-fi | 802.11 ac |
Bluetooth | 5 |
チップ | |
ストレージ | eMMC microSD M.2 M-key(2230) |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | microHDI (2.0 4K/60Hz) microHDI (2K/60Hz) MIPI-DSI x 1 |
カメラ | MIPI-CSI x 1 |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | |
消費電力 | |
電源 | DC9〜20V(Type-C) |
幅 | 85mm |
奥行き | 56mm |
高さ | |
その他 | USB PD2.0対応 QC3.0/2.0対応 |
特徴
Radxaは”Pi”の付くラズパイ風SBCと、”Pi”の付かない非ラズパイ風に路線を分けています。
「ROCK Pi 4C Plus」は”Pi”が付くのでラズパイ風SBCに分類され、「ROCK Pi 4C」のバージョンアップという位置づけです。「ROCK Pi 4C」の登場は2020年7月だったので、約2年ぶりのリニューアルですね。
「ROCK Pi 4C Plus」の登場により「ROCK Pi 4C」はEOL(販売終了)となっています。
製品としてはかなり手を入れていて、チップを変更したとかのレベルではなく、名前を変えたほうがいいんじゃないの?ってくらい全くの別設計となっています。
SoC
「ROCK Pi 4C Plus」のSoCはRockchip社のRK3399-T。
一昔前のSBC界隈で主流だったRK3399の低クロック版となります。具体的には以下のようになっています。
RK3399-T:標準1.5GHz、ブースト2.0GHz
RK3399:標準1.8GHz、ブースト2.0GHz
OP1:標準2.0GHz、ブースト2.4GHz
ブロックダイアグラム図では、PCIeが消えています。
データシートにも記述がないのですが、「ROCK Pi 4C Plus」にはなぜかNVMe(PCIe)対応のM.2スロットがあるんですよね。
…どこから湧いて出てきたんだろう…?
メモリとストレージ
メモリはオンボードの4GB LPDDR4-3200です。選択肢はこれのみです。
ストレージはなく、eMMCソケットとmicroSD、M.2 NVMe SSD(2230サイズ)で対応します。なお、M.2 SATAは非対応です。
その他
無線LANは802.11ac(Wi-fi 5)対応です。
チップセットはAP6256からAW-CM256に変更されました。あと、スペースの都合か、オンボードアンテナがなくなっています。
「ROCK Pi 4C」からの大きな変更の一つとして、microHDMI+miniDPからデュアルmicroHDMIに変更されています。
データシートによるとRK3399-TはHDMI出力をひとつしか持たないので、片方はDisplayPortからの変換と思われます。
この変更によりインターフェース配置がRaspberry Pi 4準拠となったため、ラズパイ用のケースを流用できるようになりました。
OSはUbuntuおよびDebianに対応していて、githubで公開されています。
外観
まず比較用として旧「ROCK Pi 4C」の本体を掲載します。
これを覚えたうえで、次の「ROCK Pi 4C Plus」の画像を見てください
…全然違いますね?
そもそもSoC配置が裏から表に変更されているし、どう見ても1から設計をやり直しています。もうこれ、型番変えたほうが良かったんじゃないかな…?
2230サイズに制限されたとはいえ、外向きだったM.2スロットがボード内に収まるようになったのはいいポイントです。
あとmicroSDカードスロットが浅型から深型となり、はみ出さなくなったことも見逃せません。
ごちゃっとして分かりにくい部分はこんな感じ。試作中の旧バージョンのようでWi-fiチップが載っていませんが、インターフェースは大体このままです。
よく見るとMIPI DSIもMIPI CSIも残っています。MIPI DSIは2レーン(最大800×480)から4レーン(最大1920×1080)に増強されています。
あとさりげなく電源ボタンが追加されていますね。
また、設計が一新されて「ROCK Pi 4C」用のアクセサリーが使えなくなったためか、ファン同梱モデルも用意されています。
まとめ
「ROCK Pi 4C Plus」は公式ストアで販売中、ALLNET.Chinaでは59.99ドル(約7,800円)、ファン同梱で63.98ドル(約8,300円)です。
「ROCK Pi 4C」が59ドルだったので、ほぼ横ばいですね。
半導体枯渇、部材高騰の影響を受けても価格を維持していることを喜ぶべきか、2年経っても価格が下がらないことを嘆くべきか、判断に悩みます。
まぁ、内容的には歓迎すべきアップデートと言えます。
また「ROCK Pi 4C Plus」はLTSとは明記されていないものの、2029年までの供給を保証するモデルでもあります(製品ページには記載されていないものの、Product Briefにこっそり書かれている)。それだけ出来が良かったということでしょう。
RK3399は旧世代となりつつありますが、そこそこスペックで大量に使われていて知見も豊富ということで今も十分通用するSoCですし、価格もこなれているのでまだまだ売れ続けるでしょう。
関連リンク
スペック:radxa wiki
公式ストア:ALLNET.China
公式ストア:ameriDroid
RK3399-T データシート
ROCK Pi 4C Plus プロダクトブリーフ:
OSイメージ:github
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