時期は不明ですが(海外のIT系ニュースに登場したのは2020年9月24日ころ)、産業向けPC・組み込みボードを製造するAvalue Technology Inc.は、Elkhart Lakeを搭載した3.5インチHDDサイズ(146×101mm)のSBC「ECM-EHL」の製品ページを公開しています。
スペック
モデル名 | ECM-EHL |
---|---|
メーカー | Avalue |
発売日 | 2021/1Q |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | Elkhart Lake (Pentium/Celeron/Atom) |
GPU | 11th UHD |
NPU | – |
メモリー | DDR4-3200(1slot) |
サポートOS | Windows 10 Linux |
有線LAN | 2.5GbE x 1 1GbE x 1 |
Wi-fi | M.2 Key-E |
Bluetooth | – |
チップ | ITE IT5571 Realtek AC892 Intel I225LM Intel I225IT |
ストレージ | SATA x 1 M.2 Key-B x 1 |
USB | 3.1(Gen2) x 2 2.0 x 4 |
GPIO | 20pin x 1 |
映像 | HDMI(2.0b) x 1 DP(1.4a) x 1 eDP(1.3) x 1 |
カメラ | – |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | LVDS x 1 RS-422/485 x 1 RS232 x 3 |
消費電力 | |
電源 | DC 12/24V(ATX) |
幅 | 146mm |
奥行き | 101mm |
高さ | |
その他 | 重さ:0.2kg 各種耐久テスト |
特徴
Elkhart Lakeはつい先日に発表されたばかりの、Atom系の産業・組み込み向けの最新CPUです。
アーキテクチャが第7世代”Tremont”となり、10nmプロセスでの製造、第11世代グラフィック、2.5GbE対応、PCIe3.0が8レーン(ここ重要!)と、Apollo Lake、Gemini Lakeから中身は一気に更新されています。
今後Elkhart Lakeのコンシューマー版である「Jasper Lake」が発表されるはずで、実は大いに期待していたりします。
Jasper Lakeが発表されたら現在のGemini Lakeが搭載されたノートやミニPCはJasper Lakeに置き換えられるでしょう。
で、そのElkhart Lakeを搭載したSBCが「ECM-EHL」です。
記事執筆時点でElkhart Lake搭載SBCを発表しているのは「ECM-EHL」とcongatecくらいしかないのですが、congatecの製品はモジュール式が多く、単体動作するSBCはイメージ画像しかないので今回は取り上げません。
「ECM-EHL」はElkhart Lakeを搭載したことで、これまでのSBCに比べて相当のパワーアップを果たしています。
まず、メモリが正式に32GBまで対応しました。
一応これまでのApollo Lake、Gemini Lakeも32GBまで認識できてはいたのですが仕様上は8GBまでで、それ以上は自己責任だったので、これが明記されるようになったことは大きいです。
また、メモリ規格もDDR4-3200に対応し(Gemini LakeはDDR4-2400まで)、メモリの段階から高速化を計れます。
次に有線LANです。
Elkhart Lakeは2.5GbEに対応しているので、LANポート構成が2.5GbE+1GbEとなりました。
これまでのSBCでマルチギガビット(1GbEより上)に対応しているものは少なく、例えば「ODROID-H2+」はPCIeレーンを消費して2.5GbEに対応していました。
「ECM-EHL」ではPCIeはM.2スロットに使われています。
Wi-fi用のKey Eに1レーン、ストレージ用のKey B(2242/3042サイズ)に2レーンが割り当てられており、仕様表を見る限りだと残りは未使用に見えますが、内部でどこかに割り当てられているのかもしれません。
ストレージは前述のM.2 Key Bの他にSATAポートが一つ搭載されています。
地味に進歩しているのがUSBです。
Elkhart LakeからUSB3.1に対応したため、転送速度が10GbpsのUSB3.1 Gen2が2ポート用意されました。
Elkhart Lake自体はUSB Type-Cにも対応しているのですが、「ECM-EHL」では実装しなかったようです。
なお、USB2.0も4ポート用意されています。
グラフィックも進歩していて、トリプルディスプレイ対応はGemini Lakeと変わりませんが、すべて4K/60Hz出力が可能となりました。
「ECM-EHL」の映像出力はHDMI2.0b、DisplayPort1.4a、eDP1.3です。LVDS(最近はeDPに置き換えられた古い規格)もありますが、こちらは仕様が公開されていません(が、おそらく4Kは無理と思われます)。
トリプル4Kの実現はeDPを何とか使う必要がありますが、組み込み用途であれば問題なく使えるでしょう。
「ECM-EHL」で公開されている画像は、現時点ではTOP画像にも使ったこの一枚だけです。画像があるだけマシですが…
電源は右下のATX4ピンです。対応電圧は9~36V(標準12/24V)です
USB PD給電にすればいいのにと思わなくもないですが、産業向けなので安定の度合いを考えればこれでいいのでしょう。
DIO(GPIO)も20ピンあるようですが、この画像だけではどれなのか判断は難しいです。
シリアルポートを持っており、RS-422/485を1ポート、RS232を3ポート搭載しています。
おそらくは画像の左に並んだピンヘッダがこれにあたるものと思われます。
産業用なのでMILスペックではありませんが各種テストをパスしています。
振動テスト:1.5Grms, IEC 60068-2-64, Random, 5 ~ 500Hz, 30min/Axis, 3 Axis
衝撃テスト:10G, IEC 60068-2-27, Half Sine, 11ms, Z Axis
落下テスト:ISTA 2A, IEC-60068-2-32 Test : Ed, 1 Corner, 3 Edges, 6 Faces
また、動作環境もかなり幅広くなっています。
標準動作温度: 0℃~60℃ with 0.2m/s air flow
拡張動作温度: -40℃~85℃ with 0.5m/s air flow
動作湿度:40℃ @ 95% Relative Humidity, Non-condensing
まとめ
「ECM-EHL」は20201年Q1発売予定で、記事執筆時点では価格も非公開です。これはcongatecも同様です。
Elkhart Lake(もしくはJasper Lake)搭載機が手に入るようになるのはまだ先ですが、このように開発が進んでいるという情報があるのは重要です。
個人的には期待しているプロセッサなので、もっと増えてくれると嬉しいですね。
ちなみに…
「ECM-EHL」は7月30日にはGoogleが巡回しているようなのですが、ダミーページでもあったのでしょうか?
関連リンク
ECM-EHL:Avalue ※英語
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