がじぇっとりっぷではASUSのミニPCについて良くレビューしています。
今回は2020年11月18日に国内発売されたばかりの「PN62」を、ASUS様よりお借りできましたので、レビューしていきたいと思います。
機材をお貸しいただいたASUS様にはこの場にて御礼申し上げます。
今回のレビューは2回に分けてお届けします。
ASUS PN62
CPU | Core i7-10510U |
---|---|
メモリ | SO-DIMM DDR4-2666(最大64GB) |
ストレージ | M.2 + 25インチ |
USB | Type-C(TB3)×1 Type-C(Gen1)×2 3.0×3 |
映像出力 | HDMI×1 |
wi-fi | 802.11ax+BT5.0 |
サイズ | 115×115×49mm |
重さ | 0.7kg |
GoodPoint
✔ ついにTB3搭載
✔ 変わらないコンパクト感
✔ USB PDなど機能が増えている
BadPoint
✖ 性能は前世代から微増にとどまる
✖ 相変わらずうるさい
TB3は、あれば10GbEにも対応できるし、eGPU(GPU BOX)でグラフィック性能にブーストを掛けられるしと、一度使ってその便利さを体験すると、ないと困るようになるくらいなので、ようやく出たかという感じです。
ハードウェア
パッケージ
▲パッケージ全体です。
ASUS製品は余計なものはないのに、割と内容物が多く見えます。
付属品
▲マニュアルとドライバCD
▲電源アダプタは65mm角で90Wタイプです。
▲VESAマウンタとネジ類
VESAマウンタはシンプルなプレートで、「PN50」の時のような簡易ロック機構はありません。
インターフェース
▲正面です。
Type-C端子はUSB3.2 Gen2対応ですが、DisplayPort出力対応マークはありません。
先代の「PN60」と比べるとUSB2.0端子がなくなって、赤外線(IR)レシーバーになっています。
分かりにくいですが、microSDスロットと同じ高さの左右にマイクがあり、マイク穴が開いています。
▲背面です。
Configurable portがThunderbolt 3です!日本向けはデフォルトでTB3が搭載されます。
もう一つのType-C端子ははUSB3.2 Gen1止まりですがDisplayPort出力(DP1.2)に対応しています。
また、USB PDにも対応しており、65W出力以上のUSB充電器を用いれば、電源アダプタを使わずともType-C給電で起動することができます。
▲TB3のDisplayPort出力と合わせると、モバイルディスプレイをケーブル1本で表示でき、こんな感じでシンプルに。
仕様上はデュアルディスプレイまでとなっていますが、HDMI+Type-C to DP+デイジーチェーンでのトリプルディスプレイも可能とのことでした。
▲サイドです。
両サイドともに吸気口があり、右サイドにはセキュリティスロットがついています。
▲天面にはヘアライン加工が施されています。
▲底面には本体の認証情報がシールで貼られています。
また、吸気口が大きくあけられています。
重量
▲本体の重量は513g、電源アダプタは348gでした。
分解・内部構造
▲4隅のネジを外すことで、本体を開けることができます。
ふた側には2.5インチストレージ用のスロットがあります。
▲SATAコネクタとWi-fiカード
Wi-fiは802.11ax(Wi-fi 6)対応のIntel AX200カードが標準で搭載されています。
▲Thunderbolt 3のオプションボード
内部幅いっぱいの基板に実装されており、リボンケーブルを2本も使っています。
奥に見えるのがM.2ストレージスロットですが、基板の陰になってしまっていて、挿すときに少し手間取りました。
▲天面側とのすきま
この隙間から空気が吸い込まれ、天面側にあるCPUファンから排気されます。
Wi-fiカードの奥などに切り欠きがあり、吸気量を確保しています。この切り欠きが「PN60」や「PN50」にあったかは確認していませんでした。
▲メモリとストレージを搭載したところ。
DDR4-3200対応メモリを使っていますが、「PN62」はDDR4-2666までの対応です。
※16GB×2がAmazon取り扱いがなかったので、8GB×2を表示しています。
システム
起動前
▲BIOS(UEFI)画面はグラフィカル
ASUS製品はBIOS(UEFI)画面がグラフィカルだったり旧BIOSスタイルだったり、基準が良く分かりません。
▲8か国語(中国語は2種)に対応しています。
▲温度やファンスピードを見ることもできます。
▲Windowsインストール中
「PN62」にはOSは付いてこないので、各自で用意する必要があります。
がじぇっとりっぷはメディアクリエーションツールで作成したUSBインストールメディアを使用しました。
システム情報
▲システム情報
Core i7-10510Uに、メモリも32GBを認識しています。
▲HWiNFOでのCPUとグラフィックの情報
グラフィックはUHD Graphicsです。
▲マザーボード名は「PN62」です。
▲再起動直後のメモリ使用量
メモリはDDR4-2666相当として認識されています。
ドライバ
▲CDからドライバをインストールしていきます。
▲全部インストールできていますが
▲ネットワークドライバだけインストールできませんでした。
▲CDに直接アクセス(CD:\Drivers\LAN\Intel_I219\Windows_Drivers\AsusSetup.exe)して
▲直接ネットワークドライバをインストールすることで解決します。
▲無事、ドライバ(I219-V)が適用されました。
出荷時期によっては同様の現象が発生する旧版のDVDが付属する場合があります。
ストレージ
▲CrystalDiskInfo
割と温度の上がりやすいSSDなので、見ての通り、すでに温度が高いです。
▲CrystalDiskMark
シーケンシャルライトがいまいちふるいません(本来は2000MB/sを超えます)。
「PN62」はM.2 SSDの温度も監視してファンの回転速度を調整するようになったそうですが、どうも冷却しきれてないようです。
