2023年6月2日、SBCメーカーのKhadasは「VIM4」のアップデートモデル「VIM4_NPU」を発売しました。
合わせて既存のNPUなしの「VIM4」が値下げされました。
スペック
■ Khadas VIM4 | |
CPU | Amlogic A311D2 with NPU |
---|---|
メモリ | 8GB LPDDR4X-2016 |
ストレージ | 32GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(2.0)×1 USB 3.0×1 USB 2.0×1 HDMI HDMI-IN 1GbE 有線LAN microSDXC |
wi-fi | 802.11ax+BT5.1 |
サイズ | 82×58×11.5mm |
モデル名 | VIM4 |
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メーカー | Khadas |
発売日 | 2022/05 |
価格 | 219.9ドル 239.9ドル(冷却ファン付) |
価格(日本円) | 32,800円(冷却ファン付) |
CPU | Amlogic A311D2(8コア) (2.2GHz A73 x4 + 2.0GHz A53 x4) |
GPU | Mali G52 MP8 800MHz |
NPU | 3.2TOPS |
メモリー | 8GB LPDDR4X-2016 |
サポートOS | Android 11 Ubuntu 22.04 |
有線LAN | 1GbE x 1 |
Wi-fi | 802.11ax 2×2 |
Bluetooth | |
チップ | AP6275S KXTJ3-1057 STM32G031K6 |
ストレージ | 32GB eMMC microSD |
USB | 3.0 x 1 2.0 x 1 2.0 x 1(Type-C) |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI(2.1 4K/60Hz) DSI x 1(WUXGA) eDP(2.5K) VB1(4K2K) |
カメラ | MIPI CSI(4lane)×2 |
オーディオジャック | |
その他インターフェース | HDMI-IN M.2 (PCIe 2.0 x1) |
消費電力 | |
電源 | DC 5〜20V(Type-C) |
幅 | 82.0mm |
奥行き | 58mm |
高さ | 11.5mm |
その他 | 3軸加速度計 重さ 31g |
特徴
「VIM4」は2022年5月に登場したSBCなので、「VIM4_NPU」はちょうど1年かかってのアップデートとなります。
違いはただ1点、3.2TOPSのNPUを内蔵したということだけ。
既存の「VIM4」についてはレビューも行っています。
SoC
「VIM4_NPU」のSoCはAmlogic A311D2-N0D。
「VIM3」に搭載されたA311Dのリフレッシュ品みたいな型番ですが、中身は全然別物です。
モデル | Amlogic A311D2 | Amlogic A311D |
---|---|---|
CPU | 4x Cortex-A73 2.2GHz 4x Cortex-A53 2.0GHz | 4x Cortex-A73 2.2GHz 2x Cortex-A53 1.8GHz |
GeekBench5 (マルチスレッド) | 1565 | 930 |
GPU | Mali-G52 MP8 (8EE) | Mali G52 MP4 (6EE) |
NPU | オプション | 5 TOPS |
メモリ | 最大16GB LPDDR4x-2133 | 最大4GB LPDDR4x-1600 |
USB | 1x USB 3.0 1x USB 2.0 (OTG) | 1x USB 3.0 (PCIe排他) 1x USB 2.0 (OTG) |
PCIe | 1-lane PCIe | PCIe x1(USB 3.0と排他) |
映像出力 | 1x HDMI 2.1 2x MIPI DSI (1080p) 2x 8-lane V-by-One (4K60Hz) 2x 4-lane eDP (2.5K) LVDS | 1x HDMI 2.0 1x MIPI DSI |
カメラ | 2x 4-lane MIPI-CSI (16MP) | 1x 4-lane MIPI-CSI (8MP) |
HDMI入力 | 3x HDMI 2.1 up to 4Kp60 | × |
有線LAN | Gigabit Ethernet MAC Fast Ethernet PHY | |
製造プロセス | 12 nm |
…これ、型番を変えたほうが良かったんじゃないかなぁ…
6コアから8コアになり、動作周波数も上がったことで、相当の性能アップとなっています。
GeekBench5のスコア1565がどのくらいかというと、Celeron J4125が1550前後。
…なんかもう、普通にPCとして使えそうですね?
