2023年3月24日、SOUNDPEATSはクラウドファンディングサイトのMakuakeで、新作の完全ワイヤレスイヤホン「Opera05」および「Opera03」のファンディングを開始しました。
今回は短期間ながらファンディング開始前に両モデルを試用する機会を得られましたので、レビューをお届けします。
機材を提供いただいたSOUNDPEATS様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
Opera05&Opera03
GoodPoint
✔ LDAC対応
✔ ハイブリッド型ドライバー
✔ ほぼ完成されたノイズキャンセリング
BadPoint
✖ ワイヤレス充電非対応
✖ ケースの出し入れがややしにくい
✖ マニュアルが中華フォント
SOUNDPEATS Opera:makuake
スペック
モデル | Opera05 | Opera03 |
---|---|---|
Bluetoothバージョン | v5.3 | |
チップセット | WQ7033AR | |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HSP, HFP | |
対応コーデック | SBC, AAC, LDAC | |
ドライバー径 | 12mm | |
バランスド アーマチュアドライバー | 2基 | 1基 |
再生周波数帯域 | 20Hz~40KHz | |
ANC機能 | 最大-30dB | |
バッテリー駆動時間 | 最大9時間 | |
バッテリー駆動時間 (ケース込) | 最大33時間 最大28時間(ANC) | |
充電時間 | 本体:約1.5時間 ケース:約2時間 | |
バッテリー容量 | 本体:40 mAh ケース:300 mAh | |
充電端子 | USB Type-C | |
防水&防塵規格 | IPX4 | |
重量 | 本体:片方7.3g ケース込:58.8g | |
ケースサイズ | 44.89 × 69.17 × 30.94mm |
パッケージ
・充電ケース
・USBケーブル
・イヤーパッド(3種3セット)
・ユーザーマニュアル
・アプリ案内
操作について
左側 | 右側 | |
電源オン | ・充電ケースを開ける ・1.5秒長押し | |
電源オフ | ・充電ケースを閉じる ・10秒長押し | |
音楽 | ||
1回押す | 音量ダウン | 音量アップ |
2回押す | 再生・一時停止 | |
1.5秒長押し | ANC切り替え | 曲送り |
通話 | ||
電話に出る | 2回押す | |
電話を切る | 2回押す | |
着信拒否 | 1.5秒長押し | |
通話切り替え | 2秒長押し | |
その他 | ||
音声アシスタント | 3回押す | |
リセット | 充電ケースに入れた状態で 充電ケースのボタンを3秒長押し |
操作体系は以前にレビューした「Capsule3 Pro」に似ていますが、低遅延モードがなくなっています。
1回タップが音量に割り当てられているので、位置直しなどで当たっても再生が止まったりしないのがグッド。
ハイレゾ音源について
「Opera05/Opera03」はハイレゾオーディオワイヤレス(LDACコーデック)に対応したワイヤレスイヤホンです。
確認用の無料音源には以下のようなサイトがあります。
同じ曲のmp3(128kbps)と聞き比べてみると、ジャカジャカ鳴っているときはあまり違いが分かりませんが、ギターだけとかピアノだけとか曲終わりの余韻とかでは、音の深みというか厚さが全然違います。
使ってみた
接続について
接続自体は他のBluetooth製品と変わりません。
接続先の「Xperia 1 II」はLDACに対応しており、自動でLDACがオンとなっています。
なお、WindowsはaptXは対応しているものの、LDAC非対応。
「Opera05/Opera03」は逆にaptX非対応なので、PC接続時はSBCまたはAAC接続となります。
アプリについて
「Opera05/Opera03」はSOUNDPEATSアプリに対応しています。
ノイズキャンセリングのオンオフやイコライザー設定などができます。
「Opera05/Opera03」には低遅延モード(ゲームモード)がないので、「Capsule3 Pro」にあったゲームモードの項目が表示されません。
しかし、「Capsule3 Pro」の記事でも書きましたが、このアプリでユーザー登録やログインをさせる必要性があるとは思えないんですよね…
かけ心地
「Opera05/Opera03」はいわゆるbudsタイプで、耳に入れてから軽くひねることで固定します。
実のところ、がじぇっとりっぷは”うどん”タイプならともかくbudsタイプは苦手でした。
でも「Opera05/Opera03」はフィット感がよく、2時間程度装着してもあまり耳が痛くなりません。
空気も抜けるようで、あくびしたりしても耳内の圧が高まることもなく、割と快適に使えました。
