【レビュー】 ASUS「Mini PC PN60」はパワフルだけど熱が不安

PC

がじぇっとりっぷではずいぶん前に、ASUS「Mini PC PN60」の記事を書いています。

考えられてる。ASUS「Mini PC PN60」「Mini PC PN40」はスタイリッシュに合理的な作り

国内販売モデルはCore i3-8130Uにメモリ・ストレージ・OSの揃った完成品だったのですが、2020年5月15日、Core i5とCore i7のベアボーンモデルの国内発売がアナウンスされ、2020年6月5日に発売となりました。

そこでCore i7モデルをお借りすることができましたので、レビューしていきたいと思います。快く試用機を提供くださったASUS様にはこの場にて御礼申し上げます。

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ASUS PN60-BB7088MH

CPUCore i7-8550U
メモリDDR4 SO-DIMM×2
ストレージM.2 NVMe(2280)×1
2.5インチ×1
wi-fi802.11ac+BT4.2
サイズ115×115×49mm
重さ0.7kg
詳細スペックを見る
メーカーASUS
型番Mini PC PN60
価格73,800円(Core i7)
59,800円(Core i5)
発売日2020/06
115mm
奥行き115mm
高さ49mm
容量0.65L
CPUCore i7-8550U
Core i5-8250U
グラフィックチップIntel UHD 620
コア/スレッド数4C/8T
TDP15W
チップセット
メモリインターフェイスSO-DIMM DDR4-2400
メモリスロット2
メモリ最大32GB
ECC対応×
ストレージ
SATAポート数1
M.21
mSATA
USB2.0(内部)
USB2.0(外部)Front x 1
USB3.0(内部)
USB3.0(外部)Front x 1(Gen1)
Rear x 2(Gen1)
USB type-CFront x 1(Gen1)
REar x 1(Gen1)
SDカード
LANRear 1Gb x 1
Wi-fi802.11ac(2×2、Intel 8265)
Bluetooth4.2
D-Sub
DVI1
HDMIRear x 1(1.4)
4K対応4K/30Hz
DisplayPortRear x 1(1.2,Type-C変換)
シリアルポート
S/PDIF
オーディオジャックFront x 1
サウンドチップ
光学ドライブ
PCI-Eスロット
eSATA
赤外線
Optaneメモリ対応
最大消費電力45W
電源65W
ノイズレベル36.4dB
VESA75mm,100mm
付属品VESAマウントキット
その他Configuable Port

GoodPoint
とにかく小さい!
デュアルストレージが可能
ハイパフォーマンスチューニング

BadPoint
冷却面で不安
ファンが結構うるさい

外観

▲パッケージは結構いろいろ入っていまして、本体と電源のほか、VESAマウンタ、ネジ類にドライバCD(ベアボーンならではですね!)、マニュアル・保証書の類と、盛りだくさんです。

▲本体のサイズは115mm四方です。

なんと、iPhone 4の高さとほぼ同じです。
比較用にちょうどいいかなと置いてみたらぴったりでびっくりしました。

▲インターフェースです。

前面はUSBが3ポート、背面にも3ポートあるので拡張性は比較的確保されています。
前面のType-C端子は稲妻マークがあるので、PowerShare(電源オフ時も給電できる機能)に対応しています。

オプションのconfigurable portにはHDMIが設定されていました。
背面のUSB Type-CはALTモードでのDisplayPort出力に対応していますが、configurable portとの排他利用になるのでトリプルディスプレイができず、デュアルディスプレイまでとなります。

▲電源アダプタは本体の1/4くらいのサイズです。

電源アダプタがでかいのではなく、本体がちっちゃいんです。

▲USBのポータブルCDドライブの方が大きかったりします。

ちなみにCDの直径は120mmなので、「PN60」の上に載せたらはみ出します。

▲セッティングしたらこんな感じになりました。

デスクトップの上においても全然邪魔になりません。

セッティング

「PN60」はベアボーンなので、自分でストレージとメモリとOSを用意し、組み込んでいく必要があります。

▲底面は大きくスリットが開いています。

四隅のネジを外すことで、開けることができます。

▲ふたを開けたところです。

存外にネジが長くてびっくりしました。

Wi-fiは換装可能ですが、今回はこのままで進めます。

▲メモリスロットは2段になっています。

▲M.2スロットとSATA端子です。

リボンケーブルで接続されている、M.2スロットの上の小さなボードがConfigurable Port用のボードです。
以前の記事では10GbEが搭載できればと書きましたが、見るからに無理そうですね。

