SBC?PC? UP Board「UP Xtreme i11 Edge」はAI Readyな12cm角のTigerLake搭載ボード

シングルボード

2020年11月19日、AAEON(本社:台湾)はIntel第11世代Core CPU(コードネーム:Tiger Lake)をオンボード搭載したAIボード「UP Xtreme i11 Edge」およびシステムキット「UP Xtreme i11 Edge Compute Enabling Kit」を発表いたしました。

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スペック

■UP Xtreme i11 Edge
CPUCore i7-1185G7E
Core i5-1145G7E
Core i3-1115G4E
Celeron 6305E
メモリSO-DIMM DDR4-3200×2
ストレージM.2 2280+SATA
インターフェースType-C(USB4)×1
3.2 Gen2×4
HDMI 2.0b
DisplayPort 1.4
2.5GbE+1GbE
wi-fiM.2 2230
サイズ152×124×66.5mm
重さ2.3kg

UP Xtreme i11 Edge

「UP Xtreme i11 Edge」はNUC規格よりちょっと大きい、120×122mmのオンボードマザボです。

GPIOを持っているのでがじぇっとりっぷ分類ではSBC(シングルボードコンピューター)にしていますが、メモリが非オンボード(ボード単体で完結していない)ので実態はGPIO付きPCと呼んだ方がいいのかもしれません。

なお、GPIOは「Altera Max V」というFPGAチップを経由しています。

冒頭にも書いたように、「UP Xtreme i11 Edge」はTiger Lakeを搭載していますが、もっと正確に言うと、SKUの末尾に”E”の付いた、組み込み向けTiger Lakeとなります。

Atom再び。 Intelが組み込み向けの「Elkhart Lake」および「Tiger Lake」を発表

一般向けと組み込み向けでは、組み込みでは必要のない機能がいくつか省かれているほか、動作温度の範囲が定義されています。

メモリはSO-DIMM DDR4-3200×2で最大64GB、ストレージはM.2+SATAのデュアルストレージが可能です。
小型PCにあるようなリボンケーブル端子ではなく、マザーボードにあるようなSATA端子なので3.5インチHDDでも行けそうな雰囲気ですが、筐体のサイズからして2.5インチのみの対応になっていそうです。

その他の特徴を説明する前に、まずはインターフェースを見ましょう。

1.RTCバッテリーコネクタ
2.2.5GbE RJ45
3.1GbE RJ45
4.ディスプレイポート
5.HDMI 2.0b
6.USB3.2 Gen2
7.12V DC-in
8.電源ボタン
9.電源モードジャンパー
10.SATA端子
11.SATA電源(5V/12V)
12.電源ピンヘッダ
13.40pin GPIO
14.DDR4 SO-DIMM
15.オーディオジャック
16.USB4.0(Type-C)
17.BIOSヘッダ
18.10pin RS232/422/485ヘッダ
19.10pin RS232/422/485ヘッダ
20.PCIe[x4]スロット
21.M.2 3052 B-Key
22.M.2 2230 E-Key
23.M.2 2280 M-Key
24.CPU

インターフェースだけでいろいろと盛りだくさんなわけですが、まずはPCIeから。

PCIeスロットといえば汎用規格だとMini-ITX(170×170mm)で1本で、それ以下だとスロット自体がないのが一般的ですが、「UP Xtreme i11 Edge」ではNUCより一回り大きい程度のサイズでありながら、PCIeスロットが用意されています。

というか、モバイル向けCPUベースでPCIeスロットを生やすって、割と無茶苦茶な気が…

なお、資料にもブロックダイアグラム図にも、PCIeのバージョンは書かれていません(多分PCIe3.0でしょうが)。

次にネットワークです。

「UP Xtreme i11 Edge」の有線LANは2.5GbE+1GbE構成となっています。
Wi-fiは後付けで、M.2 2230スロットが用意されています。
さらに番号は降られていませんがPCIeスロットの横にSIMスロット(MicroSIM)が見えるので、背面のM.2 3052スロットにLTE/5Gカードを挿すことで、LTEや5G対応にすることもできます。

