CHUWIは2021年に「HiPad Pro(2021)」でスペック詐欺をやらかしています(詳細は下記リンク)。
それから半年弱、「HiPad Pro(2022)」にアップデートされたので、スペック詐欺だった点は解消されているのかが気になり、実際に購入してみました。
CHUWI HiPad Pro(2022)
■ HiPad Pro(2022) | |
CPU | Mediatek Helio G95 |
---|---|
メモリ | 8GB LPDDR4x |
ストレージ | 128GB UFS2.1 |
画面 | 10.8インチ IPS WQXGA |
インターフェース | USB Type-C(3.0)×1 microSD SIM(micro?) |
カメラ | 前:500万画素 後:800万画素 |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
4G/5G | 4G対応 B1/B2/B3/B4/B5/B7 B8/B17/B20/B38/B40 |
バッテリー | 7,000mAh |
サイズ | 245×157.7×7.4mm |
重さ | 0.455kg |
GoodPoint
✔ ディスプレイは正しく2.5K
✔ PrimeビデオもHD画質に対応
✔ Antutu 32万点台
✔ 高級機並みの筐体
BadPoint
✖ やっぱりフロントカメラが邪魔
✖ 高負荷時が爆熱でWi-fi不安定に
✖ ペンがまともに使えない
パッケージ
・電源アダプタ
・電源ケーブル
・トレー押し出しピン
・ユーザーマニュアル
・保証説明書
・製品検査証
・タッチペン(別売品)
・カバーキーボード(別売品)
今回購入した「HiPad Pro(2022)」は国内販売前のものであり、技適マークがありません。
そのため、外部通信は有線で行っています。
ディスプレイについて
「HiPad Pro(2021)」のこともあるのでディスプレイ部分だけを先んじて掲載。
結論から言うと、上の評価の通り、「解像度は正しく2.5Kになり、PrimeビデオもHD画質に対応」となります。
※2021年4月27日修正:記事掲載時は「Primeビデオは変わらずSD画質」としていましたが、最新の状況ではHD画質に対応していました。レビュー開始当初は非対応でしたが、あとから対応したようです。
実際の表示はこんな感じ。
拡大してもにじんだ感じはありません。
その代わり近くで見ると調理用の脱水シートをさらに細かくしたようなツブツブした感じがします。詳細は後述。
もう一つの懸念、PrimeビデオはHD画質に対応しました。
ただし再生時はこんな感じで左側に黒帯が…
パフォーマンス
「HiPad Pro(2022)」はSoCが8コア(Cortex-A76×2、A55×6)なMediatek Helio G95にアップグレードされています。
Antutu(v9)では総合32.5万点、GPU9.5万点でした。
「HiPad Pro(2021)」では総合18万点、GPU3.2万点なSnapdragon 662だったので、相当なパワーアップです。
特にGPUはほぼ3倍のスコアとなり、ゲーミングにも強そうです。
GeekBench5(右側)ではマルチスレッドで約1600点。
これがどのくらいかというと、Celeron N5100が1600点弱、Ryzen 3 3200UとCeleron J4125が1400点弱くらいです。
つまり、格安ノート程度の処理能力はあるってことになります。
モデル | HiPad Pro(2022) | Xiaomi Pad 5 | M40SE | Fire HD 10 Plus | |
---|---|---|---|---|---|
SoC | Helio G95 | Snapdragon 860 | T610 | MT8183 | |
メモリ | 8GB | 6GB | 4GB | 4GB | |
OS | Android 11 | Mi UI 12 (Android 11) | Android 10 | Fire OS 10 (Android 9) | |
Antutu v9 | 総合 | 325270 | 581218 | 185081 | – |
CPU | 88053 | 150489 | 64392 | – | |
GPU | 95813 | 203852 | 0(※) | – | |
Antutu v8 | 総合 | – | 493977 | 192486 | 162024 |
CPU | – | 139562 | 65992 | 69395 | |
GPU | – | 190339 | 31138 | 26210 | |
CPU Prime | 46461 | 54672 | 39769 | 43483 | |
GeekBench 4 | Single | 2351 | 3630 | 1766 | 1473 |
Multi | 6183 | 11244 | 5615 | 4575 | |
GeekBench 5 | Single | 481 | 771 | 365 | 304 |
Multi | 1612 | 2756 | 1374 | 1353 | |
3DMark | Wild Life | 1335 | 3437 | 512 | – |
Wild Life Unlimited | 1358 | 3433 | 506 | – | |
Wild Life EX | 380 | 988 | 126 | – | |
Sling Shot | 3308 | Max out | 1719 | 1497 | |
Sling Shot EX | 2475 | Max out | 1119 | 1114 | |
IceStorm | Max out | – | Max out | Max out | |
