2022年8月3日、SBCメーカーのFriendlyELEC(friendlyarm)はRockchip社のRK3399に32GBのストレージを搭載した小型SBC「NanoPi R4SE」を発売しました。
価格は70ドルです。
wikiページが作成されたのが7月22日、それから10日ほどで発売と、仕様公開から発売まで数か月かかることもざらなSBCとしては異様に早いです。
スペック
■ NanoPi R4SE | |
CPU | Rockchip RK3399 |
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メモリ | 4GB LPDDR4 |
ストレージ | 32GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(給電)×1 USB 3.0×2 microSDXC |
wi-fi | – |
サイズ | 66×66mm 72×72×29mm(ケース) |
重さ | 40.9g 310g(ケース込) |
モデル名 | NanoPi R4SE |
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メーカー | FriendlyElec |
発売日 | 2022/08 |
価格 | 70ドル |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3399(6コア) (2.0GHz A72 x2 + 1.5GHz A53 x4) |
GPU | Mali-864 MP4 |
NPU | |
メモリー | 4GB LPDDR4 |
サポートOS | Friendry Core FriendryWrt |
有線LAN | 1GbE x 2 |
Wi-fi | × |
Bluetooth | × |
チップ | RTL8211E R8111H RK808-D |
ストレージ | 32GB eMMC microSD(〜128GB) |
USB | 3.0 x 2 |
GPIO | × |
映像 | × |
カメラ | × |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | UART userボタン MASKボタン |
消費電力 | |
電源 | DC 5V/3A(Type-C) |
幅 | 66mm |
奥行き | 66mm |
高さ | |
その他 | 重量:40.9g 重量:310g(ケース込) |
特徴
「NanoPi R4SE」は「NanoPi R4S」のストレージ搭載版…なのですが、それなりに変更点があり、かなり設計をいじっています。
位置づけはエッジコンピューティングに対応したミニルーター(Rシリーズはすべてこの位置づけです)で「R4S」と同じ、RK3399搭載機としては珍しく、映像出力を持っていない点も同じです
Rockchip RK3399は登場が2016年4月とだいぶ古いSoCになってきましたが、今でもこうして新機種が出るくらいには人気で、いまだにハイエンドSoCに位置付けられています。
Cortex A-72を2コア、A-52を4コア持つ6コア構成で、geekbench4では、シングルスレッドスコアが1200〜1300ポイント、マルチスレッドスコアが2700〜3000ポイント程度、AnTuTuベンチマークでは75000ポイント前後です。
最近のスマホ向けSoCに比べれば低性能ですが、1万円以下の製品と考えれば十分でしょう。
後継ともいえるRK3588搭載ボードも出始めましたが、RK3399は枯れたSoCでノウハウの積み重ねが多いことや、(おそらく)チップ価格が安価なことなどから、今でも根強い人気を誇るSoCです。
メモリはオンボードの4GB LPDDR4、ストレージは32GB eMMCです。
オンボードストレージが追加されたことで、従来のmicroSD動作以外にUSB経由でインストール、SDカード経由でインストールなど、OSのインストール方法が増えています。
おそらく一番手っ取り早いのはmicroSD経由でeflasherを使うこと(起動すると内蔵ストレージ向けのインストーラーが立ち上がる)でしょう。
経験上、USB経由は手軽そうに見えて中華ツールを使うので癖が強いです。
ネットワークはデュアルGbEで、使用チップはRTL8211EとR8111Hの、両ポートRealtek製です。RTL8111Hだと思うのですが、一貫してR8111Hと書かれているのが不思議です。
なお、R8111HはPCIe to GbE変換チップとなります。
最近のSBCでは中国Motorcomm(裕太微电子)製チップを使うことが増えている(例えば「NanoPi R2C」はMotorcomm YT8521Sを使用)ので、どちらもRealtek製なのは今時珍しいと言えます。
wi-fiはUSBドングルでの対応となりますが、kernel4.19でドライバーが組み込まれているチップであればそのまま使えます。
Wi-fi 6についてはkernel4.19から一応サポート(プレサポート)されていますが、非常に限定的なので実質的には使えません。
対応OSはUbuntu20.04ベースのFriendlyCoreおよびOpenWrtのカスタマイズであるFriendryWrt。
それなりのパワーがあるのでDockerでJellyFin(メディアサーバ)やNextcloud(オンラインストレージ)を動かすこともできます(Wikiに手順が記載されています)。
外観
内部インターフェースです。
メモリは1チップで、裏面にeMMCが実装されています。
「R4S」との比較。
見た目的には「R4S」の4GBモデルに近いのですが、eMMCの実装スペースを確保するためにGPIOが削られていますね。
代わりにOSインストール時に使うMASKボタンが追加されています。
ついでというか、Type-C端子の後ろにあったUSB2.0のピンヘッダもなくなっています。
まぁ、USB3.0はそのままなので、大きな影響はないでしょう。
専用ケースは10ドルです。
「R4S」と同じように見えて、MASKボタン用の穴が追加されています。
ケース内部はCNC削り出しで立体的に。
SoCには熱伝導シートを付けるだけで、ケース自体がヒートシンクとなるように設計されています。
なお、パッケージには電源アダプタ等は含まれず、本体のみとなります。
電源アダプタはオプションで追加可能です。
まとめ
「NanoPi R4SE」の価格は冒頭にも書いたように70ドル(約9,500円)です。
半導体不足のため、定価が少し高く(以前であればおそらく60~65ドルくらい)、円安の影響で日本円換算が随分と高くなっています。
ちなみに「R4S」も値上がりしていて、4GBモデルが55ドル→65ドルとなっています。
つまり、ストレージ(eMMC)分は5ドルですね。
ラズパイでmicroSDの破損報告(そもそもmicroSDは繰り返しの書き込み耐性が低い)が相次いだことからも、内蔵ストレージを持つことはシステム自体の耐久性を高めることにもつながります。
もともとの想定用途を考えてもログ出力は頻繁に行われるでしょうし、むしろストレージ内蔵は本来あるべき姿と言ってもいいくらいです。
関連リンク
NanoPi R4SE:FriendlyELEC
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