2022年9月20日、SBCメーカーのKhadasはRockchip RK3588Sを搭載したSBC「Edge 2」を発売しました。
前回の「VIM4」と同じく、日本を含めた世界同時発売となります。
スペック
■ Edge 2 | |
CPU | Rockchip RK3588S |
---|---|
メモリ | 8~16GB LPDDR4X-4233 |
ストレージ | 32~64GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(3.1)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×1 HDMI |
wi-fi | 802.11ax+BT5.0 |
サイズ | 82×57.5×5.7mm |
重さ | 25g |
モデル名 | Edge 2 |
---|---|
メーカー | Khadas |
発売日 | 2022/10 |
価格 | 269.9ドル(8GB/32GB) 369.9ドル(16GB/64GB) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3588S(8コア) (2.25GHz A76 x4 + 1.8GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G610 MP4 |
NPU | 6TOPS |
メモリー | 8GB LPDDR4-4200(Basic) 16GB LPDDR4-4200(Pro) |
サポートOS | Android 12 Ubuntu 22.04 |
有線LAN | × |
Wi-fi | 802.11 ax(2×2) アンテナ付属 |
Bluetooth | 5 |
チップ | STM32G031K6 AP6275P KXTJ3-1057 |
ストレージ | 32GB eMMC(Basic) 64GB eMMC(Pro) |
USB | 3.0 x 1 3.0 x 1(Type-C) 2.0 x 1 |
GPIO | 30pin FPC x2 |
映像 | HDMI (2.1 8K/60Hz) DP(1.4 4K/60Hz Type-C) DSI x2(4K/60Hz) |
カメラ | MIPI CSI x 3 |
オーディオジャック | × |
その他インターフェース | 7pin POGO |
消費電力 | 24~30W |
電源 | Type-C PD |
幅 | 82.0mm |
奥行き | 57.5mm |
高さ | 5.7mm |
その他 |
特徴
「Edge 2」は国内初のRockchip RK3588シリーズを搭載するSBC(シングルボードコンピューター)です。
RK3588/RK3588S搭載ボードはSBCメーカー各社が発表しているのですが、一般発売にこぎつけたのもKhadasが初でしょう。
「Edge 2」は型番から分かるように、RK3399を搭載する初代「Edge」の後継です。
どのように違っているのかについてはKhadasが比較表を用意しています。
参考 「Edge」「VIM4」との比較表 ※PDF
SoCについて
「Edge 2」が搭載するRK3588Sは”S”のないRK3588の小型版(物理的に小さい)で、CPU/GPU/NPUはそのままながら、インターフェース周りが簡素化されています。
スペック表によると、CPU構成は4コア 2.25GHz Cortex-A76+4コアの1.8GHz Cortex-A55、GPUはMali-G610 MP4とされています。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TPOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
「Edge 2」の他には「Orange Pi 5」やFirefly 「ROC-RK3588S-PC」が同SoCを採用しています。
どうもクレカサイズのSBCだとRK3588S、実装面積の広い幅100mmサイズだと”S”なしRK3588という具合に住み分けているようです。
性能比較としては”S”なしRK3588のものになりますが、Snapdragon 855の2倍、Snapdragon 888のちょっと下くらいで、AnTuTu(v9)では54万点を叩き出しています。
GeekBench5では2000点オーバー。近いのはCore i3-1005G1で、旧世代のSBCでよく使われていたRK3399比だと、ざっと3倍です。
なんというか、性能上がりすぎでは…?
そのうえで6TOPSのNPU(AI学習向けコア)を持っているので、過去のSBC向けSoCは全く太刀打ちできません。
参考 GeekBench4 Search
参考 GeekBench5 Search
参考 Rockchip RK3588 benchmarks:CNX Software
メモリとストレージ
「Edge 2」はBasicとProの2モデルがあり、メモリとストレージの容量が異なっています。
Basic:メモリ8GB+ストレージ32GB
Pro:メモリ16GB+ストレージ64GB
メモリは2112MHz動作のLPDDR4Xなので、LPDDR4X-4200相当です。
ストレージはeMMC5.1。規格上の転送速度上限は400MB/sですが、実測だと100~150MB/s程度です。
その他
無線LANは802.11ax(Wi-fi 6)で、モジュールはAmpak AP6275P。これ、中のチップはBroadcom BCM43752ですね。
このチップだけで14ドル近いという…
メインSoCとは別にコプロセッサ(マイクロコントローラ)には STM32G031K6 を搭載。
64MHzのCortex®-M0+に8KBのSRAM、32KBのフラッシュメモリで構成され、mWレベルの電力で動作します。
このコプロセッサ用に、ボード上には3V 3mAhのバッテリーが搭載されています。
センサーは3軸加速度計のKXTJ3-1057を搭載。初代「Edge」で搭載していたジャイロセンサーは省かれました。
OSはUbuntu 22.04、Android 12。
「VIM4」と同じく、組み込みのインストールシステム「OOWOW」が搭載されています。
外観
インターフェースです。
前述のようにRK3588Sは実装されているインターフェースが少ないため、これで大体使い切っています。
使っていないのは有線LANくらいでしょうか。
HDMIは2.1で、8K/60Hz出力に対応しています。
まぁ実際に8K出力なんかさせた日にはそれだけでいっぱいいっぱいになりそうですが。
eMMCがある代わりにmicroSDスロットがないのですが、今後登場予定の拡張ボード「Edge2 IO」で実装されるとのこと。本当に出るのかは微妙なところ。
斜めから見ると高さのある部品が全くないのが分かります。
USB/HDMI端子もボード埋め込みのため、全高が5.7mm(=HDMI端子の高さ)とめちゃくちゃ薄いです。
冷却ファンは別売り。
「VIM4」の冷却ファンにそっくりですが、配線の関係で「Edge 2」専用となっています。
「VIM4」の例から、ファン装着状態だと厚さ13mm程度になると予想されます。
ケースも用意されていますが、記事執筆時点では間に合っていないようで、ケース込みは公式ストアでの予約のみとなっています。
ケースは「ARM PC」と謳われていて、開発向けのコネクタ(MIPIなど)は使えなくなります。
ケースを真上から見ると、中に冷却ファンが入っているのが分かります。
パッケージは本体とアンテナ、スタートガイドのみとシンプル。
これは「VIM4」と同じですね。
まとめ
「Edge 2」の価格はBasic(8GB/32GB)が34,800円、Pro(16GB/64GB)が49,800円。
早割キャンペーンで10月31日まで5,800円オフクーポンが発行されています。
ドル建てだとこう。価格設定が円安に追い付けていませんね。
いや、1ドル110円の頃ならBasicは2.2万円くらいで済んだと考えれば、損してる…?
早割価格 | 通常価格 | |
---|---|---|
Basic | 199.9ドル(約3万円) | 269.9ドル(約40,500円) |
Pro | 299.9ドル(約4.5万円) | 369.9ドル(約55,500円) |
Basic(ケース付) | 229.9ドル | 239.9ドル |
Pro(ケース付) | 329.9ドル | 339.9ドル |
価格はともあれ、最新モデルが世界と同じタイミングで日本でも買えるという点が重要ですね。
コメント