2023年4月26日、SBCブランドのLattePandaは、Core i5-1340Pを搭載するSBS(シングルボードサーバー)である「LattePanda Sigma」を発売しました。
スペック
■ LattePanda Sigma | |
CPU | Core i5-1340P |
---|---|
メモリ | 16GB LPDDR5-6400 |
ストレージ | M.2 Key-M(NVMe)×2 M.2 Key-B(SATA)×1 SATA×1 |
インターフェース | USB Type-C(TB4)×2 USB3.2 Gen2×2 USB2.0×2 HDMI2.1 microSDXC 2.5GbE 有線LAN×2 microSIM オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Kye-E |
サイズ | 146×102×24mm |
特徴
「LattePanda Sigma」は一般的なSBC(シングルボードコンピューター)に比べてパワフルです。
見た目的にはSBCなのですが、その中身は全く違っていて、現行の上位ノートやミニPCにも匹敵するものとなっています。
LattePandaが示す用途でも、ゲームサーバーやホームオートメーション、AI推論など、エッジコンピューティングとは全く違う使い方を想定していて、シングルボード“サーバー”と名づけています。
LattePanda曰く、シングルボードサーバーは一般的なサーバーとしての要素(メンテナンスの高いコンポーネント構造や冗長性、スケーラビリティ)を捨てた代わりに、サーバーに比べて低コスト、低スペース、低メンテナンス(実質使い捨て)をメリットとしています。
用途も大規模アプリケーションサーバーではなく、オートメーションや屋外(イベント会場)でのビデオ配信サーバーなど、小型さを活かした使い方をするものを挙げています。
CPU
「LattePanda Sigma」のCPUはIntel第13世代Raptor LakeのCore i5-1340P。
…いや、一気に現代化しすぎでは?
参考までに過去機の搭載CPU一覧はこんな感じ。
LattePanda V1 (初代):Atom x5-Z8350
LattePanda Alpha (2代目):Core m3-8100Y
LattePanda Alpha (2代目):Celeon N4100
LattePanda 3 Delta:Celeron N5105
AtomからCeleron系に移行し、それが継続されています。この流れなのでIntel N100辺りかなぁと思っていたのですが、見事に予想の上をいかれました。
Core i5-1340PのPassMarkスコアは20000弱。
先代「LattePanda 3 Delta」のCeleron N5105は4000強なので、実に5倍近い性能差です。一気に跳ね上がり過ぎて、次世代機に搭載できるCPUがあるのか心配になりますね。
メモリとストレージ
メモリは16GB LPDDR5-6400。オンボードで換装はできません。
現在のノートPC並みですが、SBCもRK3588搭載機を中心に16GBメモリも珍しくはなくなっています。
ストレージはM.2 NVMeスロット(Key-M)が二つ(Gen4 x4+Gen3 x4)に、M.2 SATAスロット(Key-B)が一つ、さらにSATAポートが一つあります。
クアッドストレージて…人によってはこれだけで食指が伸びるかも。
その他
無線LANはM.2 Key-Eスロット。
基本はベアボーンですが、一応ストレージ(500GB)+Wi-fi搭載モデルも用意されています。
有線LANは2.5GbE×2。使用チップはIntel i225-Vです。
サーバーを名乗るだけあって、ネットワーク回りはしっかりしています。
電源はバレルジャック、Type-C、電源ピンと3種類の給電方法が用意されています。
対応電圧は12~20V。電源アダプタは90W以上が推奨されています。
OSはWindowsまたはLinux。
ドキュメントで各種インストール結果が公開されていて、TrueNAS COREやOPNsenseはOK、AndroidとChromeOS Flexはダメだったとのこと。
外観
ボードの大半はファン内蔵ヒートシンクに覆われています。
ボード上のピンはすべて右端にまとめられていて、デザインが美しいなぁと。
インターフェースです。
驚異的だなぁと思うのが、フロントとリアにThunderbolt4が1ポートづつある点。
SBC系でTB4ポート自体初めて見た上に、2ポート搭載とは。
裏側にはM.2スロットが合計4スロット並んでいます。
とくに記述がないのですが、eDPも裏面ですね。
裏面全体だとこんな感じです。無駄のない配置は惚れ惚れします。
NVMeスロットは2242サイズは使えないようです。
ピン回り。
COMピンの隣はフロントパネルヘッダ(HDDアクセスランプ、電源ランプ)、そのさらに隣はオーディオヘッダです。
GPIOです。
Sステート設定など別のpinも混じっているのがちょっと紛らわしいところ。
パッケージ(SSD+Wi-fi付属モデル)はこんな感じ。
電源アダプタがでかい…
裏面のSSDを保護するボトムプレートも付属します。
ボトムプレートを装着した状態を表から見るとこんな感じ。
ボードからはみ出した位置に取付用の穴が開いているわけですが、VESA規格に沿っているわけでもなく。特に説明も書かれていません。
まとめ
「LattePanda Sigma」の価格は579ドル(記事執筆時レートで約79,500円)。
500GB SSD(WD SN700)とWi-fi(Intel AX211)がセットだと648ドル(同・約89,000円)です。
高いのは高いのですが、Core i5-1340P搭載ミニPCと考えるとこんなものかなと。デュアルTB4やクアッドストレージなど、そこらのミニPCより充実した内容ですし。
個人的な印象としては、ブレードサーバーを一枚引っぺがしてきたような、という表現が合いそうだなぁと。
むしろ中途半端な性能にするよりも、GPIOの生えた高性能ミニPCとして買われるかもしれないなぁと思ったり。
なお、販売先のDFROBOTでは2023年5月31日まで、「LattePanda Sigma」と一緒に買うとRaspberry Pi 4(4GB)が65ドルになるキャンペーンを行っています。
関連リンク
LattePanda Sigma:LattePanda
リリースノート:LattePanda Blog
販売ページ:DFROBOT
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