2023年6月1日、中国Milik-VはStarFive JH7110を搭載したSBC「Milk-V Mars」を発表しました。
また2023年9月5日にコンピュートモジュール版の「Milk-V Mars CM」を発表しました。
1年近く前のSBC(シングルボードコンピューター)になりますが、なぜこのタイミングなのかというと、Ubuntuの更新(u-boot-starfive)において「Milk-V Mars」のサポートが追加されたのを見て、記事にしていなかったのを思い出したからです。
参考 Foundations Team Updates – Thursday 2024/03/28:Ubuntu Discourse
スペック
■ Milk-V Mars | |
CPU | StarFive JH7110 |
---|---|
メモリ | 1~8GB LPDDR4 |
ストレージ | 8~32GB eMMC (CMのみ) |
インターフェース | USB Type-C(充電)×1 USB 3.0×3 USB 2.0×1 HDMI 1GbE 有線LAN microSD オーディオジャック |
Wi-fi | M.2 key-E |
サイズ | 85×56mm |
特徴
「Milk-V Mars」はSBCの大半を占めるARM系ではなく、RISC-Vアーキテクチャに基づいたSoCを搭載したSBCです。
RISC-Vアーキテクチャについては下の記事内で解説しています。
簡単に言うと、ARMと違ってオープンソースライセンスなので米国の制裁を受けにくく、中国企業が積極的に採用していることで爆発的に成長しているアーキテクチャとなります。
SoC
「Milk-V Mars」および「Mars CM」の搭載SoCはStarFive JH7110。
StarFive「VisionFive 2」と同じSoCで、CPUコア部分にSiFive U74 (RV64GC)を採用した、1.5GHzの4コアSoCです。
ブロックダイアグラム図はこんな感じ。
サブプロセッサはSiFive S7 (RV64IMAC)、RTC(RealTime Controller)プロセッサはRISC-V SiFive E24 (RV32IMFC)と、RISC-Vコアで揃えています。
GeekBenchでのスコアでは発展途上と言えるレベルですが、Raspberry Pi 3は上回っています。
グラフィックはそこそこ強く、トータルだとRaspberry Pi 4の7~8割くらいになるようです。
メモリとストレージ
「Mars」のメモリは1GBから8GBのLPDDR4。販売ページでは1GBはなく、2GBから8GBとなっています。
「Mars CM」は2GBから8GBです。
ストレージは「Mars」はなし、eMMCソケットとmicroSDが使えます。
「Mars CM」はなし、または8~32GBのeMMC。
その他
無線LANはM.2 Key-Eスロットが用意されていて、自由に選べます。
電源はType-C入力で5V/3A。PoE HATを追加することでPoE給電にも対応します。
OSはUbuntu、fedora、openSUSE、debianをサポート。
外観
「Mars」の表裏です。
インターフェース配置は「Raspberry Pi 3」互換です。
USBはUSB3.0×3+USB2.0×1。
「Mars CM」は「Raspberry Pi 4 CM」互換。
Wi-fiとeMMCはオンボードっぽいので、交換はできなさそう。
ドーターボードはなくて、「CM4 IO Board」など「Raspberry Pi 4 CM」用のボードを使用します。
まとめ
「Milk-V Mars」の価格は2GBモデルが6,200円から。現在は売り切れです。
「Mars CM」は2GB+Wi-fiが5,400円、4GB+のWi-fiが6,200円、4GB+16GB eMMC+no Wi-fiが7,700円など。
「Mars CM」はAliExpressだと2GB+8GB+Wi-fiが6,244円、8GB+32GB+Wi-fiで21,356円など。
ライセンス料が不要な分ARM系よりも安いのがRISC-Vのメリットですが、現状では知見の積み重ねが少ないのがデメリットです。
ラズパイ互換ですし、もうちょっと入手性がよかったら状況も多少は変わったかもしれませんが…
関連リンク
Milk-V Mars 製品ページ:Milk-V
Milk-V Mars CM 製品ページ:Milk-V
Mars:Milk-V docs
Milk-V Mars 販売ページ:Arace
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