2023年6月27日、SOUNDPEATSは新ワイヤレスイヤホン「Engine 4」を発売しました。
今回、発売に先立ち使用する機会をいただけたので、レビューをお届けします。
機材を提供いただいたSOUNDPEATS様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
Engine 4
GoodPoint
✔ デュアルドライバーで低音から高音までしっかり
✔ LDAC対応
✔ マルチポイント接続対応
BadPoint
✖ 装着時の向きが合っているか分からない
✖ イコライザーの変化が薄い
✖ ANC非対応
スペック
モデル | Engine 4 |
---|---|
Bluetoothバージョン | v5.3 |
対応プロファイル | A2DP 1.3, AVRCP 1.6 HFP 1.7, SPP 1.2, GATT |
対応コーデック | SBC, AAC, LDAC |
ドライバー径 | 10mm+6mm |
再生周波数帯域 | 20Hz~40kHz |
ANC機能 | なし |
マイク感度 | -38±2dB |
バッテリー駆動時間 | 約12.5時間(SBC) 約8時間(LDAC) |
バッテリー駆動時間 (ケース込) | 約43時間(SBC) 約28時間(LDAC) |
充電時間 | 本体:約2時間 ケース:約2時間 |
バッテリー容量 | 本体:50 mAh ケース:350 mAh |
充電端子 | USB Type-C |
防水&防塵規格 | IPX4 |
重量 | 本体:片方6.5g ケース込:43g |
ケースサイズ | 61.4×28.1×45.1 mm |
パッケージ
・充電ケース
・USBケーブル
・イヤーパッド(3種3セット)
・ユーザーマニュアル
・アプリ案内
操作について
左側 | 右側 | |
電源オン | ・充電ケースを開ける ・1.5秒長押し | |
電源オフ | ・充電ケースを閉じる ・10秒長押し | |
音楽 | ||
1回押す | 音量ダウン | 音量アップ |
2回押す | 再生・一時停止 | |
1.5秒長押し | 前の曲 | 次の曲 |
通話 | ||
電話に出る | 2回押す | |
電話を切る | 2回押す | |
着信拒否 | 1.5秒長押し | |
通話切り替え | 1.5秒長押し | |
その他 | ||
音声アシスタント | 3回押す | – |
ゲームモード | – | 3回押す |
リセット | 充電ケースに入れた状態で 充電ケースのボタンを3秒長押し |
基本操作は「Capsule3 Pro」とほぼ同じ。
「Engine 4」はANC(アクティブノイズキャンセリング)非対応なので、代わりに”前の曲”となっているのが違いです。
SOUNDPEATSは操作体系を大きく変えないので、製品の乗り換えがスムーズにできます。
ハイレゾ音源について
「Engine 4」はハイレゾオーディオワイヤレス(LDACコーデック)に対応したワイヤレスイヤホンです。
確認用の無料音源には以下のようなサイトがあります。
同じ曲のmp3(128kbps)と聞き比べてみると、ジャカジャカ鳴っているときはあまり違いが分かりませんが、ギターだけとかピアノだけとか曲終わりの余韻とかでは、音の深みというか厚さが全然違います。
使ってみた
接続について
基本接続は特に問題なく、他のBluetooth製品と変わりません。
接続先の「Xperia 1 II」はLDACに対応しており、自動でLDACがオンとなっています。
アプリについて
「Engine 4」はSOUNDPEATSアプリに対応しています。
起動するとファームウェアアップデートの案内。
マルチポイント接続はデフォルトでオフ。
オンにしようとすると、LDACが無効となる旨が表示されました。
かけ心地
多分これが「Engine 4」の最大の問題点かと。
ぶっちゃけ、装着したときの向きが合っているのか分かりません。
流石に逆向きは分かりますが、このくらいかな?って向きに幅があって、一発でうまくハマりません。
ずれていると音の聞こえ方が違うから、こまごま調整してなんとなく納まるのですが、こういうのは”うどん”タイプが楽だなぁと。
音質について
「Engine 4」では10mm+6mmデュアルドライバという新技術を導入。
各ドライバはサイズだけでなく、10mmドライバーはPU+PETチタンメッキの3層構造の複合振動板、6mmドライバーはチタンメッキPET振動板と、構造も異なっています。
低音は割と出ているものの、わずかにこもっています。
というのも、上の画像を見れば分かりますが、10mmドライバの前に6mmドライバがあって、蓋をしている形になっています。
さらにはこんな感じでノズルに対して斜めに配置されていて(斜め配置自体はよくある構造)、10mmドライバからの音の出口がかなり狭い構造を取っています。
このため、低音部は少しぼんやりとした音となっています。
といっても単なるマイナス要素というわけではなく、6mmドライバ側から出る音を際立たせる効果があって、一概にデメリットと言い切ることはできません。
例えるなら映画やポートレート写真などの、背景を少しぼかすことでピントの合っている主役がよりくっきりとする。あんな感じでボーカルの輪郭がはっきりとします。
ただ低音と中・高音でくっきり分かれた音となるので、全体の一体感を優先するのであれば1ドライバな「Capsule3 Pro」の方がいいかもしれません(その代わり「Engine 4」ほど輪郭がはっきりした音になりませんが)。
もう一つ低音で大きいのは、音量が低いと極端に貧弱な音になりやすいという点です。
もともと人の耳は音量が下がると低音がグッと聞こえにくくなる(等ラウドネス曲線)性質がありますが、そこに前述の”蓋”の効果も相まって、さらに聞こえにくくなります。
ざっくり言うと、音量50を切ると低音がいなくなります。
