2023年4月13日、IndiedroidブランドはRockchip RK3588Sを搭載するSBC(シングルボードコンピューター)、「Indiedroid Nova」を発売しました。
スペック
■ Indiedroid Nova | |
CPU | Rockchip RK3588S |
---|---|
メモリ | 4~16GB LPDDR4x |
ストレージ | 32~128GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(不明)×1 USB3.0×2 USB2.0×2 HDMI2.1 microSDXC 1GbE 有線LAN×2 オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 5+BT5.0 |
サイズ | 85×56mm |
特徴
Indiedroidは新興のSBCブランドで、どうも調べた限りではECサイトのameriDroidが立ち上げたブランドではないかと思われます(とはいっても確証はありませんが)。
「Indiedroid Nova」自体は数あるラズパイクローンの一つですが、ボード全体を覆う巨大なヒートシンク(とバックプレート)、さらにヒートシンクに取り付けられるファンが付属しています。
CPU
「Indiedroid Nova」のSoCはRockchip RK3588Sです。
おそらく今一番人気のSoCで、ラズパイクローン以外でもXunlong Software「Orange Pi 5」やKhadas「Edge 2」など、多数の搭載SBCが登場しています。
Rockchip RK3588Sは、Sの付かないRK3588の弟分的な立ち位置です。
違いは以下の通り。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
CPU/GPU/NPU構成はRK3588と同じで、インターフェース周りが簡素化された分、パッケージサイズが小型化しています。
そのため、もともと搭載できるインターフェースの限られる、クレカサイズSBCに採用されやすいという側面があります。
CPUは4コア2.4GHz Cortex-A76+4コア1.8GHz Cortex-A55、GPUはMali-G610 MP4、NPUは6.0TOPSとされています。
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
性能についてはレビュー中の「Orange Pi 5」のデータだと、GeekBench5では2600点オーバー。近いのはPentium N6005やCore i3-1115G4です。
旧世代のSBCでよく使われていたRK3399(約700点)比だと、ざっと3.7倍です。
“S”なしRK3588のものでサンプル数は3しかありませんが、PassMarkスコアは6000オーバーなので、Celeron N5095(スコア4000)よりも高性能で、Core i5-8250U(スコア5905)と同等ですね。
同じく”S”なしRK3588では、AnTuTu(v9)では54万点を叩き出しています。これはSnapdragon 855(同51万点)より高く、Snapdragon 865(同66万点)より低い程度です。
参考 GeekBench4 Search (RK3588S)
参考 GeekBench5 Search (RK3588S)
参考 PassMark – Rockchip RK3588
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
メモリとストレージ
メモリは4GB~16GBのLPDDR4x。将来的には32GB LPDDR5xも予定しているようです。
ストレージは32GB~128GB eMMC 5.1とされていますが、記事執筆時点では32GBと64GBがラインナップされています。
その他
無線LANは802.11ac(Wi-fi 5)。Bluetoothはv5.0で、チップはRTL8821CSです。
電源はType-C 5V入力で、TDPは12Wとされています。
OSはArmbian、Ubuntu、debian 11/12、Android、Devuan、Batocera、NEMS Linuxなど。
マイナーディストリや特化型ディストリも含まれているのが面白いですね。
参考 Supported Operating Systems:Indiedroid
外観
インターフェースです。
基本はラズパイクローンですが、背面にeMMCがあったり、microHDMI×2がmicroHDMI+Type-Cになっていたりと、細かな差があります。
そして見落としちゃダメなのが、SoCの下。
「Pico Pi V2.0」ってがっつり書いています。
「Pico Pi V2.0」は以前に記事にしていますね。
つまり「Indiedroid Nova」は、「Pico Pi V2.0」に独自のヒートシンクを追加したOEM商品だってことです。
ameriDroidは「Pico Pi V2.0」の卸売業者でもあるので、その関係から使用しているものと思われます。
ヒートシンクとバックプレート。
バックプレートまで用意しているところは少なく、これならケースレスでも使えそうです。
また、専用ヒートシンクなのでCSI/DSIおよびDSI横の4連ボタンは隙間が空いているのもポイントです。
ファン装着時はこんな感じになります。
サイズ的な問題とは言え、わざわざ開けておいたボタンスペースを潰す鬼の所業。電源オンオフはどうするんだろう…?
まとめ
「Indiedroid Nova」の価格は4GB/32GBで144.95ドル(記事執筆時レートで約19,500円、送料別)から。8GB/32GBだと164.95ドルです。
「Pico Pi V2.0」は4GB/16GBモデルが124.1ドル、8GB/32GBモデルが168.88ドルだったので、ヒートシンクとファンが付いた上で実質値下げという。
また、ameriDroidでは記事執筆時点では10%オフとなるクーポンコードが発行されています。
クーポンコード:ETAPRIME-NOVA
コスパで言えば「Orange Pi 5」などには敵いませんが(8GBモデルで13,000円弱)、ラズパイフォームファクタでごついヒートシンクにファンまで込みと考えると、結構ありなんじゃないかなぁと。
「Orange Pi 5」はヒートシンクもないから、冷却回りは自分で調達する必要があるので結局+3,000円くらいになるんですよね…
関連リンク
Indiedroid Nova:Indiedroid.us
Indiedroid Nova + Full-Body Heatsink, Fan, eMMC:ameriDroid
コメント
スナドラ855はantutu(ver.9)51万点ぐらいらしいので855以上865以下では?
ご指摘ありがとうございます。
確かにその通りですね。なんで2倍って書いたんだろう…?修正しました。