2023年2月10日、産業向けボードを手掛ける9Tripod(九鼎创展)は、Rockchip RK3588Sを搭載したSBC「Pico PC RK3588S(Pivo Pi V2.0)」を発表しました。
スペック
モデル名 | Pico PC RK3588S |
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メーカー | 9Tripod |
発売日 | 2023/02 |
価格 | 124.1ドル~ |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3588S (8コア) (2.4GHz A76×4 + 1.8GHz A55 x4) |
GPU | Mali G610 MC4 |
NPU | 6TOPS |
メモリー | 4〜8GB LPDDR4 |
サポートOS | debian 11 Android 12 Ubuntu |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11 ac |
Bluetooth | 5 |
チップ | |
ストレージ | 16GB/32GB eMMC microSD |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 Type-C x 1 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | microHDMI (2.1) MIPI-DSI |
カメラ | MIPI CSI |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | UART ボタン×4 |
消費電力 | 最大約9W |
電源 | DC 5V Type-C |
幅 | 85mm |
奥行き | 56mm |
高さ | |
その他 |
特徴
「Pico PC RK3588S」はいわゆるラズパイクローンに分類されます。
ここ最近、RK3588S搭載のラズパイクローンが立て続けに発売されていて、似ているようで微妙に”売り”が違う感じです。
SoC
「Pico PC RK3588S」のSoCはRockchip RK3588Sです。
おそらく今一番人気のSoCで、ラズパイクローン以外でもXunlong Software「Orange Pi 5」やKhadas「Edge 2」など、多数の搭載SBCが登場しています。
Rockchip RK3588Sは、Sの付かないRK3588の弟分的な立ち位置です。
違いは以下の通り。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。
CPUは4コア2.4GHz Cortex-A76+4コア1.8GHz Cortex-A55、GPUはMali-G610 MP4、NPUは6.0TOPSとされています。
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
性能はGeekBench5では2000点オーバー。近いのはCore i3-1005G1で、旧世代のSBCでよく使われていたRK3399比だと、ざっと3倍です。
“S”なしRK3588のものでサンプル数は3しかありませんが、PassMarkスコアは6000オーバーなので、Celeron N5095(スコア4000)よりも高性能で、Core i5-8250U(スコア5905)と同等ですね。
同じく”S”なしRK3588では、AnTuTu(v9)では54万点を叩き出しています。これはSnapdragon 855(同51万点)より高く、Snapdragon 865(同66万点)より低い程度です。
参考 GeekBench4 Search (RK3588S)
参考 GeekBench5 Search (RK3588S)
参考 PassMark – Rockchip RK3588
参考 Rockchip RK3588 benchmarks:CNX Software
メモリとストレージ
メモリは4GBまたは8GBのLPDDR4/LPDDR4X。
仕様上は最大32GBまで可能ですが、一応仕様表では4GB/8GBとされています。16GB/32GBは多分セミオーダーですね。
ストレージは16GBまたは32GB eMMC。
こちらも128GBまで可能とされています。
また、microSDスロットも備えています。
その他
無線LANは802.11ac(Wi-fi 5)。Bluetoothはv5.0で、チップは不明です。
電源はType-C 5V入力で、待機電力は0.375W、アイドルで約1W、フルロードで約9Wとされています。
消費電力がきっちり記載されているのはありがたいですね。
OSはdebian 11、Android 12、Ubuntuとなっています。
これ多分、RK3588S向けビルドであればOKって感じで書いてそう。
外観
インターフェースです。
基本はラズパイ互換ですが、microHDMI×2がmicroHDMI+Type-Cに置き換えられています。
Type-Cはフル機能とされているので、映像出力もできるようです。
この置き換えは汎用性が高くて面白いなぁと。
あと、MIPI DSIの上にボタンが4つ(左から電源、リカバリ、リセット、ブート)並んでいる点も違いますね。
eMMCを搭載すると、どうしてもブート・リカバリは必要になってきますし、産業用メインと考えるとリセットボタンや電源ボタンもあった方がいいでしょう。
番号なしのもうちょっと大きな画像。
シルク印刷上ではモデル名は「Pico Pi V2.0」となっているようです。
まとめ
「Pico PC RK3588S」は一時期はAliExpressで販売されていて、その時は4GB/16GBモデルが124.1ドル、8GB/32GBモデルが168.88ドルだったようです。
価格としては意外と落ち着いていますね。
やたらと安いことで少し話題になった「Orange Pi 5」は、記事執筆現在のAliExpressでは4GBで75ドル(+送料10ドル)、8GBで90ドル(+送料10ドル)です。
「Orange Pi 5」はeMMCがないので、eMMC分を差額と考えると十分に安価と言えそうです。
※2023年2月24日追記:公式ストアでの販売が復活していたので、記事掲載当時に販売されていたストアから公式ストアにリンクを張りなおしました。また、価格も公式ストア価格に変更しました。
ラズパイクローンSBCは、価格の上下は多少あれども、各社ともにちょっとづつ自社色を出していて、目移りしてしまいますね。
コメント
Orange pi5は公式ページからだと16GBで120ドルですね
コメントありがとうございます。
公式価格はその通りですね。
記事に追記しましたが、記事掲載当時はちょうど公式ストアが売り切れていていました。現在は復活しているのでリンク及び価格を修正しました。
また、Pico PCに16GBの価格がなく比較できないため、16GBについては書いていません。