固定感も高めで、頭を振る程度では抜けそうな気配もなく、昔のように、落ちないように気を遣う必要がないのはありがたいですね。
音質について
ドライバーユニットは、振動方法によりダイナミック型(DD)、バランスドアーマチュア型(BA)、静電型(EST)、平面磁気型(PMD)などがあり、「Opera」シリーズはDD+BAのハイブリッド型となります。
「Opera05」と「Opera03」の違いは2点、色と、バランスド・アーマチュアドライバー(BA)の数だけです。
音に関わる部分はわずか1点だけですが、音の傾向がかなり違っていて、ざっくり感想だと映画・ドラマ向きでピーキーな「Opera05」、バランス型の「Opera03」となります。
今回は昨年末にレビューした「Capsule3 Pro」、5年前の「Q30」を比較対象とします。
Opera05
「Opera05」は12mm径のDDに+2基のBAの組み合わせです。
ドライバー径は「Capsule3 Pro」と同じで、低音の雰囲気は似ていますがBAが搭載されたことでバランスが変更され、「Capsule3 Pro」よりも強調されていて、イヤホンのわりにズンと響きます。
スマホアプリのイコライザーから「低音強調」にすると低音の厚みと奥行きがさらに増して、和太鼓のズンズン音も楽しめるくらいです。
中高音が強く、ボーカル、特に女性ボーカルの輪郭がはっきりしすぎているというか、どこか切り抜いたような感じを受けます。おそらくはDDとBAの解像感の違いによるものでしょう。
音数が多いとそこまで気にならないのですが、「THE FIRST TAKE」などは雑な合成写真でも見ているような違和感を感じます。
逆に映画やドラマではセリフがとても聞きやすく、これに慣れてしまうと「Capsule3 Pro」ですらセリフがBGMに埋もれているような印象を受けるほどです。
楽曲を聞くときはイコライザーで「ロック」にすると中音と高音が持ち上げられて、音が馴染んで違和感が減ります。
また「ポップ」を選ぶとボーカル音にフィルターがかかったようになってこっちも全体が馴染みますが、生音感が薄れます。
高音の抜けは「Capsule3 Pro」同様に気持ちいいくらいで、ギターの弦を弾いた後の余韻までしっかりと味わえます。
音がいいことは間違いないのですが、曲やジャンルごとに最適な設定が違うので、玄人向けのピーキーなモデルと言えます。
Opera03
「Opera05」は12mm径のダイナミックドライバーに+1基のバランスドアーマチュアドライバーの組み合わせです。
「Opera05」ほどにはボーカルが強調され過ぎず、デフォルト状態でもバランスの取れた音が特徴です。
「Opera05」をベースとした調整なのか、高音がやや強めですが全体のバランスを崩すほどではなく、デフォルトのままでオールジャンルをこなせる、万人受けする音となっています。
イコライザーで変更してもバランスの良さは変わらず、曲に合わせてではなく個人の好みに合わせて設定を選べます。
話し声については「Capsule3 Pro」と「Opera05」の中間くらい。
楽曲だけでなくウェブ会議も映画も全部これ1台でまかなえる、文句なしの万能イヤホンといえます。
ちなみに「Opera」シリーズのあとに「Q30」で聞くと、ボーカルは薄っぺらく、すりガラスでも通したような音で、話し声もクリアさのない聞きやすくないもので。
5年の差は想像以上に大きいというか、5年前の自分はこの音で満足していたのかとショックを受けました。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
ノイズキャンセリングについて
「Opera05/Opera03」のノイズキャンセリング(ANC)効果はメーカーに確認したところ、最大-30dB、平均15dB以上(80Hz~800Hz)とのこと。
-50dBに近い性能の製品も出る中、-30dBというのは数字上ではあまり高くはありませんが、実際の効果は数字以上に素晴らしいものでした。
「Capsule3 Pro」では風呂の換気扇の音が、「外で雨が降っているかな?」くらいに軽減されましたが、「Opera05/Opera03」では無音になりました。いやまじで。
ANSをオンにしたまま風呂場に行って、換気扇ついてなかったかとイヤホンを外したら普通に回っててびっくりしました。
それからあまりに自然すぎて気付くのが遅れたのですが、ホワイトノイズがほとんどありません。
あまりにノイズがなさ過ぎて、静かなところで使うと脈拍の音が聞こえるくらいです。
ここで衝撃的なのは、「Opera05/Opera03」って4マイク(片耳当たり2マイク)なんですよね。通話マイクと環境マイクしかありません。
これまでのANC搭載イヤホンって強力なものは6マイク(片耳3マイク)で、フィードフォワード・フィードバックのハイブリッド方式が主流だったのですが、「Opera05/Opera03」はフィードフォワードのみ。
それで従来のANC機能より高い性能を叩き出しているわけで。
一つのブレイクスルーに立ち会った感があります。