▲ふた側には2.5インチ用のマウンタが付いています。

ふたを閉めたらSATA端子に挿入されるスタイルです。

▲メモリとストレージを装着したところです。

以下のものを使用しています。

なお、M.2 SSD用の背の高いヒートシンクは2.5インチストレージと干渉する可能性があります。
「M2PeG」のヒートシンクで、2.5インチとの隙間は3~4mm程度でした。

システム

手持ちに余ったライセンスがなかったので、OSはWindows 10 Enterprise(試用版)を利用しています。

Windows 10 Enterprise | Microsoft Evaluation Center
Windows 10 Enterprise は中規模から大規模の組織のニーズに応えるよう設計されており、IT 担当者のための高度な保護、柔軟な展開、包括的なデバイスとアプリの管理の機能を備えています。

無料で90日まで使え、試用期間も2回まで延長可能なので、こういう時には便利です。

もともとのシステムが入っていないので、今回はいつもの「Macrium Refrect Free」の出番はありません。

▲BIOS(UEFI)画面はグラフィカルですが、旧スタイルを踏襲した形になっています。

なじみやすいと言えばなじみやすいのですが、同じASUSのゲーミングノート「FX504GD」のような近未来感のあるグラフィックを期待していただけに、ちょっとがっかりでした。

【レビュー】 ASUS「FX504GD」 低コスパゲーミングノートでも内蔵グラフィックとは天と地の差でした

▲システム情報はこんな風になっています。

▲CPU-Zの表示内容です。

▲CDからのドライバセットアップ画面です。

▲インストール中はいろいろ案内が表示されますが、これが格好良かった。

ちょっと使ってみた

総じて、サクサクと動くには動くのですが、熱が足を引っ張っている印象です。
重量級のFF XVのベンチマークをしている際には熱が原因と思われる強制終了が発生することもありました。

▲HW Monitorで見たベンチマーク後の状況です。

一番右が最高温度なのですが、とんでもないことになっています。これ、センサーの故障じゃないよね…?
一応、CPUは100℃が上限なので、許容範囲内ではありますが、この数字は怖いです。
ファンはうるさいくらいに回るのですが、音の割に風量が少ないのが問題です。なんでこんなに少ないの?

天板も放熱を兼ねているようでほんのり温かいのですが、全然追いついていません。
というか、メモリ・ストレージ側から吸気して、四方の隙間を抜けて、CPU側から排気される構造になっているわけですが、隙間が小さすぎてCPU側に空気が十分に回っていないようです。

そのため、メモリ・ストレージ側にも外気があまり入ってこず、ストレージの温度も上がり気味となります。

▲SSDは超高速モデルを使用しているのでちょっぱやなのですが

▲CrystalDiskInfoで見ると、SSD温度が78度まで上昇していました。

SSDの温度は寿命に直結するので、この温度はあまりよろしくないですね。

▲これは悪い見本。

ストレージを冷やすべく、直接風を当ててみましたが、CPU側には風が回らないのでストレージしか冷えないという。
これは素直に低発熱なSSDを導入した方がよさそうです。

それに、さすがにこんな見た目で常用はしたくないですしね…

ベンチマーク

対象アプリ一覧

CrystalDiskMark 6.0.2
PassMark 9.0
Geekbench 4.4.2
Geekbench 5.0.1
CrystalMark 2004R7 v0.9.200.452
CINEBENCH R15.0
PCMark 10
3D Mark v2.0.6762
DQ X ベンチマーク v1.51
FF XIV 紅蓮の解放者
FF XIV 漆黒の反逆者
FF XV v1.2

jetstream 2
BaseMark
WebXPRT
MotionMark
SpeedMeter2.0
octane

※ベンチマーク条件

DQ Xは1280×720・標準、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XIV(紅蓮/漆黒)は1280×720・高品質(ノート)、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XVは1280×720・標準のみ

