2021年5月19日、SBCメーカーのSinovoipはAmlogic S905X3を搭載した「Banana Pi BPI-M2 Pro」をAliExpressでの公式ストアで、61ドル(約6,800円)で発売いたしました。
以前にwikiが公開された時点で記事にしていますが、正式に販売が開始されたので、改めての記事化です。
スペック
■Banana Pi BPI-M2 Pro | |
SoC(CPU) | Amlogic S905X3 |
---|---|
メモリ | 2GB LPDDR4 |
ストレージ | 16GB eMMC |
インターフェース | USB 3.0×2 microUSB×1 HDMI microSDXC 1GbE有線LAN |
wi-fi | 802.11ac+BT4.2 |
サイズ | 65×65mm |
重さ | 1.3kg |
特徴
「BPI-M2 Pro」は「BPI-M2+」と同じサイズ、ほぼ同じインターフェース配置で大幅にスペックアップを果たしたSBC(シングルボードコンピュータ)です。
スペックの違いは以下のようになっています。
モデル名 | BPI-M2 Pro | BPI-M2+ |
---|---|---|
発表日 | 2021/05 | 2016/03 |
CPU | Amlogic S905X3 (4コア) (1.5GHz A55 x4) | Allwinner H3 (4コア) (1.2GHz A7 x4) |
GPU | Mali-G31 MP2 | Mali-400 MP2 |
Antutuスコア | 74,000前後 | 16,000前後 |
メモリー | 2GB LPDDR4 | 1GB DDR3 |
Wi-fi/BT | 802.11ac BT4.2 | 802.11b/g/n BT4.0 |
ストレージ | 16GB eMMC microSD | 8GB eMMC microSD |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 1(micro) | 2.0 x 2 2.0 x 1(micro) |
映像 | HDMI(2.0) x 1 | HDMI x 1 |
カメラ | × | MIPI-CSI x 1 |
電源 | DC 5V/3A | DC 5V/2A |
なお、S905X3のAntutuスコアは本来の動作周波数(1.91GHz)でのものなので、「BPI-M2 Pro」では2割ほど差し引いた60,000弱くらいのスコアになると思われます。
それでも「BPI-M2+」比で4倍近くの性能アップです。
SoCはAmlogic
SBCでのCPUに当たるSoC(System on Chip)はAmlogic社製のS905X3を搭載しています。Sinovoipでは「BPI-M5」にも採用していますね。
上の記事でも書いていますが、Sinovoipは当初はAllwinner製SoCを積極的に採用していましたが、2018年から方針転換をしており、最近はAmlogic社に移ったようです。
BPI-M1(M1+) :Allwinner A20
BPI-M2 ZERO :Allwinner H2+/H3/H5
BPI-M2+ :Allwinner H3/H5/H2+
BPI-M2M :Allwinner A33/R16
BPI-M2 Berry :Allwinner R40/V40/A40i
BPI-M2U :Allwinner R40/V40/A40i
BPI-M3 :Allwinner A83T
BPI-M4 :Realtek RTD1395
BPI-M5 :Amlogic S905X3
BPI-M2 Pro :Amlogic S905X3 ←New!
