GEEKOM「A7」はこれまでのIntel NUCライクなデザインから一転、Mac mini風デザインとなったミニPCです。

良デザインに加えてRyzen 9 7940HS/Ryzen 7 7840HSというモバイル向けの中では最強クラスのCPUを搭載することから在庫僅少の状況が続いています。
そんな「A7」をレビューする機会をいただいたので、チェックしていきます。
GEEKOM A7

CPU | Ryzen 9 7940HS Ryzen 7 7840HS |
---|---|
メモリ | 32GB DDR5-5600 |
ストレージ | 1~2TB NVMe Gen4 SSD |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×1 USB Type-C(Gen2)×1 USB3.2 Gen2×3 USB2.0×1 HDMI 2.0×2 2.5GbE 有線LAN SDXC オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.2 |
サイズ | 112.4×112.4×37mm |
重さ | 450g |
GoodPoint
✔ 見ていて気持ちいいアルミデザイン
✔ モバイル系最高クラスの性能
✔ コンパクトな本体、コンパクトな電源アダプタ
✔ 3年保証
BadPoint
✖ ファンの操作はほぼできない
✖ SSDがシングルスロット
クーポンコード:gadgetrip GEEKOM ※半角スペースも含めます
有効期限:7月8日まで
パッケージ
・電源アダプタ
・HDMIケーブル
・マニュアル
・サンキューカード
「A7」のインターフェース
・USB 3.2 Gen2 ×2
・オーディオジャック
・電源ボタン
■左面
・SDXCカードリーダー
・電源ジャック
・HDMI ×2
・USB4
・2.5GbE 有線LAN
・USB 3.2 Gen2 ×1
・USB 3.2 Gen2 Type-C ×1
・USB 2.0 ×1
インターフェースはGEEKOMの他機種「IT13」や「A5」などと共通の配置となっています。
違うのはType-CがUSB4かUSB 3.2 Gen2かくらいです。「A7」は片方がUSB4となっています。


「A7」のパフォーマンス
試用機の搭載CPUはRyzen 9 7940HS。Ryzen 7040シリーズ最高峰のCPUです。
現行はRyzen 8040シリーズですが、NPU周りが強化されただけでCPU・GPU部は同じなので、2024年前半もモバイル向けCPU最強格の一つと言えるでしょう。
Ryzen 9 7940HSのTDPは35~54W。
7040Uシリーズ(15-30W)よりも高く、高クロックで継続的に動作できるため、高スコアが期待されます。
総合
PassMarkのCPUスコアは圧倒的ですね。Ryzen 7 7840Uとは2割の差がついています。
シングルスレッド性能はCore i7-13700Hにこそ及ばないものの、4000近いスコアを付けています。
3月31日にリリースされたばかりのCrystalMark Retroでも計測。
比較データが不足しているので、参考程度です。
CPU


上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CINEBENCHだとCore i7-13700Hに負けますが、それでも高い性能を示しています。
Core i9-13900H(GEEKOM「IT13」)は電源アダプタと冷却の限界によりスコアが伸び悩んでいるので、参考程度です。
GPU


グラフィックは同じAMD 780MながらRyzen 7 7840Uを上回り、フルパワーのZ1 Extremeと同等となっています。
ストレージ
「A7」のストレージはAcer N5000CNの2TBモデル。
大手メーカー製ながらOEM向けのようで、製品ページもなく情報の少ないSSDです。
というか、N5000CNの名前が出てくるのって、他メディアの「A7」レビューくらいしかないという…
CrystalDiskMarkでは、リード4,900MB/s、ライト4,700MB/s。
仕様ではリード5,000MB/s、ライト4,400MB/sなので、ライトがスペック以上に出ています。
外観
外箱は底面だけポップなカラーのGEEKOMスタイル。
7940HS+32GB+2TBの強者感。
技適番号もきっちり掲載されています。相互承認(MRA)による認証です。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索 (217-230731):総務省
技適では「A 5, A 6, A 7, A 8, A 9」がまとめて認証されているので、今後「A8」「A9」が登場する可能性があります。
なお、箱のサイズは「A5」に比べてかなりコンパクト化しています。
パッケージ
パッケージ内容です。
付属品
HDMIケーブル
マニュアルは広げると1枚になるタイプ。
マニュアルの日本語はいわゆる中華フォントが使われています。
「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。
電源アダプタは120W出力。
3ピンプラグですが、3ピン→2ピン変換アダプタは入っていません。
電源アダプタのサイズはかなりコンパクト。