結果総覧

熱に悩まされたりもしましたが、ベンチマークスコア自体はさすがCore i7という結果になっています。
比較対象はCore i5-8250Uを搭載した、Lenovo「IdeaPad 720S」です。

Passmark(CPU)
PN60(Core i7-8550U)86542310
比較:Core i5-8250U79752051

上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド

ゲームベンチマークでは、Core i5-820U、Core i7-8550Uともに同じUHD 620なのですが、スコアが大きく違っています。
考えられる要因はチューニングの違いくらいです。

前述したように、「PN60」はCPUの温度が限界近くまで上昇します。
おそらくですが、パフォーマンス重視のチューニングが施されており、限界まで性能を引き出しているものと思われます。
これはノートPC(特に薄型ノート)ではなかなかできないことですね。

DQベンチマーク
PN60(Core i7-8550U)49069486
比較:Core i5-8250U33935672

上段:1920×1080(最高品質)、下段:1280×720(標準品質)

FFXIV(漆黒の反逆者)
PN60(Core i7-8550U)11923347
比較:Core i5-8250U8722256

上段:1920×1080(最高品質)、下段:1280×720(高品質ノート)

3DMark FireStrike
PN60(Core i7-8550U)11357451
比較:Core i5-8250U9184649

上段:総合スコア、下段:グラフィックスコア

他のスコアについては最後に付録として記載しています。

あと、ブラウザベンチマークでは何がダメなのか、ブラウザによっては動かないベンチマークがありました。
具体的にはChromeでMotionMarkが、EdgeでJetstream 2.0が動きませんでした。

ドライバを更新したりと限られた時間の中であれこれ試したのですが、残念ながら原因はつかめませんでした。
そのため、ブラウザベンチマークについては基本はChromeのスコアを使い、MotionMarkだけEdgeでのスコアとなっています。

消費電力・騒音について

消費電力はRATOC「WATTCHECKER」を、騒音計測はBENETECH「GM1356」を使用しています。

▲騒音測定は本体の30cm手前にマイクを設置して計測しました。

アイドル時10.9W
画面オフ時10.5W
スリープ時0.9W
CINEBENCH(S)28.8W
CINEBENCH(M)28W
最大34W
54.2W(瞬間)

「PN60」の消費電力は、アイドル時はノートPCより高いものの、最大値はそれほど高くありません。

アイドル時は動作周波数は全コア399MHzまで落ちているのですが、何が電気を食っているんだろう…メモリかな…?

バッテリーを搭載しているわけではないので、充電電力+処理電力とならないのが、最大値が低い要因ですね。
それでもベンチマークアプリの起動の瞬間などは一瞬ですが50Wを超えることもあるので、65Wの電源アダプタは必要です。

▲「WATTCHECKER」のグラフですが、こんな感じに一瞬だけ跳ねています。

騒音(電源オフ)34.9dB
騒音(アイドル)40.6dB
騒音(最大)48.2dB

測定時間:深夜2時頃

騒音レベル[dB]音の大きさのめやす自室内の聞き騒音
うるさい70掃除機
騒々しい街頭
うるさい非常にうるさい
60普通の会話・チャイム
時速40キロの自動車の内部
非常に大きく聞こえうるさい
声を大きくすれば会話ができる
普通50エアコンの室外機
静かな事務所
日常生活で
望ましい範囲
大きく聞こえる
通常の会話は可能
40深夜の市内
図書館
多少大きく聞こえる
通常の会話は十分に可能
静か30ささやき声
深夜の郊外
静か非常に小さく聞こえる
20ささやき
木の葉のふれあう音
ほとんど聞こえない

前述のとおり、「PN60」の騒音は結構なものです。
48dBといえば、acerのゲーミングノート「Aspire 7 A715-72G-F58H」が同じくらいの音量です。

公式サイトではフルロード時34.2dB(Core i3モデル)とありますが、どのような条件での計測なんでしょう…
逆にレビューに使用した個体が、あちこちのレビュー試用で酷使・分解されて不調になっている可能性もありますが、判断は付きませんでした。

