Solidigmは2021年末にIntelのフラッシュメモリ部門がスピンアウト、SK Hynixの資本で新会社としてスタートしたストレージ企業です。Intelから転生したなどとも言われます。
そのSolidigmが2023年3月から大々的なキャンペーンを開催、がじぇっとりっぷも買ってしまいました。
なんか手元にM.2 SSDが貯まってきていますが、せっかく買ったということでベンチマークを取ってみました。
必ずしも同じような結果になるとは限りません。
Solidigm P41 Plus
■ Solidigm P41 Plus | |
容量 | 2TB |
---|---|
接続 | PCIe Gen 4.0 x4 NVMe 1.4 |
転送速度 | リード:4,125MB/s ライト:3,325MB/s |
NAND | 144層 3D QLC NAND |
キャッシュメモリ | なし |
耐久性 | 800TBW |
保証 | 5年 |
箱の表裏。
細かい字で裏面びっしりと書いているメーカーが多い中、かなりシンプルです。
パッケージ内容は本体と説明書。留めねじは付属しません。
本体の表裏。
グラフェンシートと見せかけて只のシールっぽい…
裏面はチップなしの片面実装です。
シールを剥がしたところ。
最初から最大2チップ構成で設計されています。
コントローラはシリコンモーションのSM2269XTF。PCIe Gen4 x4対応で、デュアルコア650MHz。仕様上はリード5.1GB/s、ライト4.8GB/sとなっています。
NANDはIntel 29F08T4A0CQK2。144層3D QLC NANDです。
144層3D QLC NANDは前世代にあたるIntel「SSD 670p」から引き続きの採用ですね。
必要もなくシールを剥がすことはやめましょう。
専用のSolidigm Storage Toolではファームウェアのアップデートができます。
項目の一つ、Performance BoosterではSLCキャッシュのクリアができます。
Intel SSDの特徴の一つとして、書き込まれたデータはSLCキャッシュがひっ迫するまでSLCキャッシュ上に保持され、キャッシュの残りが少なくなって初めてQLC NANDへとデータ移動を行うという仕様があり、ベンチマーク時にはこの仕様が大きく邪魔をしてくることになります。
実使用ではギリギリまで速度を維持する仕組みなので、文句を言うのは筋違いなんですけどね。
「P41 Plus」はHMC(Host Managed Chache)対応ですが、専用ドライバーを導入する必要があります(今回は非導入)。
ちなみに効果としては、ランダムアクセスがちょっと良くなったかな?くらいの効果のようです。
チェック環境
検証はPCIe Gen4 x4+PCIe Gen3 x4のデュアルストレージに対応した、メインノートのASUS「FH506HM」で行います。
手持ちでPCIe Gen4 x4スロットのあるデュアルストレージ環境がこれくらいしかないんですよね…
定番のCrystalDiskInfoで見たSSD情報です。
ベンチマーク
まず事前情報として、TechPowerUpによると、SLCキャッシュは固定32GB+動的268GBの、最大300GBとのこと。
CrystalDiskMark
データサイズを1GB・16GB・64GBに設定して測定。
仕様上はリード:4,125MB/s、ライト:3,325MB/sですが、微妙にオーバーしています。一応、仕様通りの速度は出るということで。
SLCキャッシュに乗る範囲だったからか、IOPSも大きな変化はありません。
体感性能に影響する4KBランダムアクセスのレイテンシ(応答時間)は63.02μs。
ハイエンド系は40μs台が多いので、ワンランク落ちますね。ミドルクラスとしては平均的と言えます。
書き込み中の温度は最大で75度近くに。
温度センサーだと最大66度だったので、ちょっと差が大きい気が。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkでは総合3858ポイント。
Samsung 980 PRO:3773
Ceucial P3 Plus:2910
「Compression-Benchmark」はそこそこにフラットですが、Samsung 980 PROほどではありません。
h2testw
全領域書き込みテストのh2testwは、1.25GB/sスタート。
しかし、SLCキャッシュが最大300GBなので、全体の15%という早い段階で速度低下が始まり…
最終的には平均300MB/sを割りました。
リードは0.99GB/sと、そこそこの速度を保っています。
HD Tune Pro
HD Tune Proではリードは平均1,449MB/s。
レイテンシも平均0.064ms(64μs)で、CrystalDiskMarkと結果が一致しています。
ライトは調子が良ければ2,000MB/s前後で推移するものの、途中でガツンと下がっています。
3DMark Storage Bench
今回から新しく取り入れたのが、3DMarkのStorage Benchです。
グラフを見る限りでは、平均よりちょっといいくらいの位置づけになるようです。
ファイル転送
ファイル転送は手計測からdiskbenchというアプリに変更。
測定は10GB(1GB×10ファイル)および100GB(1GB×100ファイル)で行っています。
なお、相手(Samsung 980 Pro)がPCIe Gen3 x4接続のため、転送速度には限界があり、必ずしも性能限界を示すわけではありません。
読み込み
データサイズ | 時間 | 平均速度 |
---|---|---|
10GB | 4.320秒 | 2370.370MB/s |
100GB | 51.988秒 | 1969.685MB/s |
転送速度は平均で2000~2300MB/s弱とかなり優秀です。
転送先もGen4接続だったらもうちょっと高かったかもしれません。
空の状態
データサイズ | 時間 | 平均速度 |
---|---|---|
10GB | 5.142秒 | 1991.443MB/s |
100GB | 52.836秒 | 1938.073MB/s |
空の状態だと全部SLCキャッシュに乗ったからか、速度が落ちることなく完走。
2,000MB/s弱という十分な速度で書き込みができています。
タスクマネージャを見るとコントローラには余裕がありますね。
空きが100GBの状態
データサイズ | 時間 | 平均速度 |
---|---|---|
10GB | 11.678秒 | 876.862MB/s |
100GB | 229.240秒 | 446.693MB/s |
100GB転送時は50GB付近で速度低下が発生。
しかし、完全に停止するのではなく、100~400MB/sで転送が継続され、「P3 Plus」との差を見せてきました。

タスクマネージャで見ると、キャッシュが切れた時点でコントローラのアクティブ率が100%に張り付き、がんばってデータを移動していることが見て取れます。
まとめ
Solidigmは元Intelということで期待していたのですが、良くもなく悪くもなくという、褒めづらい結果に。
いや、QLC NANDであることを考えると、非常に頑張っていると言えるんですけどね?
上位の「P44 Pro」はSK hynixのコントローラとSK hynixのLPDDR4 DRAMキャッシュ、SK hynixの3D TLC NANDを採用し(それほぼSK hynixのSSDじゃんというツッコミはさておき、冒頭にも書いたように、SolidigmはSK Hynixから資本提供を受けていてつながりが強い)、(他メディアのベンチマークですが)相当に優秀な結果を出しています。
なので評価としては、「ミドルクラスのQLC NAND搭載SSDとしては割と優秀」といったところでしょう。
ただ記事執筆時の2023年4月時点ではハイエンドクラスの232層3D TLC NANDを搭載した激安SSDが大量に登場し、コストパフォーマンスの良さも謳えない状況です。
発売当初(2022年9月)は比較的安価に買えるPCIe Gen4 SSDだったんですけどね…
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