音量80以上であれば低音がしっかり効くので、「Engine 4」は大音量向きのイヤホンと言えます。
中音は柔らかめ。
6mmと10mmの両方にかかる音域なので、ストレートに伝わるクリアな音と、わずかにこもった音がうまくミックスされて、輪郭がはっきりしつつも柔らかい音となっています。
しかも低音寄りの男性ボーカルはより柔らかく、高音寄りの女性ボーカルはクリア強めとなるので、男女どちらもよく聞こえます。
これはいままでのイヤホンにはなかった傾向です。
高音はとてもクリア。
ギターの弦を弾く音やドラムのハイハットが臨場感を持って再現されます。
J-POPのボーカル曲は福山雅治からLet It Goまで幅広く楽しめます。
やや苦手なのがクラシック。トランペットやバイオリンが立ちすぎて、調和のバランスがやや崩れます。それでも低音から高音までがっつり再生できているので、2年くらい前のイヤホンと比べるとはるかに高いレベルの音ですが。
意外と良かったのがジャズ。パートごとにメインとなる楽器が決まっているので喧嘩せず、ドラムが後ろで支えるという構図なので「Engine 4」に向いたジャンルと言えます。
また、イヤーピースを変えると密着度が変わり、音も多少変化します。
がじぇっとりっぷは耳にフィットするMサイズでレビューしていますが、Lサイズにすると低音がやや強くなり、Sサイズは弱くなりました。
Lサイズだと音量70くらいでも低音が効くようになりますが、今度はサイズが合わず長時間の装着に難があるという問題が出てくるので、一長一短ですね。
総評すると、主役がいない曲は苦手、主役のいる曲はジャンル問わず楽しめる、ただし音量が低いと(他のイヤホンよりも)低音が弱くなりやすい、というのが「Engine 4」の感想です。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
音域について
「Engine 4」の再生周波数帯域は20Hz~40KHz。
LDAC接続下での確認がしたかったので、今回はAndroidアプリの「周波数ジェネレータ」を使用しました。
最低は20Hzとされていますが、1Hzでも再生できています(パツッ、パツッという感じの音なので、再生と言えるかは微妙ですが…)。
200Hz付近でワンワンという干渉しているような音が入り、1500Hzくらいまで続きます。
まぁ実際の音楽鑑賞時は全く感じないんですけど。
2000Hz以降はクリア。7000Hz付近にひとつピークが来ます。
きっちり聞こえるのは15000Hzくらいまで。17000Hzくらいまでならオンオフで何か鳴ってるということが判別できます。
再生時間について
満充電、音量90、LDAC接続でYouTubeを流したところ、100分経過時で残り75%でした。
空になるまで再生すると単純計算で400分、6時間半程度となります。
また、接続だけして再生停止状態では1時間で2%の消費でした。
外観
外箱はシックというか、金箔押しで高級感があります。
マニュアル類は蓋の内側にすっぽりはめ込まれています。
再掲ですがパッケージ一覧。
ケースは光沢があり、指紋がめっちゃ付きます。
個人的には艶消しの方が好みかな…
底面にはType-C端子。
リセットボタンとLEDが端子の横にあります。
ケースを開けるとこんな感じ。
先日レビューした「Opera03/05」と似た感じですが、磁力が少し弱くなり、本体の凹凸もあって取り出しやすくなっています。
同梱物
ケーブルはType-A to Type-C。4端子なのでUSB2.0ですね。
接点が細く、ケーブル自体も細いので、乱暴に扱うとすぐに破損・断線しそうです。
マニュアルは日本語ページあり。
不思議なのがページによって正しい日本語フォントだったり、中華フォントだったりとバラバラな点。
「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは中華フォントは指摘するようにしていますが、またなんとも判断しづらいなぁ
本体
接点のシールは青色の分かりやすいもの。
SOUNDPEATSは一貫して青色シールを使っていて、ユーザーフレンドリーです。
本体は高級感のある凸凹カットが施されています。
接点とマイク。
ANC非対応なので通話マイクと通話ノイズリダクション用のマイクのデュアルマイクです。
びっくりしたのがこれ。ドライバ部がシースルーです。
ノズルは正円形。
重量は本体13.0g(片方6.5g)、ケース込みで43.9gと、ほぼ仕様通りでした。
まとめ
がじぇっとりっぷでは定期的にワイヤレスイヤホンのレビューを行っていますが、その進化のペースには圧倒されます。
これまでデュアルドライバーと言えば横に並べるというのが主流だったので、これを縦に並べてくるとは思ってもいませんでした。
とはいえ音質の項でも述べたように、低音部がわずかにこもるという課題も残っています。
さらに低音と中・高音がはっきり分かれるので、人によっては好みが分かれるでしょう。がじぇっとりっぷは結構好みです。
同軸(というか縦並びの)デュアルドライバーというのは生まれたばかりのカテゴリなので、発展はこれから。
軸をずらして低音が届きやすくしつつも歪みは抑えるとか、低音用ドライバをもっと大口径にするとか、次世代の形を予想するのも楽しいです。
「Engine 4」の価格は定価8,480円。
定価は「Capsule3 Pro」と同じ、音という点では一長一短なのでどちらがいいとは断言できませんが、J-POP等のボーカルを楽しむなら「Engine 4」、オーケストラのような低音から高音までが複雑に絡む音なら「Capsule3 Pro」といった感じなので、メインで聞くジャンルによって決めるといいでしょう。
ちなみに装着のしやすさは圧倒的に「Capsule3 Pro」です。
この点は何とか改善してほしいなぁ…
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