IceStorm EX | Max out | – | Max out | Max out | |
IceStorm Unlimited | Max out | – | 21618 | 19747 | |
PCMark | work 2.0 | – | – | 7615 | – |
work 3.0 | 8104 | 11223 | 7917 | 5403 | |
PassMark | System | 8701 | 9536 | 2699 | 4895 |
CPU | 4161 | 4199 | 1932 | 2209 | |
3D | 33682 | 64912 | 16528 | 16551 | |
ブラウザ | jetstream2 | 40.745 | 73.484 | 35.425 | 31.43 |
Basemark | 222.85 | 410.86 | 211.94 | 178.06 | |
WebXPRT | 40 | 96 | 63 | 49 | |
MotionMark | 62.49 | 141.24 | 105.22 | 82.45 | |
Octane | 17918 | 27894 | 10311 | 9243 | |
Speedometer | 37 | 56.2 | 30.3 | 28.5 |
他の製品との比較。
CPU処理部分はUNISOC T610比で2~3割上といったところですが、グラフィック処理は3倍近くなっています。
ストレージ
「HiPad Pro(2022)」のストレージは128GB eMMC。
microSDにも対応しています。
カードスロットはmicroSD+microSIMのコンボトレーです。
ストレージ速度の計測結果。
上が内部ストレージ、下がmicroSDです。
内部ストレージはリード418MB/s、ライト210MB/sと予想外に高速でした。
microSDはリード27MB/s、ライト83MB/s。書き込みは弱いものの読み込みは実用速度が出ていて、アプリによってはmicroSDにデータを入れておいても問題なさそうです。
使ってみた
操作感
「HiPad Pro(2022)」のUIは素のAndroidで、特にカスタマイズもなく素直に使えます。
動作についてもスムーズで待たされる場面もなく、サクサク動きます。
ディスプレイ
「HiPad Pro(2022)」のディスプレイは10.8インチ WQXGA(2560×1600)。
UNISOC系の格安タブレット(10.1~10.4インチ)よりわずかに広くなっています。
ベゼル幅はタブレットとしては狭い6.0mm。
実際こんな感じでかなり細いです。
明るさごとの比較。
0%でも見えないほど暗いレベルまでにはなりません。
上の評価でも書いていますが、目を近づけてみると特に白い部分でなんだかツブツブ感というかザラザラ感というか、そんな感じのものが見えます。
30cmも離れれば分からなくなるので、実用面ではあまり影響はないんですけどね。
原因を確認すべく、USB顕微鏡で見たのがこちら。
ドットの形が矢羽根状で隙間があるので、これがツブツブに見えていました。
キーボード
キーボードはBluetooth接続です。名前がちゃんと「HiPad Pro Keyboard」となっています。
しばらく気付かなかったのですが、よく見たら設定画面なのに左が白帯になっています。時計も白帯分だけ右に寄っています。
そこは対応しておこうよ…
初期状態だと言語が日本語オンリーなので、設定→システム→言語と入力→言語 で英語を追加すると、Shift+スペースで半角/全角の切り替えができるようになります。
打鍵感はチープな打ち心地ですがストロークは取れているので底打ち感はあまりありません。少々狭い(キー間隔が17.5mm)ものの、特に問題なく入力できます。
ペン
「HiPad Pro(2022)」はペンの筆圧にも対応しています。
ペンも併せて購入したので、実際に試したのですが…
「Medibang Paint」での結果。
筆圧はしっかり効いているものの、めっちゃ途切れ途切れです。同期がうまくいっていないんだろうか…?
手持ちの別のペンを使っても同じ結果だったので、本体側の問題のようです。
「アイビスペイント」でも同様の結果。
アプリ側の問題ではないようなので、原因は本体ですね。個体差ならいいのですが…
なおペンを動かさなくても途切れ途切れなので、タッチペンとして使うと連打となります。
動画
「HiPad Pro(2022)」のWideVineはL1ですが、上記の通りPrimeビデオはSD画質までとなります。
一方で制限のないYouTubeは4Kでも再生できますが、解像度的に1440p(2560×1440)がちょうどよく、1080p(1920×1080)より一段高画質な映像を見ることができます。
サウンド
スピーカーについてはクアッドスピーカーなので上下左右の位置バランスが良く、やわらかい音です。
やわらかいというよりは本体に振動が伝わり、それが尖った部分をつぶしている感じです。ビビり音が出る一歩手前と言えばわかるでしょうか。
音量を下げればましな音が出ますが、今度は音量が足りないという…
音量80%くらいがバランスがいいですね。
スピーカーが小さい割に低音は頑張っていますが、どうしても軽くなっています。
中音と高音はバランスが良く、人の声が聞きやすいです。
女性の声もキンキンした部分が丸くなっているので耳にやさしいです。
こもった感じはなくストレートな音なので、ストリーミングでドラマを見たりする分には違和感を感じることなく視聴できます。映画だとシリアスなシーンがちょっと軽くなりますが…
ちなみにYouTubeなどは上記の通り1440pとかの高画質で再生できるので、画面に引っ張られてなんとなく高音質に聞こえるという(笑)。
ブラウザ
Chromeでは左に黒帯が発生しました。
思ったよりもホールカメラに対応しているアプリって少ない…?
