先日がじぇっとりっぷではIntel第13世代Core CPU(コードネーム:Raptor Lake)の記事を掲載しました。
この時、同時に発表されたのが従来のCeleron/Pentiumに変わる「Intel N」(AlderLake-N)シリーズです。
今後はJasper Lake世代のCPUに代わりミニPCに搭載されると予想していましたが、早くも搭載PCが登場しました。
AlderLake-Nについて
AlderLake-Nはハイブリッド構成となったAlderLakeのEコアのみを使用したCPUです。
EコアはAtom系統のプロセッサなので、Atomシリーズの後継とも言えますね。
コードネーム | AlderLake-N | Jasper Lake |
---|---|---|
製造プロセス | Intel 7 | 10nm |
CPU | Gracemont 最大8コア | Tremont 最大4コア |
L3キャッシュ | 6MB | 4MB |
メモリ | DDR4-3200 DDR5-4800 LPDDR5-4800 | DDR4-2933 LPDDR4x-2933 |
最大メモリ枚数 | 1枚 | 2枚 |
GPU | UHD Gen12 | UHD Gen11 |
EU数(最大) | 32 | |
DirectX | 12.1 | 12 |
OpenGL | 4.6 | 4.5 |
OpenCL | 3 | 1.2 |
PCI Express | 9レーン | 8レーン |
AlderLake-NではCPUアーキテクチャがGracemontとなっています。
Core系統のPコアに合わせるために命令セットの拡張が行われていて、VNNIやAVXにも対応、AVI1デコードやWifi 6Eをサポートするなど、中身はメインストリーム準拠と言えるものとなっています。
ついでに、GNA(低消費電力なNPU)も2.0から3.0にバージョンアップしています。
唯一退化したポイントは、メモリが1枚のみになったことでしょうか。
唯一が結構大きいような…?
性能面でも結構強化されています。
同じTDP15Wで4コアのCeleron N5095とIntel N95を比較すると、20%ほど性能が向上しています。PassMarkだと4600オーバーで、15%アップですね。
シングルスレッド性能もかなり上がっているので、体感速度は性能比以上によくなっていると思われます。
というか、さらっとCore i3-1115G4を上回っているんですけど?
※2023年2月19日追記:上回っているのはあくまでGeekBench5(の一つのスコア)での結果です。PassMark(サンプル数が少なくて現状では信頼性低め)だと1000ポイント程度負けていますし、グラフィックに至っては16EU対48EUなので、良くて半分程度のスコアとなるでしょう。ただそれでも、かなりいい線まで行っているのは確かです。
第10世代Core i3-1105G1相手だとGeekBench、PassMark、3DMarkで同等のスコアとなっているので、むしろ第10世代Core i3相当になったといった方が適当かもしれません。
また、データがまだありませんがIntel N97というCPUもあります。N95とはグラフィックのEU数が違い(N95が16EU、N97が24EU)、Celeron N5095とN5105のような関係となるようです。
なお、Intel N200やN100が低めなのは、TDPが6Wだからです。
搭載PCが早速登場
Amazonでも早速「ZX03」というIntel N95搭載ミニPCが登場しました。
OEM製品っぽいので、メーカー名はついていません。
■ ZX03 | |
CPU | Intel N95 |
---|---|
メモリ | 16GB DDR4 |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
インターフェース | USB 3.0×4 HDMI 2.0×2 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
サイズ | 113×106×42mm |
重さ | 240g |
搭載CPUはTDP15WのIntel N95。
TDP15Wなのは他にCore i3-N305(旧Pentium相当)くらいなので、今後はこのCPUがミニPCの主流になりそうですね。
参考 インテル N95 仕様:Intel
メモリ/ストレージは8GB/256GBまたは16GB/512GB。大きなポイントとして、ストレージがM.2 NVMe SSDになりました。
Jasper Lake世代はM.2 SATA SSDだったので、一気に速度が数倍に跳ね上がることになり、メインストリームと同等の操作感が得られるようになります。
また内部にはM.2 SATAスロット(2242サイズ)もあり、デュアルストレージに対応しています。
インターフェースはなんと有線LANが2.5GbEに。
ついにエントリークラスにも2.5GbEが下りてきたなぁと。
デュアルHDMIも2.0(4K/60Hz)対応ですし、113×106×42mmというNUCサイズでこれだけやってくれれば十分ですね。
まとめ
早くも新世代CPUを搭載したミニPCが登場したわけですが、メモリが1スロットになったことを除けば、NVMe対応や2.5GbEなど、Jasper Lake世代のミニPCに足りなかった部分をきっちり補ってきました。
性能も上がっていてCore i3-1115G4以上(ただしシングルスレッド性能は及んでいないので、体感ではやや遅く感じるでしょう)ですし、安価なミニPCとしての完成度が高まりました。
というか、ライトユースならもうこれで十分かも。
AlderLake-N搭載ミニPCは今後BeelinkやMinisForum、GMKTekといったミニPCに強いメーカーから続々登場してくるでしょうし、今のミニPC界隈の勢いが落ち込むことなく、活況が続きそうです。
あと、どうでもいいけどAlderLake-Nのプロセッサ一覧にN95が入っていないので、Intelさん入れてあげて。
コメント
Jasper Lakeとかにならって実はメモリ32GBまでイケるとかだといいのになぁ。
コメントありがとうございます。
確かに32GBできると嬉しいですね。DDR4の32GBモジュール、いけるかな…