そういえばVESAマウンタは入っていないんですね。
筐体
前後左右のインターフェース。
前述の通り、インターフェース配置は「IT13」や「A5」と共通。右サイドのケンジントンロックだけなくなっています。
天面にはGEEKOMのロゴ。
底面にはラベルとゴム足。
ラベルには認証情報が記載されています。
重さは本体417g、アダプタ込みで760g弱。
サイズ感
身近なものとサイズ比較。
本体サイズは112.4×112.4×37mmで手のひらからちょっとはみ出すくらい。
スマホと比較しても小ぶりなのが分かります。
なんならゲーミングUMPCの方がでかいという。
内部
ネジはゴム足の下に隠されています。
底面蓋を開いたところ。
蓋にはWi-fiアンテナが張り付けられています。
底面プレートを開くと内部にアクセスできます。
プレートにはサーマルパッドが貼られていて、M.2 SSDのヒートシンクとなっていることが分かります。
メモリとSSDを外したところ。
中央の2242サイズのSSDスロットが未実装となっています。
他にもスピーカーやCOMポートらしき箇所も。
メモリはCrucial製の片面実装メモリ。
ストレージはAcerのN5000CN。
Wi-fiはWi-fi 6E+Bluetooth 5.3に対応する、AzurewaveのAW-XB591NF。
中身はMediaTek MT7922です。
システム
起動前
UEFIは旧BIOSスタイル。
設定可能項目が極端に少なく、変更できるのはFAN Modeくらいでした。
システム情報
システム情報。
ライセンスはOEMなので大丈夫そう。
ストレージは1パーティション。
HWiNFOによるCPU・GPU情報。
CPU詳細。
TDPは35Wに設定されています。
ゲームベンチマーク
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
CPU | Ryzen 9 7940HS |
---|---|
グラフィック | AMD 780M |
メモリ | 16GB DDR5-5600×2 |
ストレージ | 2TB |
[中量級] Street Fighter VI
2023年6月に発売し、全世界で300万本(2024年1月時点)を売り上げたストリートファイター6。
高画質設定は言うに及ばず、NORMAL/FHDでも30FPSとプレイアブルには届きませんでしたが、LOW/FHDだと60FPSに届きました。
[中量級] FF XIV 暁月の終焉
設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 最高品質 | 5737 | 普通 |
1920×1080 高品質 | 7089 | やや快適 |
1920×1080 標準 | 8412 | 快適 |
1280×720 高品質 | 11174 | とても快適 |
1280×720 標準 | 12822 | とても快適 |
実ゲームとなると、さすがにGTX 1650から大きく離されています。
Z1 Extremeに負けているのは、メモリの速度差(本機はDDR5-5600、Z1 ExtremeはLPDDR5-7500)が主な要因と思われます。
[重量級] FF XV Windowsエディション
設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 高品質 | 2959 | やや重い |
1920×1080 標準品質 | 3962 | 普通 |
1920×1080 軽量品質 | 5162 | やや快適 |
1280×720 標準品質 | 6231 | 快適 |
1280×720 軽量品質 | 7834 | 快適 |
重量級のFF XVでは、誤差レベルながらZ1 Extremeを上回りました。これはTDP差というか、高負荷でもどれだけ継続して高クロックを維持できたかの差かなと。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力
アイドル時 | 0.3~5.0W |
---|---|
画面オフ時 | 4.3~6.8W |
スリープ時 | 0.3~4.9W |
CINEBENCH(S) | 32.4W |
CINEBENCH(M) | 84W /65.3W |
最大 | 90.9W |
消費電力は、意外と控えめ。最大負荷でも瞬間的に90Wを超える程度で、100Wにも届きませんでした。
とはいえここにモバイルディスプレイをつないだりするとあっさり100Wを超えたので、120Wの電源アダプタというのは妥当な数字です。
騒音
状況 | 音量 |
---|---|
電源オフ | 34.9dB |
アイドル | 36.4dB |
最大(静音モード) | 42.6dB |
最大(ノーマルモード) | 42.6dB |
最大(パフォーマンス) | 43.0dB |
最大(ノーマルモード背面) | 43.0dB |
騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
---|---|---|---|
うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 | 非常にうるさい |