ゲーム
PUBG
PUBGは”HDの高”まで設定可能でした。
グラフィック性能が比較的高い割に、上限がTeclast「M40SE」と同じなのはちょっと納得いかないところ。
せめてHDRは欲しかったなぁと。
ブルーアーカイブ
こちらはチュートリアルまでですが、特にラグが発生することもなくサクサク動きました。
ホールカメラにも対応していて黒帯は発生しません。
原神
重量級ゲームの一つ、原神もチェック。
ホールカメラに対応していますが、左上のアイコンにかぶってちょっと操作しづらい…
最高画質でも特にカクつくことなく表示できますが、二つの点から実用には厳しいと判断。
ひとつは温度。
プレイしていると45度オーバー、最高で46度台まで熱くなります。
リアカメラの下くらいの位置、ちょうど横持ちで人差し指が当たるくらいの位置が熱くなるので、だんだん指が炙られます。
もう一つがWi-fi。しょっちゅう途切れて再接続となります。
Xiaomi「Pad 5」では途切れることがなかったので、おそらく要因は一番目と同じく、Wi-fiチップが熱にさらされて接続が不安定になるのが原因でしょう。
ウマ娘
チェックした中で唯一最適化されていないアプリがウマ娘です。
上の黒帯はインナーカメラを避けた結果です。
横持ちだとこう。こちらもカメラにかかる部分が黒帯になります。
動作自体はそれなりにサクサクしているのですが、どうもロードが走るタイミングで一瞬カクつくことがあるようです。
カメラ
「HiPad Pro(2022)」のカメラはフロント500万画素(2560×1920)、リア800万画素(3264×2448)。
リアカメラはコントラストもはっきりしているというか、暗いところがかなり強調されています。
まぁ、くっきりしているという意味では悪くないのですが、やわらかい表現は厳しそうです。
フロントカメラは色表現が貧相なもののかなり明るめ。のっぺりした絵になりますが、カップやふくろうはリアカメラより白くなっています。
きっちりピントも取れていますし、標準で左右反転されます。
光源位置を間違えなければテレワークで使えそうですが、テレワークで使うにはそもそものカメラ位置が悪いんですよね…
バッテリー
「HiPad Pro(2022)」のバッテリーは7,000mAh。格安タブレットの上位モデルと同じ程度です。
バッテリーベンチマークでは4時間49分。
Xiaomi「Pad 5」が14時間26分、Teclast「M40SE」が7時間33分だったことを考えると、かなり短いです。
付属の充電器が5V2Aのため、UGREENの充電器を使ったところ、約17Wで充電されましたた。
外観
外箱です。今回はキーボードカバーと純正ペンも一緒に購入しました。
箱の側面の表記です。
本体には保護フィルムが貼られています。
最近の中華タブレットのように二重にはなっていません。
背面は2色の切り替えがシックな雰囲気を出しています。
認証情報部分のアップ。
国内販売モデルではないので技適マークがありません。
なお、めっちゃ指紋が付く模様。
「HiPad Pro(2022)」のインターフェースはType-C端子、音量ボタン、電源ボタン、カードスロットとシンプルです。オーディオジャックはありません。
スピーカーは左右に2つづつのクアッドスピーカーで、電源ボタンと音量ボタンは別の辺に配置されています。
カメラ部のアップ。
リアカメラの下にある穴はたぶんマイクかと。
電源アダプタとUSBケーブルとトレー押し出しピン。
ケーブルは安っぽさがなかったものの、アダプタは5V2Aの安っぽい感じでした。国内向けじゃないのでPSEマークもないですね。
紙類は4種類です。
ペンとキーボードカバー
別売りで購入したペンです。
こちらも別売りで購入したキーボードカバー。
物理接続ではなく、Bluetooth接続となります。
キーボードはUS配列。
ファンクションキーの列がないので、DELキーもありません。
キートップはフラット。上でも書きましたが打鍵感はかなりチープです。
バッテリー式で、Type-Cで充電します。隣にあるのは電源スイッチです。
本体と合わせたところ。
充電端子は本体と反対側なんですよね。こういうのは揃えてくれた方が嬉しいのですが…
出っ張っていたカメラがちょっと引っ込むので、レンズ周りが傷つくのを抑えられます。
開くとこうなります。角度はこのひとつで固定です。
磁石で固定されているので持ち上げた程度では外れません。
また、開閉で反応するので電源ボタンを押す操作が不要になります。
背面にはペンがくっつきます。
重さは本体のみで450g、キーボードカバー込みで763gでした。
