2023年7月17日、UMPCメーカーのGPDはクラウドファンディングサイトのINDIEGOGOにて、Ryzen 7 7840U/Ryzen 5 7640Uを搭載した6インチUMPC「WIN 4(2023)」のファンディングを開始しました。
合わせて、GPU Boxの「GPD G1」もファンディングを行っています。
GPD WIN 4: Smallest AMD APU handheld Console:INDIEGOGO
GPD G1: The Smallest Graphics Card Expansion Dock:INDIEGOGO
スペック
■ GPD WIN 4(2023) | |
CPU | Ryzen 7 7840U Ryzen 5 7640U |
---|---|
メモリ | 16~64GB LPDDR5-7500 |
ストレージ | 512GB~4TB NVMe Gen4 SSD |
画面 | 6.0インチ IPS FHD |
インターフェース | USB Type-C(TB4)×1 USB Type-C(Gen2)×1 Oculink microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6+BT5.2 |
バッテリー | 45.62WHr |
サイズ | 220×92×28mm |
重さ | 1598g |
特徴
「WIN 4(2023)」は「WIN 4」のバージョンアップ版です。
単にCPUを変更しただけでなく、「WIN Max 2(2023)」で採用したOculinkを搭載しました。
CPUについて
「WIN 4(2023)」のCPUはRyzen 7040シリーズに属する、Ryzen 7 7840UまたはRyzen 5 7640Uです。
Ryzen 7040シリーズはZen4アーキテクチャ+RDNA3アーキテクチャの新設計CPUで、7000シリーズの目玉となるシリーズです。
Ryzen 7 7840U搭載機はまだ出回っておらず情報が薄いのですが、GeekBenchではRyzen 9 6900HXと並ぶスコアとなっているようです。
Ryzen 5 7640Uはデータが少なく断言はできませんが、コア数(Ryzen 7が8コア、Ryzen 5が6コア)に応じたスコアとなるようです。
参考 Geekbench 5 CPU Search(Ryzen 7 7840U)
参考 Geekbench 5 CPU Search(Ryzen 5 7640U)
グラフィックについてはTDPが違うものの、同じAMD 780Mを搭載するRyzen 7 7840HSのスコアを参考にすると、GeForce GTX 1650 Mobileと同等レベルにはなりそうな雰囲気。
Ryzen 6000シリーズのRDNA2でもIntel Iris Xeを逆転していたのに、さらに突き放しています。
Ryzen 5 7640Uのデータは全くないのですが、Ryzen 7 7840UのAMD 780Mが8.9TFlopsなのに対し、Ryzen 5 7640UのAMD 760Mは4.3TFlopsとされているので、性能的には大体半分くらいになるようです。
といってもRyzen 7 6800UのRadeon 680Mが3.4TFLOPSなので、実はRyzen 7 6800Uより高性能な模様。
…むしろ、Ryzen 7 7840Uのぶっ飛びぶりがすげぇって話ですね。
ゲーミングではWUXGA解像度でも設定次第でおおむね60FPS以上を保てるようです。
メモリとストレージ
メモリはRyzen 5 7640Uモデルが16GB、Ryzen 7 7840Uモデルが32GBまたは64GBで、どちらもLPDDR5x-7500です。
ここは「WIN Max 2(2023)」と同じ構成ですね。
ストレージはかなり盛って、512GBから最大4TBのGen4 SSD。
512GBは見せモデルというか、安価なモデルを用意するためですね。
流石にセカンドスロットはありません。
その他
無線LANは802.11axに対応。これがWi-fi 6なのかWi-fi 6Eなのかは不明です。Bluetoothは5.2です。
有線LANはありません。
バッテリーは45.62WHr。
高負荷時で2時間、低負荷時は10時間の駆動時間となります。
電源アダプタは65Wで、おそらくはUSB PDです(というかほかに電源ポートがない)。
外観
インターフェースです。
画面は6インチで解像度はFHD(1920×1080)です。リフレッシュレートは40Hzまたは60Hzの切り替えができます。
CPU(というかグラフィック)の性能が上がったため、「Win4 (2022)」から1080pに解像度が引き上げられたわけですが、7040Uシリーズの性能を考えると60Hz/90Hzの切り替えでもよかったくらいな気がします。
がじぇっとりっぷは旧モデルとなる「Win 4(2022)」を所持していますが、6インチって「スマホだと普通なのにPCだと結構きつい。長時間見ていると目がしょぼしょぼしてくる」って感じのサイズ感です。
ただコンパクトなことはコンパクトなので、カバンに放り込んで外出先でプレイするにはちょうどいいサイズです。
手とのサイズ感はこんな感じ。
ディスプレイを押し上げるとキーボードが出現。小さいですがフルキーで揃っています。
キーはドームスイッチ式で、キーボードバックライトも内蔵しています。
背面には吸気口。
中指の位置に背面ボタンがあります。個人的にはこの位置は押しにくかったので、もうちょっと内側の方がよかったですね。
「Win 4(2022)」ではファンディングの途中で追加されたドッキングステーションが、今回は最初からオプションで用意されています。
がじぇっとりっぷはファンディング開始時にファンディングしたせいで選べなかったんですよね…
LTEモジュールを取り付けることで、4G/LTEに対応します。対応バンドは以下。
LTE-FDD: B1/B2/B3/B4/B5/B8/B12/B13/B18/B19/B20/B25/B26/B28
LTE-TDD: B38/B39/B40/B41
UMTS: B1/B2/B4/B5/B6/B8/B9
GSM: B2/B3/B5/B8
今回は別ページで分けられた「GPD G1」はGeForce RTX 3070(Mobile)やRTX 4060(Mobile)よりやや上くらいの性能となるRadeon RX 7600M XT mobileを内臓。
アーキテクチャはRyzen 7040シリーズと同じRDNA3なので相性もいいです。
接続はOculink。USB4/Thunderbolt4(40Gbps)より高速な63Gbpsで接続するので、帯域によるキャップがUSB4より緩いのがポイント。
まとめ
「WIN 4(2023)」の価格は以下の通り(日本円は記事執筆時のレート。ファンディング時はここにクレジットカードの手数料が追加されます)
・7640U/16GB/512GB:699ドル (約97,200円)
・7840U/32GB/512GB:839ドル (約116,700円)
・7840U/32GB/2TB:999ドル (約138,900円)
・7840U/64GB/4TB:1,299ドル (約180,600円)
一応ですが、10万円以下でもファンディングができるようになっています。
ここ最近のUMPCは高額化しているので、Ryzen 5とはいえ低価格モデルを用意してきたのは評価できます。
1ドル110円台の頃であれば、7840U/32GB/512GBも10万円以下だったんだけどなぁ…
何にせよこれで価格下落圧力がかかったわけで、「ROG Ally」対抗の意味でも今年後半のUMPCはメモリ32GBで10万円前後モデルの登場が期待できそうな気がします。
すでに6800U搭載機はモデルチェンジの在庫処分も兼ねて10万円前後になっていますね。
またオプションは以下の通り。
・GPD G1:655ドル (約91,000円)
・ドッキングステーション:90ドル (約12,500円)
・LTEモジュール:100ドル (約13,800円)
流石にGPU Boxは高額ですね。
それでもセットで買っておけば、「外ではモバイルUMPC、家ではハイスペックデスクトップ」を一台で実現できるのは魅力です。
関連リンク
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GPD G1: The Smallest Graphics Card Expansion Dock:INDIEGOGO
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