ベンチマーク
レビュー機のスペック
対象アプリ一覧
PassMark 9.0
CPU-Z
Geekbench 4.4.2
Geekbench 5.0.1
CrystalMark 2004R7 v0.9.200.452
CINEBENCH R15.0
CINEBENCH R20
CINEBENCH R23
PCMark 10
3D Mark v2.0.6762
DQ X ベンチマーク v1.51
FF XIV 紅蓮の解放者
FF XIV 漆黒の反逆者
FF XV v1.2
MonsterHunter Frontier 大討伐
jetstream 2
BaseMark
WebXPRT
MotionMark
SpeedMeter2.0
octane
※ベンチマーク条件
■ ゲーム
DQ Xは1280×720・標準、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XIV(紅蓮/漆黒)は1280×720・高品質(ノート)、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XVは1280×720・標準のみ
■ 騒音
対象機材の端、またはヒンジから30cmの位置
結果総覧
全体的に先代の「PN60」(Core i7-8550Uモデル)より数%向上していますが、劇的に伸びたという部分はありません。
「PN60」の時もでしたが、平均よりスコアが高く、かなりパフォーマンス重視の最適化がなされているようです。
グラフィックについてはドライバなのか、そういう最適化がなされたのか、DirectX 10以降のベンチマークはスコアが伸びているのに、DirectX 9で動く「3DMark Ice Storm」のみスコアが下がっています。
CPU
CPUの処理性能については同じIntel第10世代のCore i7-1065G7と同等まできています。
平均スコアと比べると3割近く高いスコアなので、相当なパフォーマンス寄りのチューニングですね。
一方で、Ryzen 5 4500Uを搭載した「PN50」にはかなり水を開けられています。ただし「PN50」にはThunderbolt 3がありませんので、一概に「PN50」優位とは言えません。
第11世代Tiger Lakeではだいぶ追いつくので、次世代モデルに期待ですね。
GPU
3DMark FireStrike
グラフィックスコアはUHDシリーズに準じたスコアで、特に低くも高くもありません。
ただしグラフィックについては「PN62」はTB3端子を使ってGPU BOXで補うという方法が使えます。
[軽量級] DQベンチマーク
軽量級のDQベンチマークでは、ちょうど評価の境目付近だったため、Core i7-8550Uの「PN60」より低解像度・高解像度ともに1段階ずつ評価が上がっています。
[中量級] FF XIV 紅蓮の解放者
中量級のFF XIVでも数%のスコア向上を果たしていますが、評価が変わるほどではありませんでした。
[重量級] FF XV Windowsエディション
重量級のFF XVでは1割ほどスコアが向上し、3桁から4桁になりました。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力
アイドル時 | 10.9W |
---|---|
画面オフ時 | 9.4W |
スリープ時 | 9.4W |
CINEBENCH(S) | 27.9W |
CINEBENCH(M) | 28.8W 瞬間最大80.1W |
最大 | 32.7W 瞬間最大80.4W |
「PN62」の消費電力は「PN60」と比較してやや低くなっていますが、瞬間最大消費電力は80Wを超えてきました。さすが、電源アダプタが90Wになっただけはあります。
といっても、瞬間最大なのはほんの5秒程度で、その後は最大でも32W台まで落ち込みますし、負荷時の消費電力は「PN60」に比べてわずかながら下がっています。
スコアの向上と合わせて、ワットパフォーマンスは1割程度伸びているんじゃないでしょうか。
あと、スリープモードではなぜかスリープしなかったので、消費電力が高いままです。多分、ソフト側の問題と思われます。
騒音
状況 | 音量 | 聞こえ方 |
---|---|---|
電源オフ | 35.5dB | |
アイドル | 35.8dB | 耳を近づけないと聞こえない |
最大 | 47.2dB | 多少うるさくてもファンの音が聞こえる |
最大(背面) | 50.5dB | USB扇風機のような音 |
騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
---|---|---|---|
うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 | 非常にうるさい |
60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 | 非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる | |
普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 | 大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
40 | 深夜の市内 図書館 | 多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 | |
静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 | 非常に小さく聞こえる |
20 | ささやき 木の葉のふれあう音 | ほとんど聞こえない |
騒音は、割とうるさいです。
元々がパフォーマンス重視でチューニングされているからか、ちょっとした負荷でもすぐにファンが回転します。
また「PN62」はM.2 SSDの温度もファンの回転の制御に使うようになっています。