GPUもさらっとユニット数が2倍(MP4 → MP8)になっています。
これが意外と強くて、以前に取ったベンチマークでは、CPU性能では差を付けられているRockchip RK3588/3588Sと変わらない程度のグラフィック性能を示しました。
そして「VIM4_NPU」ではオプション扱いだったNPUを搭載。NPU性能は3.2TOPSとされています。
世代の近いRK3588/3588Sは6.0TOPSなのでちょっと弱いなぁと思うものの、ないよりは全然いいですね。
ブロックダイアグラムはこんな感じです。
メモリとストレージ
メモリは8GB LPDDR4X。
現在では16GBも当たり前になってしまいましたが、512MBとか1GBでやっていた頃を考えれば十分に大容量と言えます。
ストレージは32GB eMMC。
裏面にM.2 NVMeスロットがあり、M.2 SSDを使うこともできます。
ただし、外向きに挿入することになるので、現実的には拡張ボードを併用する必要があります。
ただこの拡張ボードも微妙なところがあり、レビューを見れば分かりますが、短いネジしか入っておらず、アクティブファン装着状態で固定ができないという。改善されたんだろうか…?
その他
無線LANはWi-fi 6(802.11ax)対応。Bluetoothは5.1で、Wi-fiチップはSparkLAN AP6275Sです。最近はSBCで採用されることが多いですね。
「VIM4」の場合、きっちり技適を取得しているので、国内でも堂々と使えるのが強みです。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(219-229035):総務省
製品ページでは転送速度は380Mbpsとされています。レビュー時に測定してなかったなぁ…
外観
インターフェースです。
Wi-fiチップがやたらでかいですね。
表側左下にHDMI入力(microHDMI端子)があるのが珍しいところ。配信などに使えるかもしれません。
裏面左下にあるVB1(V-by-One)はザインエレクトロニクス(THine Electronics)がLVDSに代わるディスプレイ用伝送規格として発表した規格です。
「VIM4」にはHDMI、MIPI-DSI、VB1、eDPの4つの映像出力がありますが、サポートしているのはトリプルディスプレイまでとなります。
ボードはこまめにアップデートされていて、現在のバージョンはv13。
電力管理チップ(TPS2121RUXR)が枯渇して、同等品(WS4684C)に入れ替えたのが変更点だそう。
専用のヒートシンク一体型の冷却ファンを装着するとこんな感じです。
サイズ感は手のひらサイズ。
82×58mmなので、ラズパイ(85×56mm)と同じ程度です。
OSはAndroid 11、リリースされたばかりのUbuntu 22.04(4月にアップデート!)の他、独自のOOWOWというものに対応しています。
OOWOWは、オンラインOS配信や端末メンテナンスなどをシームレスに行うスタンドアロン型の組み込みサービスで、詳しくはレビュー記事を参照してください。
パッケージです。
ボードサイズなので結構小さな箱ですね。
まとめ
「VIM4_NPU」の価格は冷却セット同梱で32,800円。ドル建てだと219.9ドル、冷却セット同梱で239.9ドルです。
239.9ドルって、記事執筆時点レートだと約33,500円なので、地味に円建ての方が安いという。
NPUなしの「VIM4」は30,800円から値下がりして、27,980円となりました。といっても、2022年10月の値上げ前の価格(28,000円)に戻っただけとも言えますが。
「Orange Pi 5 Plus」や「NanoPC-T6」など、RK3588/RK3588S搭載SBCに比べれば少々値が張りますが、Khadasは製品サポートがしっかりしているうえ、独自サポートツールのOOWOWがとても便利。
技適取得費用なども含まれていると考えれば、許容範囲かなぁと。
関連リンク
↑「VIM4」について記事を書かせていただきました
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