もう一つ衝撃的なのが、ANCをオンにしても音がほとんど変わらないこと。
少なくともがじぇっとりっぷは、静かなところで聞いたらANCがオンかオフか判別できる自信はありません。
ここまで完成されたノイズキャンセリングは初めてで、これを目当てに買ってもいいんじゃないかと思えるくらいでした。
音域について
「Opera05/Opera03」の再生周波数帯域は20Hz~40KHzとされています。
音域確認は「Opera05」と、Androidアプリの「周波数ジェネレータ」を使用しました。
最低は20Hzですが、1Hzでも一秒ごとにパチッパチッと振動はしています。
重低音域の20~100Hzは思ったよりも力強く出ています。
低音域(100~800Hz)はDDの音は普通。400HzくらいからBAらしき音が混ざり始め、中音域に入る650Hz付近からははっきりと2つの音が判別できます。
中音域(800Hz~2000Hz)に入ると2つの音の大きさが同じ程度となり、ピーという音(多分DD)とシャーという音(多分BA)が重なって聞こえるようになります。
高音域では4000Hz付近でBAらしき音が途切れ、音が一つに。
複数ドライバのイヤホンを試すのは初めてでしたが、同じ周波数でも鳴り方が違うんだなぁということが分かり、ちょっと面白かったです。
高音から先は15000Hzくらいでいったん音圧が下がった後、16000Hz手前くらいから再び可聴音量に。がじぇっとりっぷの耳では18000Hzくらいが限界でした。
外観
パッケージです。カメラ泣かせのラメ加工がキラキラしています。
「Opera05/Opera03」の分かりやすい違いはこのモデル名表記くらい。
スペック表記は全く同じ。
背面の本体はちゃんとそれぞれの色になっています。
箱を開けたところ。
マニュアル類の入った紙ケースは上蓋の内側に張り付いています。
最初、トレーの下に入っていると思っていたのになかったので、ちょっと焦りました。
再掲ですがパッケージ全体です。
USBケーブルはA to Cで、USB2.0ケーブル。
イヤーパッドはよくあるビニール袋にまとめて入れられるのではなく、紙ケースに入っていました。
このようなパターンは初めてだったので、実は小さな驚きポイントだったり。
紙類はマニュアルとスマホアプリ案内の2種類。
マニュアルは7か国語で記載されています。
日本語の説明はいわゆる中華フォントが使われています。
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしました。
「Opera05」はブラック、「Opera03」はブラウンカラーです。
USBポートは背面。
リセットボタンは側面にあります。
開けるとこんな風に入っています。
磁力が結構強めで、しっかりつままないと出てきません。
あまりに強力なので、試しに冷蔵庫にくっつけてみたら張り付きました。
本体を取り出したあと。
端子位置がこんなに離れているのはあまり見たことがありません。
本体です。
端子保護シールが分かりやすいです。
また、L・Rがしっかり見やすく書かれているのも好ポイントです。
DD+BAのハイブリッドドライバーを内包し、かつバッテリーもちょっと容量が大きいので、全体のサイズがやや大きいというか、存在感がやたら強い。
がじぇっとりっぷは気になりませんでしたが、「ちっさいイヤホンを気軽に」くらいの気分でいたら、ちょっとひるむかもしれません。
左がノイズキャンセリング用の環境マイク、右の縦に並んでいる穴が通話マイクです。
青枠で囲んだ部分が通気口となります。
タッチセンサー部にはSOUNDPEATSのロゴ。センサーの範囲は広く見えて、ふちの辺りは反応しません。
スピーカーホールは楕円形。
最近は楕円形が主流になってきましたね。
重さは片方7.2g、ケース込みで59g。ほぼ仕様通りです。
まとめ
実のところ、製品を受け取った当初は「わざわざBAを減らした「Opera03」って必要なの?」と思っていました。
ですが前述の通り、実際にレビューした結果は「Opera03」の方が万人受けしそうという結論に至ったわけで。BA一つの差でこれほど違いが出るとは、レビュー前には思いもしませんでした。
個人的には「Opera03」の音の方が好みです。
「Opera05」の価格(定価)は13999円、「Opera03」の価格(同)は10999円。
makuakeでは最大40%オフなので、それぞれ8,399円から、6,599円からとなります。
※2023年3月25日追記:限定数はあっという間に売り切れ、現在は「Opera05」が28%オフの10,080円、「Opera03」が25%オフの8,250円です。
流石に限定数ですが、もし通常販売でこの価格なら、他メーカーの5千・6千円台イヤホンは軒並み潰されてもおかしくない。
そのくらいには評価できる音でした。
ファンディング終了は5月23日、配送は6月末となっています。
関連リンク
SOUNDPEATS Opera:makuake
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