5G対応って、できるボードが少ないので、地味に貴重です。

USBは前面にUSB4(Type-C)、背面にUSB3.2 Gen2(Type-A)×4です。
Thunderbolt 3/4には非対応ですが、用途的に求めるところではないのでまぁいいんじゃないかと。

ただ、USB PD対応端子が背面にあったら電源面では楽になったのになぁとは思います。

映像出力はHDMI(2.0b)+DisplayPort(1.4)ですが、Type-C端子からのDP出力が可能です。
また、番号が振られていないのですがCPU面の左端にeDP端子(4K@60Hz対応)が付いています。

CPU面のM.2 3052スロットは4G/5Gカード以外に、AIアクセラレータを搭載することもできます(筐体に収めるのは無理そうですが…)
画像で使用されているのは「UP AI Core XM 2280」で、Intel® Movidius™ Myriad™ X VPU 2485が2チップと8GB(4GB×2)のメモリ搭載されています。

Access Denied

Intelでは第10世代Ice LakeからエッジAI向け拡張を導入しており、Tiger Lakeからは第2世代アクセラレータ(GNA)と、GPU向けにもDP4A(FP32をINT8に置き換えて推論処理を行なう)命令に対応し、名実ともにAI Readyとなり、画像解析や高画質化補正などで力を発揮しています。

【いま、ここにあるエッジAI】 エッジAIの性能はCPUで数十倍も変わる。ベンチマークで確認【その1】
 「いま、ここにあるエッジAI」の連載では、マシンラーニング(機械学習)やディープラーニング(深層学習)の推論(インファレンス)をCPUやGPU、NPUなどのローカルプロセッサを利用して行なうAI処理(エッジAIと呼ぶ)に対応した新しいアプリケーションを紹介してきた。Adobe Photoshop、Topaz Labs

Intel Xeは発表資料によると、INT8計算で8.29TOPsとなっています。
「UP AI Core XM 2280」は4TOPs×2なので、AI演算能力が2倍になるイメージで良さそうです。

参考:Tiger Lake発表資料 ※PDF

こんな感じで、「UP Xtreme i11 Edge」は一般的なマザーボードの基本を押さえつつ、GPIOだったりM.2 3052だったりeDPだったりと、一般的じゃないところまで押さえた、マニアックな仕上がりとなっています。

UP Xtreme i11 Edge Compute Enabling Kit

「UP Xtreme i11 Edge Compute Enabling Kit」は「UP Xtreme i11 Edge」に筐体と電源を追加したシステムです。

筐体サイズは152×124×66.5mmなので、ASUS「PN62」をちょっと高くして横に伸ばしたくらいですね。ギリギリ手のひらに乗るサイズです。

【レビュー】 ASUS PN62:性能上昇はわずかながらTB3が使えるようになったミニPC

筐体はヒートシンク一体型で、GPIOとシリアルポートは引き出されますが、PCIeは使えなくなります。

まとめ

「UP Xtreme i11 Edge」は2021年1Q発売となっており、現時点では発売日及び価格は不明です。

参考までに、前世代となる「UP Xtreme Edge」(メモリオンボード)は、Celeron 4305UE/4GB RAM/64GB eMMCで299ドル、Core i5-8365UE/8GB RAM/64GB eMMCで739ドル、メモリスロットのある「UP Xtreme Lite」はCore i5-8265Uモデルが599ドルとなっています。

なのでこの辺りから推測すると、「UP Xtreme i11 Edge」のCeleronモデルは250~300ドル、Core i5モデルで600~700ドルくらいになりそうです。

ボードとしては高価ですが、CPU込みの価格なので、大手のノートPCからディスプレイと筐体、バッテリーを差し引いたくらいと考えれば、こんなもんかなという気もします。

関連リンク

UP Xtreme i11 Edge Compute Enabling Kit:UP Board

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