60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 | 非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる | |
普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 | 大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
40 | 深夜の市内 図書館 | 多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 | |
静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 | 非常に小さく聞こえる |
20 | ささやき 木の葉のふれあう音 | ほとんど聞こえない |
「A7」の騒音はやや高めの音で、小型の換気扇のような感じ。気にならない時は気にならないけれど、一度気が付くとずっと気になるタイプの音です。
アイドルでもファン音がしっかり出ていますが、5mくらい離れれば聞こえなくなる程度です。
ただUEFIでファンのモードを切り替えてもほとんど差がありません。
せめて静音モードは性能8割だけど音はほぼなし、くらいにしても良かったんじゃないかと。
ファン動作については「IT13」の時も挙動がおかしかった(負荷のかかっている時だけ各モードが有効)ので、この辺りの作り込みが甘いのかも。
何かしらの変更が欲しいところですが、ドライバーのダウンロードページはあってもアップデートはされていないようなので、あまり期待できそうにはありません。
温度
CPU温度は最大で95℃。ギリギリまで攻めています。
で、ここでようやくモードの違いが出てきて。
静音モードでは95℃に届かない範囲で遷移。
逆にパフォーマンスモードでは99℃に達しました。
ファンモードの変更なのにファン速度は変わらず、高負荷状態をどれだけ維持できるかが変わるんですね。
上が静音モード、下がパフォーマンスモードでのスコア。
有意に差が出ましたが1割にも満たず、むしろパフォーマンスモードの99℃がCPU寿命に影響しそうなので、普段は静音モードかノーマルモードでいいと思います。
まとめ
「A7」の記事執筆時点でのAmazonでの販売価格はクーポン込み118,900円。公式サイトでは118,000円。
公式サイトでは10-IN-1 USBドックがおまけとして付属します。
「A7」は「IT13」と違ってフルパワーをしっかり出し切りつつ、最大100W以下という優秀なワットパフォーマンスを示しました。
非dGPUなミニPCの中では文句なしで最高峰クラスと言えますし、デザインも秀逸で人気が出るのも納得です。
あとはファン回りの制御がもっと細やかにできるようになれば言うことなしなのですが…
クーポンコード:gadgetrip GEEKOM ※半角スペースも含めます
有効期限:7月8日まで
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
メーカー | GEEKOM | |
---|---|---|
モデル名 | A7 | |
CPU | Ryzen 9 7940HS | |
GPU | RDNA3 | |
メモリ | 16GB×2 | |
ストレージ | 2TB Gen4 | |
PassMark 9 | Total | 6615.8 |
CPU Single | 3824 | |
CPU Multi | 29680 | |
2D | 843.3 | |
3D | 7801 | |
Memory | 2477.1 | |
Disk | 34800.3 | |
PassMark 10 | Total | – |
CPU Single | – | |
CPU | – | |
2D | – | |
3D | – | |
Memory | – | |
Disk | – | |
PassMark 11 | Total | 8355.9 |
CPU Single | 3942 | |
CPU Multi | 31006.1 | |
2D | 913.5 | |
3D | 7904.8 | |
Memory | 3384.5 | |
Disk | 27611.2 | |
3DMark | TimeSpy | 3289 |
Graphics | 2931 | |
CPU | 10741 | |
FireStrike | 7860 | |
Graphics | 8542 | |
Phisics | 27255 | |
Combined | 2948 | |
NightRaid | 31238 | |
Grapihics | 37580 | |
CPU | 15968 | |
SkyDiver | 27357 | |
Graphic | 28648 | |
Phisics | 23280 | |
Combined | 25442 | |
CloudGate | 39131 | |
Graphics | 53420 | |
Phisics | 20211 | |
IceStorm | 214116 | |
Graphics | 381815 | |
Phisics | 84389 | |
IceStormEX | 170373 | |
Graphics | 240706 | |
Phisics | 84232 | |
IceStormUnlimited | 230708 | |