とはいっても実際に持つとそこまで重くはないです。カバーがあるとグリップ感が良くて、B5サイズの本を持っている気分になります。
システム
「HiPad Pro(2022)」はほぼ素のAndroidなのでなじみのあるUIで操作できます。
スワイプメニューはこんな感じ。
Androidバージョンは11です。
アプリ一覧。
「工厂测试」というファクトリーテスト用アプリが入っているくらいですね。
起動直後のメモリ使用量は1.8GB程度。
メモリは8GB積んでいるので、相当に余裕があります。
ストレージ消費は8.2GBでした。
まとめ
「HiPad Pro(2022)」の感想としては、タイトル通り「残念美人」が評価としてはぴったりです。
散々に言われた先代の「HiPad Pro(2021)」の問題点は潰されましたが、まだマイナスポイントが多いなぁと。
筐体品質は高く、基本性能もしっかりしているため、余計に残念に感じます。
特にフロントカメラ、お前だよ。
もしフロントカメラがなければ299.99ドル(約3.4万円)という価格は割と納得できたんですけどね。
なお、先日Amazonで販売が開始され、記事執筆時点では38,890円に6,000円オフクーポンの32,900円で販売されています。
まぁでも爆熱だったりディスプレイ品質もあと一歩だったりと残念なことには変わりないので、買うならちょっと足して約4万円のXiaomi「Pad 5」を買った方が幸せになれると思います。
というかAmazonで売り出したのに公式ストアでは売っていないし。AliExpressでも販売停止になっているし、火消しのためだけに作って、まともに火が消せなくてそっと埋めた感があるぞこれ……
コメント
いつも記事読ませてもらっています。
アマゾンの販売ページではプライムビデオが再生可能というレビューがありますが、本当なんですかね?
あと黒帯が発生する問題に関して、ディスプレイのカットアウトオプションから変更できますか?
コメントありがとうございます。
レビュー当時は非対応でしたが、最新の状況では対応したようです。
記事についても”HD非対応”から”HD対応”に変更いたしました。
カットアウトについては標準では項目が見当たらず(開発者モードでも項目なし)、さらにノッチとは扱いが違うようでノッチ操作系アプリでもダメでした。
redmipadをほぼ同じ金額で買いましたが、wildlifeのスコアが1200台と、cpuがG99なのになぜかこちらのhipadより低いです。値段より性能は良いんじゃないでしょうか。
コメントありがとうございます。
HiPad Proは絶対性能は高いのですが、記事にもあるようにかなり熱を持ち、発熱時はWi-fi接続が不安定になります。
さらにパンチホールカメラがとにかく邪魔なのがネックです。
以上の2点から価格当たりの性能が高くてもおすすめはできません。
amazon販売ページのレビューでは、プライムビデオのHD画質での再生ができると書いてありますが、本当でしょうか。
コメントありがとうございます。
レビュー当時は非対応でしたが、最新の状況では対応したようです。
記事についても”HD非対応”から”HD対応”に変更いたしました。
Xiaomi Pad 5が最小構成でポイント込みだと同じくらいで買えるので厳しいですね。
コメントありがとうございます。
まさにその通りなんですよね…実際どちらも使っていますが、「Pad 5」はとにかく快適です。
画面がでかいのでゲームの時は操作性がちょっと微妙(指が届かない)だったりしますが、その辺はトレードオフだと思っています。
いつも参考にしています。
楽天モバイルとドコモ、AUのsimだと通話ができないのですが、どこかできる通信会社はありますでしょうか?
コメントありがとうございます。
すみません、WANについては未確認です…
手持ちもドコモしかないので…
センサー類の搭載状況はどのようになっているでしょうか?
コメントありがとうございます。
CPU-Zで見ると、ACCEROMETER(重力加速度込み)、Linier Acceleration(静止状態を0とする)、GYROSCOPE、Light、PROXYMITY、ROTATION VECTOR、Game Rotation Vector、Gravityの8項目が検知されます。
このうちROTATION VECTORは0から動かず、PROXYMITY(近接)は有効な数値が検出できているようには見えません。Gravityは実質的にACCEROMETERと同じ数値です。
このことから、加速度センサー(重力センサー)、ジャイロスコープ、照度計および3つが搭載されているものと思われます。
また、これとは別に位置情報(GPS)も搭載されています。