2022年10月25日、ミニPCメーカーのMINISFORUM(本社:香港)は、Ryzen 9 6900HXを搭載したミニPC「UM690」を発売しました。
スペック

■ UM690 | |
CPU | Ryzen 9 6900HX |
---|---|
メモリ | 16GB DDR5-4800 |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×1 USB Type-C(Gen2)×1 USB 3.2 Gen2×4 HDMI×2 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
サイズ | 304×205×20mm |
重さ | 1.3kg |
特徴
MINISFORUMでは「UM690」発売数日前の10月21日にRyzen 9 5900HX搭載の「UM590」を発売しており、1週間もしないうちでのリニューアルです。
記事執筆現在では「UM590」と「UM690」は同一ページで併売されていて、価格差をつけることで差別化されています。
ちなみにMINISFORUMではRyzen 9 5900HX搭載機としてほかに「EliteMini HX90」や、Ryzen 9 5900HX+Radeon RX6600Mな「Neptune HX90G」も販売していて、ハイエンドラインナップがなかなかに混沌とした状況となっています。

次々に新機種が出てくるのは見ていて気持ちがいいんですけど、その分ユーザー(の機種選び)が大変になっていくという…
CPUについて
「UM690」のCPUはAMD系モバイル最上位となるRyzen 9 6900HXです。

アーキテクチャがZen3からZen3+になったものの、CPU性能向上は10%以下と、あまり変わりません。
Ryzen 9 6900HX、Ryzen 9 5900HXともに内臓グラフィックのスコアが見当たらなかったのですが、同等性能のRyzen 7 6800HやRyzen 7 5800U(5800Hもデータがなかった)で比較すると、グラフィック性能が跳ね上がっています。
「UM690」は外付けGPU(dGPU)非搭載機なので、内臓グラフィックの性能向上はうれしいポイントです。
総合すると、「UM690」は最高のCPU性能とエントリーゲーミングに近いグラフィック性能を持った機種、ということになります。
ゲームに使わなくてもGPU処理で性能を発揮できるので、用途の幅も広がります。
メモリとストレージ
「UM690」のメモリは標準で16GB DDR5-4800。
8GB×2で、最大64GB(32GB×2)まで拡張できます。
ストレージは512GB NVMe SSDです。
内部的にはPCIe Gen4対応ですが、標準はおそらくGen3 SSDじゃないかなぁと。Gen4だったらラッキーです。
海外だとGen4 SSDって明記されているのですが、日本語ページには見当たらないんですよね…
なお公式ストアではベアボーン(メモリ・ストレージ・OSライセンスなし)から64GB+1TBまで選択できます。
その他
無線LANは仕様だと「M.2 2230 WIFI サポート」とのみ書かれていますが、過去の例から考えて、何らかの無線LANカードが標準で付属すると思われます。
有線LANは2.5GbE。
MINISFORUM製品はもうほぼ標準で2.5GbEが搭載されますね。
「UM590」と「UM690」を比較するとこんな感じになります。
まとめてみると、中身はだいぶ変更されていることが分かります。
モデル | UM690 | UM590 |
---|---|---|
CPU | Ryzen 9 6900HX | Ryzen 9 5900HX |
グラフィック | Radeon 680M | Radeon Graphics(Vega) |
メモリ | DDR5-4800 | DDR4-3200 |
ストレージ | PCIe Gen4対応 | PCIe Gen3 |
映像出力 | HDMI (4K)×2 USB4 (8K) | HDMI (4K)×2 USB-C (4K) |
USB | USB4 ×1 Type-C(Gen2) ×1 USB3.2 Gen2 ×4 | Type-C(Gen1) ×1 Type-C(Gen2) ×1 USB3.2 Gen2 ×2 USB2.0 ×2 |
外観
本体です。
スタンドも付属します。
インターフェースはいい感じに。
フロントは8K出力に対応したUSB4と、USB3.2 Gen2なType-C。
USB4は映像出力だけでなくGPU Boxをつないでグラフィック強化をすることもできます。
USB PD給電で稼働できるかは記載がありません。
内部構造は1枚基板のシンプルな構成。
M.2 SSD用の放熱パネルらしきものがあります。
冷却は2方向吸気、2方向排気。
TDP45WのCPUなので、冷却には力が入っています。
ヒートパイプはこんな感じ。
効率的に排熱できる分ファンの速度を落とせるので、騒音についても比較的抑えられているんじゃないかなと。
パッケージ内容です。
2.5インチ用のSATAケーブルもちゃんと同梱されます。
まとめ
「UM690」の価格はベアボーンで67,040円から。
「UM590」と合わせた全モデルの価格は以下の通りです。
モデル | UM690 | UM590 |
---|---|---|
ベアボーン | 67,040円 | 61,980円 |
16GB+512GB | 90,320円 | 76,980円 |
32GB+512GB | 99,040円 | 85,980円 |
64GB+512GB | 114,240円 | 99,980円 |
32GB+1TB | 106,040円 | – |
64GB+1TB | 126,040円 | – |
ベアボーンだと5,000円強の差ですが、最大で1.4万円強の差となっています。
ちなみにグローバルだとベアボーンの割引後価格が499ドル(記事執筆時レート(139.9円)で約69,800円)なので、国内価格はかなり安めにつけられています。太平洋を超える送料の差かな?
グラフィックが強化され、USB4やDDR5など最新規格にも対応した、かなり有望と言える「UM690」ですが…この後には東京ゲームショウで公開された、Ryzen 9 6900HX+Radeon RX6600Mな「HX99G」が登場することが確定しているんですよね。
想定価格19万円とか言ってますが、Ryzen 9 5900HX+Radeon RX6600Mな「HX90G」が10.6万円(ベアボーン)だったことを考えると、11万円台前半スタート、16GB+512GBで14万円切るかどうかくらいになるんじゃないかなぁと。
グラフィック非搭載な「UM690」とはユーザー層が違うのですが、おそらく多くの方はなんだかんだ「HX99G」が気になることでしょう。
「UM690」が本格的に売れ始めるのは、「HX99G」の価格が公開されてからになりそうです。
関連リンク
Minisforum UM590/UM690:MINISFORUM
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