割と熱くなりやすいSSDを使っているため、負荷をかけた後はしばらくファンが回りっぱなしになりますが、エアフローの問題か、なかなかSSDが冷えずにファンが回りっぱなしになります(この時はゆるゆるなので38~40dB程度です)。
よく見たら公式情報も「PN60」の34.2dB(Core i3-8130U)から、37.8dB(Core i7-10510U)に騒音値が上がっているんですよね。
まとめ
「PN62」は「PN60」に比べて性能面での向上は微増にとどまっていますが、USB PD給電に対応したり、Type-Cケーブル一本でモバイルディスプレイに表示できるようになっていたり、Thunderbolt 3端子を搭載したりと、機能面ではかなりアップデートされています。
価格については公式ストアで、Core i5-10210Uモデルが56,182円(税込み61,800円)、Core i7-10510Uモデルが68,909円(税込み75,800円)です。
これまでTB3搭載ミニPCと言えばIntel純正NUCかAppleのMac Miniくらいしかなかったので、選択肢が増えたのは純粋に喜ばしいことです
最近では第11世代Tiger Lakeを搭載したThunderbolt 4/USB 4.0対応ミニPCが発表されていますが、記事執筆時点では国内発売が予定された機種すらありません。
現時点でIntel以外のTB3搭載Windows機としては、選択肢としてアリだと思います。
↓ レビューの続きはこちら
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
メーカー | ASUS | |
---|---|---|
モデル名 | PN62 | |
CPU | Core i7-10510U | |
GPU | UHD 630 | |
メモリ | 32GB | |
ストレージ | 512GB M.2 | |
PassMark | Total | 4031.2 |
CPU Single | 2539 | |
CPU Multi | 9058.1 | |
2D | 746.7 | |
3D | 1300.8 | |
Memory | 2910.2 | |
Disk | 14742.9 | |
CPU-Z | Single | 404.6 |
Multi | 2366.9 | |
GeekBench4 | Single | 5690 |
Multi | 18278 | |
OpenCL | 26427 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
GeekBench5 | Single | 1292 |
Multi | 3343 | |
OpenCL | 5967 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
CrystalMark | Mark | 368087 |
ALU | 96056 | |
FPU | 65121 | |
MEM | 88407 | |
HDD | 78158 | |
GDI | 19890 | |
D2D | 6058 | |
OGL | 14397 | |
CINEBENCH R15 | OpenGL | 53.11fps |
CPU(M) | 502cd | |
CPU(S) | 170cd | |
CINEBENCH R20 | CPU(M) | 1157pts |
CPU(S) | 406pts | |
CINEBENCH R23 | CPU(M) | 2964pts |
CPU(S) | 1046pts | |
PCMark | ALL | 4290 |
Essensial | 9361 | |
Productivity | 7664 | |
DigitalContent | 2987 | |
3DMark | TimeSpy | 457 |
Graphics | 399 | |
CPU | 2711 | |
FireStrike | 1162 | |
Graphics | 1285 | |
Phisics | 7823 | |
Combined | 388 | |
NightRaid | 5536 | |
Grapihics | 5735 | |
CPU | 4630 | |
SkyDiver | 4450 | |
Graphic | 4186 | |
Phisics | 6938 | |
Combined | 4180 | |
CloudGate | 8484 | |
Graphics | 9952 | |
Phisics | 5596 | |
IceStorm | 64580 | |
Graphics | 73116 | |
Phisics | 45847 | |
IceStormEX | 44884 | |
Graphics | 44668 | |
Phisics | 45660 | |
IceStormUnlimited | 83636 | |
Graphics | 102276 | |
Phisics | 51065 | |
VRMARK | 738 | |
DQ(DX9) | 1280・標準 | 10247 すごく快適 |
1920・最高 | 5045 快適 | |
FF XIV(DX11) 紅蓮 | 1280・標準 | 3243 やや快適 |
1920・最高 | 1208 設定変更 | |
FF XIV(DX11) 漆黒の反逆者 | 1280・標準 | 3400 やや快適 |
1920・最高 | 1241 設定変更 | |
FF XV(DX11) | 1280・標準 | 1075 動作困難 |
1920・最高 | – | |
MHF(DX10) 大討伐 | 1280 | 5937 |
1920 | 2932 | |
ブラウザ | jetstream2 | 148.92 |
BaseMark | 737.92 | |
WebXPRT | 225 | |
MotionMark | 304.24 | |
SpeedMeter2.0 | 105 | |
octane | 48426 |
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