【レビュー】Wi-fi 6対応ルーターのBuffalo「WXR-5950AX12」は宅内LANが幸せになるかも

レビュー

がじぇっとりっぷでは以前よりIEEE802.11ax(Wi-fi 6)に注目しており、対応ルーターの価格がこなれてくるのを待っていたのですが、ようやく買い換えました。

無線LANルーターのレビューは一年ぶりですね。
「Nighthawk X4S R7800」も、ノートPCと1.7Gbpsで接続できる珍しい機種でした。

[レビュー] ギガWi-fi対応のNETGEAR「Nighthawk X4S R7800」は有線超えの夢を見るか

今回購入したのはタイトルのとおり、Buffalo「WXR-5950AX12」です。
「WXR-5950AX12」はハイエンドモデルで、なんだかんだで3万円台後半と高級な部類なのですが、マルチギガビット(特に10GbE)にも対応しているルーターが現時点で他にないので、これになりました。

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Buffalo WXR-5950AX12

準拠規格IEEE802.11ax
(5GHz:4803Mbps、2.4GHz:1147Mbps)
IEEE802.11ac (3466Mbps)
IEEE802.11n(1000Mbps)
IEEE802.11a/g (54Mbps)
IEEE802.11b(11Mbps)
有線LANLAN:10Gbps×1、1Gbps×3
INTERNET:10Gbps×1
USBUSB3.1 Gen1×1
バスパワー非対応
消費電力最大38W
サイズ300×195×75mm
重量1.580g

GoodPoint
高速な転送速度
遠距離の速度低下が少ない
10GbE搭載

BadPoint
起動が遅い
USBバスパワー非対応
動作が不安定なときがある

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外観

▲まずは外箱ですが、とにかくでかいです。

▲ティッシュボックスとNECのWi-fiルーターとの比較です。

NECとかELCOMとか量販店で山積みされているルーターの感覚でいると、受け取ったときに衝撃を受けるレベルです。

▲箱から取り出したところです。

過剰なくらいにクッションが効いていますが、アンテナという折れやすい部品がある以上、こうならざるを得ないのでしょう。

▲パッケージ内容は本体、スタンド、電源アダプタ、LANケーブル(1本)、マニュアルとなっています。

国内メーカーなので大量の紙類が入っていることを予想していたのですが、いい方向に裏切られました。

▲本体のアンテナを広げたところです。

上部の排気口にビニールでシールがされているので、外す必要があります。
外さないと熱がこもって動作が不安定になります(経験済み)。

なお、内部はファンレスとなっていて、煙突効果を利用した下部吸気、上部排気となっています。

▲アンテナ部のアップ。

根元側に5GHzアンテナ、先端側に2.4GHz/5GHzアンテナが内蔵されています。

▲スタンドは本体の下から差し込むタイプです。

スタンドを付けた姿はTOP画像に用いています。
スタンドを使うことで安定感が増すと同時に、下部にスペースが生まれて吸気がしやすくなる効果もあります。

▲本体とティッシュ箱の比較。

本体も、でかいです…

▲インターフェースは右サイドに集中しています。

10GbE対応ポートはWAN(Internet)とLANが1ポートづつです。LANの残り3ポートは1GbEとなっています。

「WXR-5950AX12」はBuffaloの最上位機種なのですが、USBはこの1ポートだけで、さらにはバスパワー(USBから給電)非対応となっています(この辺りは後述)。

▲左サイドはモード切り替えスイッチとリセットボタンのみです。

標準はAUTO・ROUTERになっています。
ブラウザからソフトウェア的に切り替えできるので、特にいじる必要はありません。

▲底面の吸気口です。

▲背面には接続パスワードとログインパスワードの書かれたカードが差し込まれています。

▲カードの裏面にはAOSSキーが書かれていました。

本体にも接続パスワード・ログインパスワードは印刷されているので、万が一カードをなくしても大丈夫なようにはなっています。

▲電源アダプタはメガネプラグで、どこか安っぽい感じでした。

ノートPC側の準備

「WXR-5950AX12」を存分に検証するためには、クライアント側もIEEE802.11ax(Wi-fi 6)に対応している必要があります。
ということで、メイン機の「Ideapad 720S」とサブ機の「ThinkPad X250」のWi-fiカードを換装します。

▲底板は100均の吸盤フックでがっぽりと外します。

なんだかんだこれが一番安定した開け方ですね。

▲内部はこんな感じ

左上にWi-fiカードが見えます。

▲サクッと交換して終了です。

ドライバはIntelからダウンロードしてきます。

インテル® Wi-Fi 6 AX200 (Gig+) ダウンロード、ドライバーおよびソフトウェア | インテル
インテル® Wi-Fi 6 AX200 (Gig+) -ドライバー、ソフトウェア、BIOS、およびファームウェアのアップデートを含むサポートリソースをダウンロード。