Graphics | 433670 | |
Phisics | 87445 | |
3DMark | TimeSpy | 3300 |
Graphics | 2942 | |
CPU | 10671 | |
FireStrike | 7944 | |
Graphics | 8589 | |
Phisics | 27644 | |
Combined | 3019 | |
NightRaid | 31602 | |
Grapihics | 37829 | |
CPU | 16352 | |
CINEBENCH R15 | OpenGL | 230.03fps |
CPU(M) | 2521cb | |
CPU(S) | 288cb | |
CINEBENCH R20 | CPU(M) | 6305pts |
CPU(S) | 703pts | |
CINEBENCH R23 | CPU(M) | 16126pts |
CPU(S) | 1820pts | |
CPU-Z | Single | 689.3 |
Multi | 7021.5 | |
CrystalMark | Mark | 989333 |
ALU | 434339 | |
FPU | 199473 | |
MEM | 218157 | |
HDD | 90798 | |
GDI | 15706 | |
D2D | 4899 | |
OGL | 25961 | |
CrystalMark Retro | All | 19018 |
CPU-Single | 13628 | |
CPU-Multi | 126580 | |
2D-text | 6343 | |
2D-square | 10073 | |
2D-circle | 9089 | |
2D-image | 11099 | |
3D-scene1 | 61018 | |
3D-scene2 | 24571 | |
3D-scene1-CPU | 13668 | |
3D-scene2-CPU | 7381 | |
GeekBench4 | Single | 8231 |
Multi | 49557 | |
OpenCL | 112354 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
GeekBench5 | Single | 1973 |
Multi | 12135 | |
OpenCL | 37497 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
GeekBench6 | Single | 2703 |
Multi | 13483 | |
OpenCL | 33493 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
PCMark | ALL | 7608 |
Essensial | 11306 | |
Productivity | 10921 | |
DigitalContent | 9679 | |
VR Mark | 3489 | |
DQ(DX9) | 1920・最高 | 14890 すごく快適 |
1280・標準 | 19116 すごく快適 | |
FF XIV(DX11) 紅蓮 | 1920・最高 | 5628 とても快適 |
1920・高 | 7128 非常に快適 | |
1920・標準 | 8607 非常に快適 | |
1280・高 | 11188 非常に快適 | |
1280・標準 | 12799 非常に快適 | |
FF XIV(DX11) 漆黒の反逆者 | 1920・最高 | 5495 とても快適 |
1920・高 | 6713 とても快適 | |
1920・標準 | 8079 非常に快適 | |
1280・高 | 10348 非常に快適 | |
1280・標準 | 11759 非常に快適 | |
FF XIV(DX11) 暁月の終焉 | 1920・最高 | 5737 普通 |
1920・高 | 7089 やや快適 5 | |
1920・標準 | 8412 快適 | |
1280・高 | 11174 とても快適 | |
1280・標準 | 12822 とても快適 | |
FF XV(DX11) | 1920・高 | 2959 やや重い |
1920・標準 | 3962 普通 | |
1920・軽量 | 5162 やや快適 | |
1280・標準 | 6231 快適 | |
1280・軽量 | 7834 快適 | |
MHF(DX10) 大討伐 | 1920 | 14970 |
1280 | 27275 | |
Blue Protocol (DX12・1920) | 最高画質 | 5220 設定変更 |
中画質 | 8021 快適 | |
低画質 | 14813 極めて快適 | |
ブラウザ | jetstream2 | 339.171 |
BaseMark | 2056.88 | |
WebXPRT3 | – | |
WebXPRT4 | 339 | |
MotionMark | 2140.6 | |
SpeedMeter2.0 | 378 | |
SpeedMeter3.0 | 19.3 | |
octane | 95472 |
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