S905シリーズはバリエーションが多く、慣れた人でもパッとスペックの詳細までは思い浮かばないでしょう。少なくともがじぇとりっぷは思い浮かびません。
S905とS905Xシリーズを比較したのが以下の表です。これ以外にもS905L、S905D、S905Y2があり、本当にややこしいです。
S905 | S905X | S905X2 | S905X3 | S905X4 | |
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リリース日 | 2016Q1 | 2019Q3 | 2019Q4 | 2021Q1 | |
Antutu | 38,000前後 | 34,000前後 | 60,000前後 | 74,000前後 | 100,000前後 |
製造プロセス | 28nm HKMG | 12nm | |||
CPU | 1.5GHz Cortex-A53 ×4 | 1.8GHz Cortex-A53 ×4 | 1.91GHz Cortex-A55 ×4 | ||
GPU | Mali-450 MP3 OpenGL ES 2.0 | Mali-G31 MP2 Vulkan 1.1 OpenGL ES 3.2 OpenCL 2.0 | |||
NPU | – | 1.2TOPS | – | ||
メモリ | DDR3/4, LPDDR2/3 最大2GB | DDR3/3L/4, LPDDR3/4 最大4GB | |||
USB | 2.0×2 | 3.0×1,2.0×1 | |||
LAN | 10/100/1000 MAC+ PHY | 10/100M MAC+PHY | 10/100/1000 MAC+ 10/100 PHY | ||
映像出力 | HDMI 2.0 | HDMI 2.0b | HDMI 2.1 | ||
最大解像度 | 4K@60Hz | 4K@75Hz | 8K@24Hz 4K@75Hz | 4K@120Hz |
S905X3には1.2TOPSのNPUがオプションで搭載可能ですが、「BPI-M2 Pro」のスペックには記載されていないので、非搭載モデルが使われている可能性が高いです。
また、「BPI-M2+」との比較でも書いていますが、「BPI-M2 Pro」では動作周波数を1.5GHzに落としています。
メモリとストレージ
「BPI-M2 Pro」のメモリは2GB LPDDR4です。
最近では8GB搭載も増えてきた中では少なく見えますが、「BPI-M2+」の1GBからは倍増しています。
ストレージは16GB eMMC。こちらも「BPI-M2+」の8GBから倍増となっています。
その他
Wi-fiは最大433Mbpsの802.11ac(Wi-fi 5)+BT4.2対応のRealtek RTL8821CUが使われており、有線LANにはRealtek RTL8211Fが使われています。
この2つのチップはSBCに限らずよく使われており、LinuxやARM系OSでもドライバの対応がしっかりしています。
USBはVL817ハブチップを介してUSB3.0を2ポートに増やしています。
映像出力は、SoC自体はHDMI 2.1に対応し、最大8K@24Hz、4K@75Hzまで出力できますが、「BPI-M2 Pro」ではHDMI 2.0(4K@60Hz)にとどめています。
まぁ、ゲームでもしない限りはそれ以上の能力はあまり必要ないから問題ないでしょう。
本体
▲インターフェースです。
基本的な部分は「BPI-M2+」を踏襲し、ケースも共用可能となっていますが、IRレシーバーの上にあったMIPI-CSIが無くなっています。
カメラ入力を使っていた場合はリプレースできないので注意が必要です。
また、リセットボタンの横にあったU-Bootボタンもなくなっていますね。
電源については5V電源ジャックのみで、microUSBからの給電には対応していないようです。
▲参考までに、「BPI-M2+」のインターフェースというか、基板の裏表です。
向きが違っていてわかりにくいですが、「BPI-M2 Pro」は部品数がかなり減って、「BPI-M2+」から比べるとかなり洗練されています。
▲ケースは「BPI-M2+」用のものが流用できます。
まとめ
冒頭にも記載していますが、「BPI-M2 Pro」の価格はAliExpressでの公式ストアで61ドル(約6,800円)です。50ドル前後という予想は外れました。
同じS905X3な「BPI-M5」が66ドル(約7,500円)なことを考えると、ちょっと安くなっていますが、「BPI-M5」はUSB3.0が4ポートでメモリが4GBなんですよね…
「BPI-M2+/M2 Pro」用メタルケースは5.5ドルです。
値段的には微妙ですが、「BPI-M2+」の発売から5年を経てのリニューアルですし、リプレース用としてはアリかなとは思います。
とはいえ、この価格じゃそれ以外の用途ではあまり買われない気がするなぁ…
関連リンク
Banana Pi BPI-M2 Pro:Sinovoip公式ストア(AliExpress)
リリースノート:Sinovoipフォーラム
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