▲Windowsのアップデートをしろと怒られました。

全く予想していなかった地味なトラブルですね。

▲Windowsをアップデートしてインストール中

▲無事、2.4Gbpsで接続できるようになりました。

「ThinkPad X250」については、以前のレビュー記事で分解手順を公開しています。

[レビュー] 中古で購入したLenovo「Thinkpad X250」は強化すれば現役で十分通用しそう

なお、LinuxではAX200が使えるのはカーネル5.1以降(Ubuntuだと18.04以降)となるので、注意が必要です。

インテル® ワイヤレス・アダプターの Linux* サポート
Wi-Fi アダプターを含むインテル® ワイヤレス製品の Linux* ドライバー・サポートに関する情報。

操作

▲インターネットへの接続設定をしていない状態で「WXR-5950AX12」に接続すると、問答無用で接続設定画面が表示されます。

分かりやすくていいのですが、ネットに接続するまで毎回表示されるので、だんだん邪魔になってきます。

▲必要事項を入力して進むと、サクッと接続できました。

設定画面(簡易)

▲「WXR-5950AX12」にログインすると、簡易設定画面が表示されます。

▲「WXR-5950AX12」はWPA3に対応しており、2.4GHz・5GHzそれぞれでSSIDを二つづつ設定できます。

WPA3が選択できるのはSSID2のみになります。

▲個人的に面白かったのが”デバイスコントロール”です。

▲こんな感じで接続している端末のトラフィックを見ることができます。

がじぇっとりっぷの回線環境はADSLで最大で3Mbps前後しかないので、速度が妙に遅いと感じたときにここを見ると、スマホが自動ダウンロード中だったとか、家族がYouTubeか何かを見ているっぽいとかが分かります。

▲キッズタイマーはほぼ直感的に操作できるようになっています。

簡易設定画面ではキッズタイマーが一番作りこまれていたので、要望が多いんだろうなぁということがうかがえます。

▲Wake on Lanパケットも送れたりします。

設定画面(詳細)

▲簡易設定画面の右下から、詳細設定画面に移ることができます。

詳細設定画面で最初に表示されるのが、システム画面となります。

▲メニューを全部並べるとこんな感じ。

管理とステータスの両方に”ログ”がありますが、管理の方はログをサーバーに飛ばしたり保存したりする設定で、ステータスの方はブラウザ上にログを表示します。

▲ログはあまり見やすいとは言えません。

ログの意味については公式に一覧が用意されています。

ログの意味は何ですか(Wi-Fiアクセスポイント)
ログの意味は何ですか(Wi-Fiアクセスポイント)に関するFAQ。バッファローのサポートのコンテンツをご紹介。

▲無線LAN設定も、簡易設定に比べて設定可能項目が増えています。

▲トラフィックモニターは簡易設定とはまた違う視点から見ることができます。

ここの通信速度は見れませんが、接続状況がリアルタイムで見れるのは面白いです。

ベンチマーク

前置きが長くなりましたが、ようやく本編です。

Wi-fiルーターの性能を測ると言ったら、転送速度になるわけですが、がじぇっとりっぷでは過去に、ノートPCから1733Mbps接続ができる唯一のWi-fiルーターであるNETGEAR「Nighthawk X4S R7800」を購入、レビューしています。

[レビュー] ギガWi-fi対応のNETGEAR「Nighthawk X4S R7800」は有線超えの夢を見るか

今回はこの「Nighthawk X4S R7800」を比較対象として検証します。
なお、一般的なIEEE802.11ac対応ルーターは、ノートPC相手だと867Mbps止まりとなるので、半分程度のスコアで見るといいでしょう。

▲検証環境はこんな感じです。

本棚の上(だいたい2.2mくらい)に設置しています。
右にあるのがコンバーターで、左の箱はアダプターの埃除けです。

短距離(本棚の端っこギリギリ、約50cmの距離)と長距離(リビング-自室間、約10m)の2パターンの距離で計測しています。
なお、無線LANは5GHzのみ検証し、2.4GHzは検証していません。

10GbE間

まずは最速となる、10GbE間の計測です。

使用機材は以下です。
10GbE間計測は自室で行ったため、デスクトップ機が使用できています。

・DELL「Optiplex 5050」+10GbE PCIeボード
・Lenovo「Ideapad720S」+「QNA-T310G1T」

【レビュー】 QNAPのThunderbolt3 to 10GbE(10GBase-T) LANアダプター「QNA-T310G1T」の実力やいかに

ここで盲点だったというか、楽観視しすぎていたのが「WXR-5950AX12」の仕様です。
10GbEはWAN+LANとあるのに、両方につなげば通信できるだろうとか安易に考えていました。