騒音を例えるならば、卓上のUSB扇風機くらいでしょうか。
音量としては同じくらいですが、扇風機がブオォーンと低音なのに対して、「PN60」はファアァーとやや高音なので、耳につきやすいです。

▲最大で6000rpmを超えるので、うるさくても当然ですね。

アイドル時は3000rpmくらいで、そのくらいなら隙間風のような音で気にならないレベルですが、ちょっと負荷をかけただけですぐに5000rpmくらいに跳ね上がります。
正直に言うと、卓上に置いて使用するには、ちょっとストレスになりそうです(特に普段は静音ノートを使っているので余計にうるさく感じます)。

▲試しに机の下の棚に置いてみました。

ここに置けるPCはそうそうないので、卓上も足元もすっきりします。これはいい。

机の下に置くと音量自体は一般的なデスクトップと同じくらいのになりましたが、高音気味なのでやっぱり気になりますね。

こればっかりはもうちょっとエアフローを考えて、静音で口径が大きく、大風量なファンにして欲しいとしか言えないです。

まとめ

115mm四方というサイズは本当に小さくて、眺めているだけでニヤニヤしてしまいます。
置き場所の選択肢も増えますし、気分は最高になります。本当、これで静かだったら…

冒頭にも書いたように、「PN60」はCore i5モデルとCore i7モデルが発売され、市場予想価格は以下のようになっています。

PN60-BB5087MH (Core i5-8250U):59,800円
PN60-BB7088MH (Core i7-8550U):73,800円

NUCとしては妥当な価格設定といったところでしょうか。
IntelのNUCシリーズのようにThunderbolt 3端子はありませんが、代わりにカスタマイズ可能な端子があることを考えると、トントンでしょう。

海外ではすでに第10世代かつConfigurable PortにThunderbolt 3を設定可能な「PN62」が発表されており、さらにアイドル時消費電力がかなり改善されているようです。
国内での発売はまだ先になるでしょうが、こちらもチェックですね。

関連リンク

Mini PC PN60:ASUS
Mini PC PN62:ASUS(※英語)

付録

ベンチマーク結果一覧

メーカーASUS
モデル名PN60
CPUCore i7-8550U
GPUUHD 620
メモリ32GB
ストレージ512GB M.2
PassMarkTotal3953.3
CPU Single2310
CPU Multi8654.9
2D780.2
3D1195.6
Memory2715.3
Disk20412.6
CPU-ZSingle419.6
Multi2146.6
GeekBench4Single4863
Multi13039
OpenCL26687
OpenCL(dGPU)
GeekBench5Single1120
Multi3203
OpenCL5654
OpenCL(dGPU)
CrystalMarkMark339580
ALU90941
FPU59873
MEM71503
HDD74314
GDI22200
D2D6520
OGL14229
CINEBENCH R15OpenGL52.58fps
CPU(M)476cd
CPU(S)163cd
CINEBENCH R20CPU(M)1146pts
CPU(S)384pts
PCMarkALL4087
Essensial9172
Productivity7117
DigitalContent2840
3DMarkTimeSpy413
Graphics360
CPU2709
FireStrike1134
Graphics1253
Phisics7458
Combined5386
NightRaid5253
Grapihics5386
CPU4612
SkyDiver4326
Graphic4070
Phisics6758
Combined4054
CloudGate8152
Graphics9609
Phisics5326
IceStorm64981
Graphics80139
Phisics39099
IceStormEX47206
Graphics50120
Phisics39226
IceStormUnlimited88217
Graphics109928
Phisics52161
VR Mark
DQ1280・標準9486
1920・最高4906
FF XIV
紅蓮
1280・標準3372
1920・最高1172
FF XIV
漆黒の反逆者
1280・標準3347
1920・最高1192
FF XV1280・標準970
1920・最高
MHF
大討伐
12805786
19202907
ブラウザjetstream2125.479
BaseMark524.64
WebXPRT206
MotionMark352.55
SpeedMeter2.096.3
octane45299

ベンチマーク結果画像

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