2021年6月15日、オープンソースコミュニティのPINE64はRockchip RK3566を搭載したSBC「QUARTZ64 Model-A」の販売を開始いたしました。
「QUARTZ64 Model-A」の存在自体は2021年2月の月例報告で発表されていましたが、4か月を経ての発売となります。
スペック
■QUARTZ64 Model-A | |
CPU | Rockchip RK3566 |
---|---|
メモリ | 4/8GB LPDDR4 |
ストレージ | eMMC microSD |
インターフェース | USB 3.0×1 USB 2.0×3 HDMI 1GbE有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | オプション |
サイズ | 133×80×19mm |
モデル名 | QUARTZ64 Model-A |
---|---|
メーカー | PINE64 |
発売日 | 2021/06 |
価格 | 59.99ドル(4GB) 79.99ドル(8GB) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3566 (4コア) (1.8GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G52 2EE |
NPU | 0.8TOPS |
メモリー | 2〜8GB LPDDR4 |
サポートOS | |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | △ |
Bluetooth | △ |
チップ | RTL8211 GT911 |
ストレージ | microSD SATA ×1 eMMCソケット |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 3 |
GPIO | 20pin x 1 |
映像 | HDMI(4K/60Hz) eDP(2.5K/60Hz) MIPI DSI(2.5K/60Hz) x 1 E-INK |
カメラ | MIPI CSI x 1 |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | PCIe 2.0 x1 タッチパネル |
消費電力 | |
電源 | DC 12V |
幅 | 133mm |
奥行き | 80mm |
高さ | 19mm |
その他 |
特徴
SoCについて
冒頭にも記載したように、「QUARTZ64 Model-A」はRockchip社のRK3566を搭載しています。
構成としては4コアのCortex-A55(1.8GHz駆動)に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
RK3566の兄貴分的なところにRK3568があり、似たようなスペックながらインターフェースがマシマシになっています。
まぁ、CPU・GPU部分は同じなので、処理性能の面では変わらないのですが。
Rockchip RK3566 | Rockchip RK3568 | |
---|---|---|
CPU | Quad-core Cortex-A55 | |
GPU | Mali-G52 2EE | |
NPU | 0.8 TOPS | |
メモリ | DDR3/DDR3L/DDR4 LPDDR3/LPDDR4/LPDDR4X | |
ECC対応 | × | ○(DDR3/DDR3L/DDR4) |
ストレージ | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 8K OTP | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 x3 8K OTP |
映像出力 | デュアルディスプレイ | トリプルディスプレイ |
ネットワーク | Gigabit Ethernet (GMAC) x1 | Gigabit Ethernet (GMAC) x2 QSGMII |
USB | USB 2.0 host x2 USB 2.0 OTG x1 USB 3.0 host | USB 2.0 host x2 USB 3.0/2.0 OTG USB 3.0 host |
PCIe | PCIe 2.1 1×1 lane | PCIe 2.1 1×1 lane PCIe 3.0 1×2 lane or 2x 1-lane |
その他 I/Os | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x2 | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x8 CAN FD x3 |
パッケージ | FCCSP565L (15.5mm x 14.4mm) | FCBGA636L (19mm x 19mm) |
RK3568を搭載したSBCとしては以前にFirefly「ROC-RK3568-PC」を紹介しています。
メモリ・ストレージ
現在販売されている「QUARTZ64 Model-A」は、メモリが4GBか8GBとなっています。2GBもあるようですが、まだ販売はされていません。
ストレージはなく、microSDのほか、eMMCスロット、SATAポートが用意されています。
その他
「QUARTZ64 Model-A」は開発ボードの類となるため、RK3566の持つインターフェースを一通り引き出しています。この辺りはかつての「RockPro64」を彷彿とさせます。
Wi-fiは標準では非搭載で「ROCKPro64」用のWi-fiモジュールが使えます。
インターフェース
公式の画像に分かる範囲でインターフェース名を書き込んだものが上の画像です。
PCIeはx4スロットですが内部的にはPCIe2.1 x1です。RK3568であればPCIe3.0 x2ができたのでしょうが、言っても仕方ないですね…
右上にはファン、スピーカー、リチウムイオンバッテリー用のコネクタが並んでいます。SBCによってあったりなかったりするピンなので(あるいはGPIOから出力する)、専用で用意されているのは分かりやすいです。
面白いところではE-INKディスプレイ用のコネクタがあります。
ターゲットとしているのは10.3インチ1404×1872の「ES103TC1」というモデルのようで、下の画像は試作機での動作の様子です。
E-INKパネルについてはPine64内では販売されておらず、AliExpressで売られています。
E-INKコネクタについてはこれ以上のことが書かれていませんが、おそらく「ES103TC1」は最大解像度、あるいは動作検証済みというだけであって、コネクタが一致すればこれより下のサイズ・解像度でも行けると思います。
左右のインターフェースです。
電源は12V入力で、画像右下のバレルジャックのみの対応です。3.5mm/1.35mmなので、一般的な5.5mm/2.1mmよりは入手しづらいかもしれません。
底面側にはmicroSDスロットがあります。
QUARTZ64 Model-Bについて
PINE64では開発器相当のModel-Aとは別に、ラズパイサイズの「QUARTZ64 Model-B」、SoM(Sytem on Module)タイプの「SOQuartz」を開発中です。
まとめ
「QUARTZ64 Model-A」の価格は4GBモデルが59.99ドル、8GBモデルが79.99ドルです。
「Raspberry Pi 4」が4GBで55ドル、8GBで75ドルなので、出る数が違う(=調達時の大量購入割引が効きにくい)かつ開発器という位置づけなのにかなり頑張っていますね。
ラズパイと比べるとインターフェース構成がかなり違うので競合となりにくいですし、できることもかなり違うでしょう。
実用で行くと「QUARTZ64 Model-B」でしょうが、実装面積的に削られているインターフェースもあるので、十全に試すとなると「QUARTZ64 Model-A」でしょう。
関連リンク
QUARTZ64:PINE Store
June update: new hardware and more on the way:PINE64 Blog
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