結論から言うと、ブリッジモードにすれば両方をLANとして使用することができした。

使えるシーンが限られることが分かった10GbE間転送ですが、転送速度は1000MB/s超えと、問題のないレベルです。

▲転送速度をグラフで見ると9.9Gbpsまで出ているので、ロスはほとんどなさそうです。

有線-無線

ここからは前述の本棚の上に設置したため、デスクトップ機が使えず、有線側に以下の機材を用いています。

・TOPJOY「Falcon」+「QNA-UC5G1T」
・Lenovo「Ideapad720S」

【レビュー】 Topjoy「Falcon」はUMPCとしてコストと性能のバランスが取れた良機種でした
【レビュー】 USB3.0 to 5GbEなQNAP「QNA-UC5G1T」はレガシーPCによさげ

クライアント(Ideapad 720S)側が最大2.4Gbpsなので、上記の構成でも間に合います。

また、比較対象の「Nighthawk X4S R7800」は10GbEがないので、1GbEに接続しています。

▲近距離の比較です。

「Nighthawk X4S R7800」は1GbEの限界近くまで出ているものの、120MB/sには届いていません。
一方の「WXR-5950AX12」は200MB/sをオーバーしています。

▲転送速度グラフで見ても1.9Gbpsまで出ています。

無線LANは理論値の半分も出ればいい方と勝手に思っていたのですが、近距離とはいえ8割出るとは思いませんでした。

▲遠距離の比較です。

「Nighthawk X4S R7800」の50MB/sでも使えるレベルですが、「WXR-5950AX12」では80MB/sを超えています。
これならHDD程度の感覚で使えますし、4Kランダム(下3段)はHDDよりスコアが高いので、結構快適にいけそうです。

無線-無線

最後は無線LAN間での通信速度です。使用機材は以下で、どちらもWi-fiカードは「Intel AX200」を使用しています。

・Lenovo「ThinkPad X250」
・Lenovo「Ideapad720S」

▲どちらも近距離に配置した場合

どちらも近距離(ルーターから約50cm)だと、「Nighthawk X4S R7800」でも70MB/s近く出ています。「WXR-5950AX12」だと90MB/s弱ですね。
どちらのルーターも転送速度は実用レベルですが、配置があまり実用的ではないので、参考程度ですね。

▲片方を遠距離にした場合

「ThinkPad X250」をルーターのそば(約50cm)、「Ideapad720S」を自室(約10m)で計測したパターンです。
さすがにどちらも近距離なパターンよりは速度が落ち込んでいます。

▲どちらも遠距離にした場合

「ThinkPad X250」と「Ideapad720S」のどちらも自室に置いたパターンです。
「Nighthawk X4S R7800」は20MB/s台と、かなり速度が低くなりました。
一方で「WXR-5950AX12」は速度の落ち込みが少なく、60MB/s台で転送できます。

これにはちょっと驚きました。
これだけ速度が出るのならば、NASはルーターのそばに置くものというこれまでのスタイルを変えてもいいかもしれません。

USBについて

前述のとおり、「WXR-5950AX12」のUSBはバスパワー非対応です。
当然、モバイルHDDやモバイルSSDはつないでも認識しません(正確には一瞬だけ認識するものの電力不足ですぐに切れる)。

なら、必要電力の少ないUSBメモリならいけるかなと手持ちで試したら、一部は認識できるという結果になりました。

がじぇっとりっぷが好んで使うシリコンパワー「Blaze B02」は認識できず。

ADATA「AUV128-32G」は認識しました。

「Blaze B02」はLEDが組み込まれていて、接続状態が分かるようになっているのですが、これが分かれ目なのかなぁと。
せっかくのフラッグシップモデルなのだから、バスパワーくらい対応してほしいものです…

まとめ

Buffaloのフラッグシップモデルである「WXR-5950AX12」は、IEEE802.11ax(Wi-fi 6)の性能を存分に確かめることができました。
ただ、まったくのトラブル知らずというわけでもなく、そのことについては別途記事にする予定です。

がじぇっとりっぷが遭遇したトラブルとしては以下のようなものがあります。
・チャンネルかぶりで低速に
・内部の処理落ち?で低速に
・ファイル転送中に突然再起動

5万円弱だった価格もこなれてきて、今では3万円強と手の届きやすい価格帯まで落ちてきています。
トラブルもありますが、宅内LAN環境の見直しにはちょうどいいルーターと言えます。

Buffaloは先日Wi-fi 6対応ルーターの拡充を発表したので、そちらでもいいかもしれませんね。

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