2023年1月13日、ミニPCメーカーのMinisforumはRyzen 9 6900HX+Radeon RX 6600MなミニPC「HX99G」を発売しました。
出荷予定は2月下旬とされています。
Minisforum HX80G/HX90G/HX99G:Minisforum
スペック
■ HX99G | |
CPU | Ryzen 9 6900HX |
---|---|
GPU | Radeon RX 6600M (8GB) |
メモリ | 0~64GB DDR5-4800 |
ストレージ | 0~1TB NVMe SSD |
インターフェース | USB4×2 USB Type-C(Gen1)×1 USB 3.2 Gen2×3 USB 3.2 Gen1×1 HDMI×2 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック×2 |
wi-fi | 802.11ax+BT5.0 |
サイズ | 205×203×69.3mm |
特徴
「HX99G」はRyzen 9 5900HX+RX 6600Mな「HX90G」のCPU変更版です。
2022年9月のTGS2022でお披露目され、2022年12月発売とされていましたが、少し遅れての発売となりました。
筐体はほぼ同じではありますが単純にCPUを乗せ換えただけではなく、Ryzen 6000シリーズとなったことで使えるようになったUSB4が搭載されるなど、インターフェース面も変更されています。
個人的な意見としてはUSB4対応が大きいですね。
CPUとGPU
前述の通り、「HX99G」のCPUとGPUはRyzen 9 6900HXとRadeon RX 6600MのオールAMD構成。
Ryzen 6000シリーズは製造プロセスが7nmから6nmに微細化、CPU面ではZen3の改良版となるZen3+アーキテクチャとなり消費電力が最適化され、ブーストクロックが高くなりました。GPUは長らく続いたVegaを脱却してRDNA2となりました。
外付けGPUを利用する「HX99G」の場合はGPUの変更は大きな影響はなく、PCIe Gen4とUSB4に対応したことの方が大きいですね。
PCIe Gen4はGPU用に8レーン、SSD用に4レーン×2、汎用で4レーン持っています。
CPU性能はPassMarkが25000オーバーで、現在のモバイル系最強であるCore i9-12900H/HKに次ぐスコアを叩き出しています。
デスクトップCPUではCore i9-13900Kが60000とか出していますが、価格も消費電力も冷却系も筐体サイズも全く違うので単純な比較はしづらいところ。
前世代のRyzen 9 5900HX比では1割弱の上昇。だいたいブーストクロックの向上分(4.6GHz→4.9GHz)くらいです。
グラフィックは「HX90G」も同じRadeon RX 6600Mなので変化はありませんが、接続がPCIe Gen3からPCIe Gen4になったことで多少の影響はあるんじゃないかと。
GPUメモリを8GB積んでいるので、モバイル向けGeForce RTX 3060(6GB)よりも高解像度に強いです。
メモリとストレージ
「HX99G」はメモリとストレージが選択できます。用意されているオプションは以下の通り
・ベアボーン(メモリ・ストレージ・OSライセンスなし)
・16GB+512GB
・32GB+512GB
・32GB+1TB
・64GB+1TB
メモリはDDR5-4800へと変更されています(「HX90G」はDDR4-3200)。
転送速度は大幅に上がっているもののレイテンシなどの関係で、ベンチマークスコアは微増くらいになるようです。
ストレージはM.2 NVMe SSD。
スロット的にはPCIe Gen4に対応し、2スロットでのデュアルストレージに対応しています。
標準搭載のSSDはGen3 SSDになると思われます(Gen4だったらアピールしているでしょうし)。
なお、2.5インチストレージは内蔵できません。
その他
無線LANはM.2 2230カードを使用します。
「HX90G」ではRZ608(MediaTekとAMDが共同開発したWi-fiチップ)が搭載されていたので、「HX99G」でも同様になると思われます。上位のRZ616の可能性は…どうだろう?
RZ616:160MHz幅の通信に対応して最大2.4Gbps
RZ608:160MHz幅は非対応で最大1.2Gbpsです。
RZ616/RZ608はどちらもWi-fi6E対応ではあるものの、「HX99G」で6GHz帯が使えるかは不明です。
有線LANは2.5GbE。使用チップは不明です。
電源アダプターも詳細不明ですが、「HX90G」と同じならばGVE製で19.0V/12.8Aの最大262.2W出力のものになるでしょう。
冷却についてはCPU用とGPU用それぞれにファン付き大型ヒートシンクが装着されます。
騒音については「HX90G」のレビューではCPU側は常時低速、GPU側はセミファンレスで、高負荷時には高速回転→短時間で停止を繰り返すとのこと。
「HX99G」では動作パターンが変更されている可能性もありますが、参考まで。
参考 「Minisforum HX90G」をレビュー! 最新Ryzen・Radeon搭載で圧倒的な超コスパ:マイナビニュース
外観
インターフェースです。
一番大きいのは、デュアルHDMI+デュアルDisplayPortが、デュアルHDMI+デュアルUSB4になったことです。
クアッドディスプレイ対応は維持しながら、汎用性が高くなりました。
内部イメージ。
底面(画像の一番左)を開ければメモリ・ストレージ・Wi-fiにアクセスでき、基本的にはそれ以上の分解をする必要はありません。
六面図です。
天面はファンの周辺が吸気口として開けられ、左右サイド、もしくは上下に相当する部分が排気口として大きく開けられています。
縦置き時はスタンドがあるので、下部排気口がふさがれることもありません。
まとめ
「HX99G」の価格は以下の通り。
・ベアボーン:141,980円 → 116,980円
・16GB+512GB:169,980円 → 136,980円
・32GB+512GB:182,980円 → 146,980円
・32GB+1TB:193,980円 → 154,980円
・64GB+1TB:219,980円 → 173,980円
内容と現在の情勢(半導体不足や物価高)を考えればかなり良心的です。
「HX90G」(105,504円~)よりはやや高いものの、差額に性能アップとインターフェース変更分の価値はあるでしょう。
なお、AMDはCES 2023でモバイルRyzen 7000シリーズを発表しています。
Ryzen 7000シリーズはZen4+RDNA3となり、CPUは最大16コア32スレッド(6000シリーズは最大8コア16スレッド)と大きなテコ入れがされています(CPUコアにスペースを取られるので、iGPUはおまけ程度になりますが)。
コア数が倍になるのでCPUのマルチスレッド性能は1.4~1.5倍くらいになると予想できます。
ただまぁ、AMDはいつものごとく発表から実機登場までが離れているので、実際に手にできるのは最上位ゲーミングノートで数か月~半年後、「HX99G」の後継機的なものが出るとしたら1年後なので、今考えても仕方ないんですけどね。
関連リンク
Minisforum HX80G/HX90G/HX99G:Minisforum
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